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落内円は落ちている  作者: 七風


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後日談 王家の説明会後

「……思っていた以上に、大変な説明会だったな」


 説明会から数日後。


 王城の一室で、アルバトロイ王、エレノア、ガブリエル、そしてクリスティーナ夫人が顔を合わせていた。


 エレノアは出された茶を口にしながら、どこか他人事のように答える。


「お父様も、大変そうでしたね」


「他人事だな、エレノア」


「エキドナの人間です」


 あっさり返され、アルバトロイは苦笑した。


「そうだったな」


 隣では、ガブリエルも楽しそうに笑っている。


「でも、面白かったですわ。ニコラ博士、あそこまで言い切るとは思いませんでしたもの」


「私も驚きました」


 エレノアが頷く。


「『理解できないなら買わないで』ですからね」


「しかも説明映像まで用意しているのでしょう?」


「ええ。しかも映像だけなら、ほとんどタダ同然で販売するそうですわ」


 ガブリエルは嬉しそうに笑う。


「それなら、本体を買う前に確認できますもの。とても親切ですわね」


「……あれを親切と言うのか?」


 アルバトロイが呟く。


「説明しているのだから、あとは自分で判断しろというだけだぞ」


「それで十分ではありませんか?」


 エレノアが平然と返す。


「お父様も、説明会で納得していたではありませんか」


「それはそうだが……」


「ふふ」


 その様子を見ていたクリスティーナが、楽しそうに笑った。


「本当に、エキドナというところは面白いですわね」


「姉上は今回が初めてだったな」


「ええ。新聞では何度も名前を見ていましたけれど、実際にあの場で話を聞くのは初めてでしたもの」


 クリスティーナは少し思い返すように目を細める。


「新聞に書かれていたこと、あまり大袈裟ではなかったのですね」


「むしろ新聞のほうが控えめなくらいですよ」


 エレノアが言う。


「やはりそうでしたか」


 クリスティーナは楽しそうに頷いた。


「普通なら、あれほどの技術を持っていれば、もっと権力者に売り込もうとするでしょう?」


「エキドナはしませんわね」


 ガブリエルが答える。


「むしろ、『欲しければ買えば?』くらいですもの」


「そしてニコラ博士が、『別に買ってもらわなくても困らない』と」


 クリスティーナはくすくすと笑った。


「本当に型破りですわ」


「型破りなのは、今に始まったことではないぞ」


 アルバトロイがため息をつく。


「マドカを見ていれば分かる」


「マドカは……まあ、そうですわね」


 エレノアも否定しない。


「本人はいたって普通にしているつもりなのですけれど」


「そこがまた面白いのですわ」


 クリスティーナの目が輝く。


「新聞で読んだ時は、少し誇張されているのかと思っていましたの。でも実際に会ってみると――」


 一度言葉を切り、楽しそうに笑う。


「本当に、新聞の通りの人たちなのですね」


「そうでしょう?」


 ガブリエルが嬉しそうに頷く。


「エキドナって、ずっとあんな感じですわ」


「ガブリエル、お前はエキドナの人間ではないだろう」


「正式には、ですわね」


「正式には?」


「私はよく遊びに行っていますもの」


 アルバトロイが黙る。


 エレノアが横から口を挟んだ。


「入り浸っていますね」


「お姉様まで!」


「事実でしょう?」


「……まあ、そうですわね」


 ガブリエルはあっさり認めた。


 クリスティーナは楽しそうに二人を見る。


「まあ。二人とも、すっかり気に入っているのですね」


「私は仕事で在籍していますから」


「私は遊びに行っているだけですわ」


「どちらにしても、王城よりエキドナにいる時間のほうが長くなっていないか?」


 アルバトロイがぼやく。


「お父様も来ればよろしいのでは?」


「私は国王だぞ」


「エキドナなら気にしないと思いますわ」


「……それはそうだろうな」


 アルバトロイは少し考えてから、苦笑した。


「まったく。あの連中は、王家を相手にしても本当に変わらんな」


「そこがいいのではありませんか?」


 クリスティーナが静かに言った。


「少なくとも、今回実際に会ってみて分かりましたわ」


「何がだ?」


「エキドナは、面白い組織です」


 夫人は楽しそうに笑う。


「これから、何を始めるのか。少し楽しみになってきましたわ」


 アルバトロイはそんな姉を見て、また小さくため息をついた。


「……姉上まで入り浸るつもりではないだろうな?」


「もちろんですわ、トロイ」


「その答えは信用できんな」


 四人の笑い声が、部屋に響いた。


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