ダンジョン前日
この数日間、エキドナは会議に会議を重ねていた。
それは、ダンジョンマスター・ゲンナイのツンデレに、全力で乗ってあげようという優しさからだった。
「ここはこうした方が面白いんじゃない?」
「じゃあ、この部屋はこうしよう」
「それならこっちは……」
そうして決まった内容をダンジョンに反映させるため、ゲンナイはせっせと作業を続けていた。
そしてマドカは、Sランクパーティー『銀翼の黎明』のホームへ来ていた。
対応してくれたのは、ガレスとセリナだった。
「あら、マドカ。今日はどうしたの?」
セリナが笑顔で迎える。
「面倒な案件は困るぞ?」
ガレスは少し警戒した様子だ。
「いやー、実はさ。最難関ダンジョンでダンジョンマスターに依頼を受けてね~」
「ダンジョンマスターに?」
「うん。新しい階層を作ることになったから、テストプレイをしてほしいみたい」
「テストプレイ……」
「そうそう。もちろん命の保証あり!」
ガレスが眉をひそめる。
「……本当に命の危険はないんだな?」
「もちろん。危なくなったら即終了。ちゃんと安全装置もあるから」
セリナは少し考えてから、マドカを見る。
「マドカの頼みなら聞いてあげたいけど……」
「大丈夫だって。今回はエキドナからの正式な依頼だから」
「正式な依頼?」
「うん。それに参加賞もあるよ」
「参加賞?」
「豪華景品を用意するからさ」
セリナの目が少し輝いた。
「……豪華?」
「豪華」
「なら、受けてもいいんじゃない?」
「おい、セリナ。そこなのか?」
「だって豪華景品よ?」
「お前な……」
こうして銀翼の黎明は、エキドナからの依頼を正式に引き受けることになった。
――それが、前日のことである。




