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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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9/8 三話目

 王女として表に立ち、姿を現す。

 魅了の力持ちであると皆が知っている。舐め回すような視線を向けられたり、私の魅了の力を利用しようとする人もいる。ただ魅了の力を恐れている人も。



 過去に王族である私と縁続きになりたいからと近づいてきた貴族の子息も私から距離を置いている。




 ……王族と親しくなる利点よりも、私が魅了の力を持つことへの恐れの方が大きいみたい。

 私のことを排除すべきとか、表に出すべきではないのではないかとか、そんな思考を持ち合わせている人も当然存在しており……私の立場はとても難しいものではある。

 ソシエア王国の暗躍により危機に陥っていた私に対して同情している人達も多いけれども、彼らの動きによって私の魅了の力が露見したのだから逆に感謝すべきなどとよく分からないことを言っているような人もいる。

 ……魅了の力を持っていることを隠していることはまるで罪かなにかみたいに思っているようだった。

 それは恐れからくる言葉なんだろうなというのも理解している。

 そう、いつの間にか知らないうちに魅了されてしまうことをただ怖がっている。

 だからこそ過剰なほどに、魅了持ちである私のことをきっと警戒しているのだろうというのは理解出来る。



 魅了とは、扱いが難しい力だからそこまで警戒する意味も理解は出来るけれどね。




「フルダーナス、もうすぐ帰ってくるの?」




 そうして過ごしている中で、フルダーナスがもう間もなく戻ってくるという話を聞いた。

 ソシエア王国の問題の後片付けで、忙しく動いていたと聞いていた。あれからまだ一度も会えていない。

 だからフルダーナスが戻ってくることが私は嬉しかった。




 どんな顔をして、何を言えばいいのかとかそういうのは分からないし、好きだと気づいてから初めて顔を会わせることになるから物凄くドキドキしている。

 落ち着かなくて、突然気持ちを受け入れるなんて言ったらフルダーナスはどんな態度をするだろうかとか、様々なことを考えてしまう。

 きっと嬉しそうに笑ってくれるんだろうなって思っているけれど。

 ただ私と一緒にいると、フルダーナスは魅了の力によって惑わされているのではないかとかいつまでも言われてしまうことになりそうだ。




 事実は違ったとしても、思い込みのままそんなことを言う人ってやっぱり存在しているから。

 フルダーナスのプライドを傷つけてしまうことになるのではないか……。彼だってそのように魅了に振り回される男というレッテルを張られるのはきっと嫌だと思う。

 だからどうなんだろう? と思ったりもする。




 私と一緒に歩む未来を選べば、それだけ苦労する。

 ちゃんとフルダーナスと話したいな。魅了持ちである私と一生付き合っていくということがどういうことなのかを説明した上で一緒に居てくれるか確認しないと。

 ……私って心配性なのかも。

 だってフルダーナスは私のことを好きだといってくれていて、求婚してくれている。魅了の力を持つことを知っても優しく笑ってくれて、助けてくれた。




 だから私が伝えたらただ喜んでくれるだけのはず。そう思っているのにな。ただ心のどこかでは、彼が魅了の力を忌避したら、私に向ける視線が変わったら……って、そんな風に考えてしまったりする。




 出会ってからずっと、フルダーナスが私を追いかけていた状況だった。

 だからもしフルダーナスが私から距離を置こうとしたら今度は私の方から追いかけてみればいいのかもしれない。

 なんて、そんなことも考えたりする。




 そしてそんなことを思考しながら過ごしていると、フルダーナスがようやく戻ってきた。

 ただフルダーナスは個別に私の元へと話をしにやってきたりはしなかった。

 フルダーナス個人としてというより、グザックデーダ王国の“白炎の魔法師”という英雄の立場で動いている。




 お父様達への報告だとか、フルダーナス目当てにこの国にやってきている人達への対応だとか……やらなければならないことが幾らでもある。

 ……少しだけ寂しいなと思うけれど、フルダーナスの立場からしてみると仕方がないことだ。

 戻ってきたフルダーナスがお父様へと報告をするということで、私はその場に王女として顔を出した。





 久しぶりに見たフルダーナス。

 好意に気づいてから初めてフルダーナスのことを見かけたからか、凄く嬉しかった。

 姿を見れるだけでこれだけ嬉しくなるなんて、恋って不思議だ。

 ふと、目があった。

 フルダーナスは笑っている。声をかけてもらったりしているわけじゃないのに、その笑みを見ただけで彼は変わっていないんだなとほっとした。




 お父様の言葉にフルダーナスが答え、真面目なやりとりが続く。

 ソシエア王国はフルケーヘン王国とグザックデーダ王国が後見になった上で、国政を見直す形になるらしい。魅了の力に惑わされた一部の貴族によって国内は荒れ果てているようだから。



「……ところで、我が娘であるヴィオミーリナとフルダーナスに関する噂が出回っている」

「存じています」

「貴殿が魅了に惑わされているのではないかという噂が出回っているが」




 ……突然お父様がそんなことを言いだしたので驚く。でもフルダーナスは平然としているので、もしかしたら事前にこの話題を出すことが決まっていたのかもしれない。

 貴族たちが沢山集まっている場だからこそ、というのもあるだろう。




「全く以って事実無根な噂ですね。ヴィオミーリナ殿下は魅了の力を使わずとも魅力的なので、私が望むのは当然でしょう?」



 ……周りに示すためだというのは分かっているけれど、何を恥ずかしいことを堂々と言っているのかしら。


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