↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落内円は落ちている  作者: 七風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
134/531

モンバト部 情報解禁

 いつものモンバト部。


 フローラ、エミリア、ケヴィン、シェリー。


 そして――なぜかガブリエル。


「……なんでガブリエル様がいるんだ?」


 ケヴィンが呆れたように言った。


「わたくしもモンバト部の一員ですもの!」


「いや、それは知ってるけどさ」


「でしたら問題ありませんわね!」


「問題しかない気がするんだけど……」


 ケヴィンがため息をつく。


 そもそも、ここ最近のモンバト部には妙な決まりがあった。


 ――エキドナ関連の会議内容について、部員同士で話してはいけない。


 特に、新しく作っているという何かについては完全に情報管理されていた。


「でもさー」


 フローラが机に頬杖をつく。


「最近、エキドナで何か新しいもの作ってるって噂は聞くよね」


「聞きますね」


 エミリアも頷く。


「モンバトの新しいカードなのか、別の商品なのか……」


「俺は新しいモンスターだと思う」


 ケヴィンが言う。


「最近、エキドナって変なモンスターを作ったりもしてるだろ?」


「かわいい子だといいですね……」


 シェリーが小さく呟いた。


「戦うモンスターじゃなくて、普通に一緒に暮らせる子とか……」


「シェリーはそこなんだよなぁ」


 ケヴィンが苦笑する。


「強いカードとか、あんまり興味ないもんね」


「だって、捕まえたモンスターが戦ってるところを見ると……」


 シェリーは少し困った顔をする。


「かわいそうです」


「でも勝負だからね?」


 フローラが笑う。


「私は強いカード欲しいけどなー」


「フローラは分かりやすいな」


「いいじゃん!」


 そんな話をしていると――。


「ふふふ……」


 ガブリエルが、意味ありげに笑った。


「…………」


 四人の視線が集まる。


「……何?」


 フローラが尋ねる。


「いえ?」


 ガブリエルは優雅に紅茶を飲む。


「何でもありませんわ」


「絶対何か知ってるだろ」


 ケヴィンが即座に突っ込んだ。


「知りませんわよ?」


「その顔は知ってる顔だろ!」


「まあまあ」


 エミリアが苦笑する。


「ガブリエル様が何か知っていたとしても、話せないことになっているんでしょう?」


「そうですわ!」


 ガブリエルが胸を張る。


「情報漏洩防止ですもの!」


「じゃあ言うなよ……」


「言ってませんわ!」


「顔が言ってるんだよ!」


「…………」


 ガブリエルは少しだけ視線を逸らした。


「まあ……わたくしは、ちょっとだけ知っていますけれど」


「やっぱり!」


 フローラが身を乗り出す。


「何なの!?」


「言えませんわ!」


「そこまで言って!?」


「言えませんもの!」


 ガブリエルは楽しそうに笑う。


「でも――」


「でも?」


「皆様も、もうすぐ知ることになりますわ」


「いつ?」


「そのうちですわ!」


「絶対今日じゃん、それ」


 ケヴィンが呆れる。


「ガブリエル様、こういうときだけ分かりやすすぎます」


 エミリアまで笑った。


 シェリーはそんなガブリエルを見ながら、首を傾げている。


「そんなに面白いものなんですか?」


「ええ!」


 ガブリエルが即答する。


「とても面白いものですわ!」


「じゃあ、私も楽しみです」


「ふふふ……」


 ガブリエルがまた意味ありげに笑う。


「だから、その顔やめろって……」


 ケヴィンが頭を抱えた。


 ――そして数日後。


 ついに。


 エキドナから正式な情報が公開された。


「…………」


 モンバト部の五人は、掲示された説明をじっと見つめていた。


「ヒーローバトラー……?」


 フローラが読み上げる。


「ヒロバト、ですって」


「人間のデータを使う……?」


 エミリアが続ける。


「人間のデータをカードから幻影として呼び出して、戦わせる……」


「人間?」


 ケヴィンが目を丸くする。


「モンスターじゃないのか?」


「そこが新しいんですわ!」


 ガブリエルが勢いよく立ち上がった。


「ヒロバトは、人間の戦闘データを使うんですの!」


「ガブリエル様、知ってたんですよね?」


 エミリアが笑う。


「ええ!」


 ガブリエルは満面の笑みを浮かべた。


