リゼットの試練
『――第一試練、クリア』
銀翼の五人が、ほっと息をつく。
「最初は思ったより簡単だったな」
ガレスがそう言った直後だった。
『――第二試練を開始します』
部屋の様子が変わる。
壁が開き、無数の標的が現れた。
大小さまざまな魔物の姿をした標的が、部屋の奥から次々と飛び出してくる。
「今度は普通の戦闘か?」
ヴァルトが盾を構える。
すると、また声が響いた。
『この試練では、制限時間内にすべての標的を撃破してください』
「それなら――」
セリナが弓を構える。
その瞬間、目の前の標的に向かって矢を放った。
ヒュッ!
矢が命中し、標的が消える。
『一体撃破』
「……普通ね」
セリナが次の標的へ狙いをつける。
しかし、その横で別の標的が速度を上げた。
さらに別の標的が現れる。
「多いな!」
クロードが短剣を投げる。
一体、二体と倒していく。
だが――。
『警告』
「ん?」
『撃破順が不正解です』
「は?」
その瞬間、消したはずの標的が再び現れた。
「戻った!?」
ガレスが目を見開く。
「どういうことだ?」
『正しい順番で撃破してください』
「順番……?」
五人が画面を見る。
標的には、それぞれ数字が表示されていた。
一。
二。
三。
四。
「なるほど。番号順か」
ガレスが一番の標的を斬り伏せる。
『正解』
続けて二番。
『正解』
三番。
『正解』
「これなら――」
しかし、四番を攻撃しようとした瞬間。
別の標的が割り込んできた。
「邪魔だ!」
ガレスが反射的にそちらを斬る。
『不正解』
「またかよ!」
倒した標的が復活する。
さらに制限時間が減っていく。
「くそっ!」
セリナが叫ぶ。
「攻撃する順番を間違えたら戻る!」
「じゃあ、全部無視して番号順に倒すしかない!」
クロードが周囲を見回す。
だが、標的は動き回っている。
単純に番号を見るだけでは間に合わない。
そのとき、ミレイユが声を上げた。
「待ってください!」
「どうした?」
「一番を倒したあと、二番が動いています!」
「……つまり?」
「最初に見た位置ではなく、今の位置を確認しないといけません!」
「なるほど!」
銀翼は動きを変えた。
ガレスが前衛で邪魔な標的を牽制する。
セリナが次の標的を狙う。
クロードが周囲を確認し、番号を伝える。
ヴァルトが飛んでくる攻撃を防ぐ。
ミレイユが全員を支援する。
「三番!」
「見えた!」
「次、四番!」
「任せろ!」
一体ずつ、確実に撃破していく。
最後の標的が消えた。
『――第二試練、クリア』
「……ふぅ」
銀翼全員が息を吐いた。
観戦室では、リゼットが腕を組んでいた。
「まあ、最初はこんなものね」
マドカが笑う。
「リゼット、結構本気で作ったでしょ?」
「当然でしょう」
リゼットは当然のように答えた。
「冒険者なら、ただ敵を倒せばいいというものではありませんから」
ゲンナイが画面を見る。
「なるほどな」
そして、少しだけ笑った。
「こいつぁ、面白ぇ」




