ツンデレ
「おやおや……リゼット様」
完成したばかりの巨大な塔を見上げながら、町長が困ったように笑う。
「許可もなしに、このような神の御業のようなものを……」
「なによ、町長」
リゼットは平然としている。
「文句ならニコラに言いなさいな」
「わたし~~?」
突然名前を出されたニコラが振り返る。
「この町を忙しくしたのは、この子よ」
「たしかに……」
町長が納得したように頷く。
「では、ニコラ様。これは一体?」
「わたし~~?」
ニコラは少し考える。
「マドカへの誕生日プレゼントだよ~」
「え? 私!?」
マドカが目を丸くする。
「なんで私!?」
「だって、マドカの誕生日だし~」
「いや、そうだけど……」
「それに、最近この町もいろいろ大変そうだからね~」
ニコラが巨大なクリスタルの画面を見上げる。
「ここに案内映像を流せば、これからの予定とか、お知らせとか、町の人にも見てもらえるでしょ~?」
「なるほど……」
町長の表情が変わった。
「町のために、このようなものを……」
「そういうことだね~」
「最近、エキドナの皆様はスロリア・ゴールに、あまり興味がないのではないかと思っていたのですが……」
「違うわよ」
リゼットが即答する。
「え?」
「マドカの誕生日のためよ」
「…………」
「町はついでよ。ついで」
「ついで!?」
マドカが叫ぶ。
「私の誕生日がメインなの!?」
「当たり前でしょう?」
リゼットは何でもないように言う。
「あなたの誕生日なのだから」
「いやいやいや!」
マドカが塔を見上げる。
「誕生日プレゼントでこんなの作る!?」
「せっかくなら、長く使えるものがいいでしょう?」
「そういう問題じゃないよ!」
町長は二人のやり取りを眺め、ふっと笑った。
「なるほど……」
「何?」
「ツンデレというやつですな」
「…………」
リゼットが固まる。
「マドカ様がよく言っていますぞ」
「町長、それどこで覚えたの!?」
マドカが頭を抱えた。
「町の者にも、だいぶ広まっております」
「やめてぇぇぇ……」
巨大な塔の下で、マドカの悲鳴が響いた。