「ずっと知ってましたわ!」


「やっぱり……」


 ケヴィンがため息をつく。


「情報漏洩防止って言ってたのに」


「わたくしは何も漏らしてませんわ!」


「それはそうだけど」


「わたくし、ちゃんと黙っていましたもの!」


「そこは偉いんだけどな……」


 フローラは説明を読み進めていた。


「えっと……人間データを登録するには本人の許可が必要」


「へぇ」


「登録した人の戦い方を再現するけど、その人本人が操作するわけじゃない」


「つまり、本人とは別物なんですね」


 エミリアが理解する。


「そういうことですわ!」


 ガブリエルが嬉しそうに頷く。


「幻影はあくまで戦闘データの再現ですの!」


「じゃあ、例えば……」


 フローラが考える。


「マドカさんのデータを登録したら、マドカさんの幻影が戦ってくれる?」


「そうですわ!」


「すご……」


 フローラの目が輝いた。


「それなら、強い人の戦い方を何度でも見られるってこと?」


「その通りですわ!」


 ガブリエルがさらに嬉しそうになる。


「しかも!」


「まだあるの?」


「幻影同士でも戦えますの!」


「えっ!?」


 フローラが声を上げる。


「人間の幻影と人間の幻影で?」


「そうですわ!」


「じゃあ、マドカさん対リゼットさんとかも?」


「できますわ!」


「見たい!」


 フローラが即答した。


「私も見たいです」


 エミリアも頷く。


「それ、普通に勉強になりそう」


「俺は戦い方の比較ができるのが面白そうだな」


 ケヴィンも説明を読み込む。


「剣士同士だけじゃなくて、魔法使いとか弓使いとかもいるんだろ?」


「ええ」


 ガブリエルが頷く。


「複数の幻影を組み合わせることもできますわ!」


「じゃあ、チーム戦もできるんだ」


「そうですわ!」


「それなら、ただの一対一じゃないな」


 ケヴィンが少し真剣になる。


「前衛と後衛を組ませたり、役割を変えたりできるなら、結構いろんなことができそうだ」


「ケヴィン、急に真面目」


 フローラが笑う。


「いや、こういうのは考えた方が面白いだろ」


「私はかわいいモンスターを使いたいです」


 シェリーが説明を眺めながら呟く。


「……あ」


「どうしたの?」


「これ、人間の幻影がモンスターを攻撃したらどうなるんでしょう?」


「え?」


 全員がシェリーを見る。


「モンスターと人間を一緒に戦わせられるんでしょうか?」


「…………」


 ガブリエルが固まった。


「……それは」


「それは?」


「まだ、そういう話は聞いていませんわ」


「残念です」


 シェリーが少しだけ肩を落とす。


「人間の幻影と、かわいいモンスターを一緒に並べたら楽しそうなのに……」


「シェリーらしいな」


 ケヴィンが笑う。


 その横で、エミリアが説明の続きを見つけた。


「あと……説明映像?」


「そうですわ!」


 ガブリエルがまた食いつく。


「ヒロバトの使い方や、人間データについて説明する映像ですの!」


「これもエキドナの人たちが出てるの?」


「ええ!」


「マドカさんも?」


「もちろんですわ!」


「えー!」


 フローラが身を乗り出す。


「それ、見たい!」


「わたくしも何度でも見たいですわ!」


「ガブリエル様、もう内容知ってるんですよね?」


「知っていますわ!」


「なのに?」


「何度見ても楽しいものは楽しいんですの!」


 ガブリエルは堂々と言い切った。


 エミリアも笑う。


「しかも、ほとんどお金がかからないんですよね?」


「そうですわ!」


「じゃあ、買ってみようかな」


「私も!」


 フローラが手を挙げる。


「俺も見る」


「私もです」


 シェリーも頷いた。


「マドカさんたちが出てるなら、見てみたいです」


「決まりですわね!」


 ガブリエルが嬉しそうに笑う。


「では、みんなで見に行きましょう!」


「なんかガブリエル様が一番楽しそうなんだけど」


 ケヴィンが呆れる。


「当然ですわ!」


 ガブリエルは胸を張った。


「だって、ヒロバトですもの!」


 こうして。


 長い間、情報漏洩防止のために何も知らされていなかったモンバト部にも。


 ついに、ヒーローバトラーの情報が解禁された。


 そして彼女たちはまだ知らない。


 この新しい遊びが、これからモンバト部の遊び方そのものを大きく変えていくことを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。