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9/1 二話目
「ごきげんよう、ヴィオミーリナ殿下」
「本日は“白炎の魔法師”様にエスコートしていただいているのですね」
私とフルダーナスがパーティー会場に顔を出すと、沢山の人達に囲まれる。私一人だったらここまで多くの人達に寄ってこられることはなかっただろう。
私とフルダーナスのことはそれなりに噂になっているから、周りは興味津々なのだろうな。
そもそも私もフルダーナスもそこまでパーティーなどに出たりはしない。
私は少しずつ表に出るようにはなってきているけれど、それも限られた場だけだもの。
私は表に出る場合も基本的に限られていて、パーティーに出る時だって身内間のものが多かった。
最近、魔法書を出版したのもあってそのことで興味を持たれているのもあるだろう。
魔法書を世に出すまでは、私が魔法をそこまで嗜んでいるのだと知らない人もそれはもう多かったはずだ。私が魔法の研究をしていることは特に隠してもいないが、それが広まることは中々なかったのだろうな。
ただ近寄ってくる人たちに関しては、私と魔法談義をしたいわけではないのだ。
私と話して交流を持ちたいって人たちばかり。そこには様々な思惑がある人ばかりなわけだけど。
フルダーナスはそつなく対応をこなしていて、凄いなとは思った。
私と違って、ずっと王宮魔法師として様々な人達と関わってきたからこそなんだろうな。
それにさりげなく私が困る質問などがくるといなしてくれたりしていた。
それにしてもどういう質問が来たとしても同じ表情のまま答えていて、それも凄いことだ。
……うん、私に話しかけるついでに、私とフルダーナスが実際にどういった関係なのかを知りたがっている人も多そう。
フルダーナスとそういう仲になりたい女性って、山ほどいるのである。
こうしてパーティーで参加者達と話しているだけで少しだけ疲れる。楽しさももちろんあるけれどね。
ただパーティーって雰囲気からしても楽しかったりする。美味しいものも幾らでも食べられるし、時折給仕をしているオーロの姿も見ることが出来てそれは楽しい。
オーロは真面目に給仕の仕事をしていて、何事にも一生懸命取り組めるのもオーロの良いところだ。
私もオーロを見習って、しっかりしないと。
一番は何事もなくパーティーを終えることだけれども、どうなんだろう?
私は話しかけてくるパーティーの参加者達と話しながらも、周りに視線を巡られている。
怪しい人物がいたら対応をしなければならないもの。
もちろん、私が直接対応をするというより、周りに報告をする程度に留める予定。
だって私のことを探られている状況なのだから、私自身が動かない方がいい。私自身が目当てだったりするなら、どうなるか分かったものじゃないし。
ダンスの時間では、フルダーナスと踊った。
ダンスを踊るのも嫌いじゃない。私はどちらかというと椅子に座って研究をする方が好きだけど、身体を動かすのも好きな方ではある。
まぁ、王族として教育を受けるよりも魔法の研究をする方が私は好きだけど。
フルダーナスは私とダンスを踊っているだけで、楽しそうな様子だった。それにとても踊りやすくて、その点も流石だなと思ったりした。
こうしてダンスを踊るのも楽しい。
三曲続けて踊ったりするのは、将来を約束している仲とかだったりする。私はフルダーナスに気持ちを返すかいまだ分からないので、連続して踊ることはなかった。
フルケーヘン王国の貴族達や、他国からやってきた使者たちとも踊ったりをする。その中にはソシエア王国の使者の姿もあった。
……今のところは、踊っている時だって不審な点はなかった。
でも油断するわけにもいかない。
それにしても踊っている相手によっては、ちょっと踊りにくかったりもするな。
上手な人と、そうじゃない人の差ってやっぱりある。私のことを驚くほどに持ちあげるような人もそれなりにいた。お世辞もあるだろう。まぁ、本心から褒めている部分もありそうだったけれど。
グザックデーダ王国の人達は、私が思ったよりもフルダーナスと仲良くしていることを嬉しそうにしている人も多かった。
フルダーナスのことを昔から知る貴族子息なんかは、「あいつがここまで一人の女性に夢中になるとは」なんて口にして楽しそうにしていた。フルダーナスのお友達なのかもしれない。
フルダーナスって、あまり友人と仲良くしている光景が思い浮かばなかったりするけれどちゃんとお友達がいるんだな。
ダンスが終わった後に、フルダーナスの普段の様子なんかを聞いたりした。私とグザックデーダ王国の方の一番の共通点はフルダーナスだもの。
フルダーナスのことを好ましく思っている女性に関しては、相変わらず私に当たりが強い部分もあったけれど。
それも仕方がない事だとは思う。
私がフルダーナスのことを振ったら、自分にもチャンスがあるはずだってそういう感情を抱いているのかな。
あとは私と良い仲になろうと近づいてくる男性陣も存在する。
王族の未婚の姫である私と縁続きになることで、利点は幾らでもあるだろうから。
そうやってパーティーを楽しんでいる中で、私は声をかけられる。
「失礼します。ヴィオミーリナ殿下」
振り向くと、一人の給仕の女性の姿があった。




