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「付き合う? え? 恋人になったってこと? 急に!?」
私は思わず立ち上がって、勢いよくオーロにそう問いかけた。
だってまさかオーロがルンジャーとそういう仲になるとは思ってもいなかった。
だって今までそんな素振りなかったと思うのだけど。私の知らないところで、何か進んでいたってこと?
オーロ自身は一度目の結婚生活が上手くいかなかったのもあり、次の結婚など考えていないと言っていたのは知っている。
それなのに急に恋人を作ったことにびっくりした。
「ふふ、そんなに驚かなくてもいいじゃない」
「だって、オーロ、結婚とかは考えていないって」
「結婚は考えていないわ。そのことはルンジャーにも伝えてあるの。もし結婚にまで至らなくても一緒に居られたらそれでいいともそう言ってくれたから」
オーロは一度の離縁経験があるからこそ、結婚というものに対してとても慎重なのだろう。
いざ結婚して失敗してしまった経験があるから、そう簡単に誰かと結婚することが考えられないのだろうな。
ルンジャーはそれでもいいと言っているらしい。でもそれもまた一つの形なのかな。
私は王族であるし、誰かと付き合って誰かと別れるというのを簡単にすべきではないとは思っているし、恋人関係になるなら結婚まで至るのが当然という認識も強かったりする。だけれども、それだけが正解じゃない。
「そうなんだ。……えっと、良かったね。びっくりしたけれどオーロが恋人を作ったことは良いことだと思っているの。オーロがどういう道を選んだとしても私は応援するわ。だから、何かあったらすぐに相談してね? ルンジャーがオーロを悲しませることがあったら私が怒るから」
私がそう言ったら、オーロはくすくすと笑いながら頷いてくれた。
「とても心強いわ。私もフルダーナスさんがあなたを悲しませることがあったら、どうにかするから教えてね?」
「うん。ありがとう、オーロ。それにしてもオーロはルンジャーのことを好きだったの?」
「恋愛感情はまだ分からないわ。でも私はルンジャーと一緒にいるのが楽しいと思っているの。だから試しに付き合おうかなと」
オーロは軽い調子でそう言った。
オーロって本当に前向きというかなんというか、結婚生活の経験があってもこうして誰かと付き合おうとする力があること自体が凄い。
私だったらしばらく引きずってしまう形になると思う。それでいて、未練がましく中々次に行けない気もする。
それがオーロの強さで、私はそういうところがオーロの良さだなとそうも思っている。
「そっか」
「ええ。ヴィオがフルダーナスさんと付き合うことがあったらダブルデートでもしましょう。一緒にお出かけをするのはとても楽しいと思うの」
「一緒にお出かけ?」
「そうよ。私は流石にダブルデートはしたことがないの。だからやってみたいなとそう思っているのよ」
にこにこしながらそう言われて、私は確かに楽しいのかも? とは思った。
でもオーロとルンジャーは恋人同士になったら、どういう風に関係が変わっているのだろうか。
これまで通りの友人同士としての距離感とは変わるわけよね? 私の方がオーロと仲良しだって示したくなるのは……友人を取られたくないなという、ただの子供っぽい感情を抱いているからである。
「ねぇ、オーロ」
「どうしたの? そんな神妙な顔をして」
「……ルンジャーと付き合っても、私と遊んでね?」
そう口にしてしまって、後から恥ずかしくなる。
だってなんだかこれ、構ってほしいって本人に言っているようなものだもの。
「もちろんよ。ヴィオは友達で、ルンジャーは恋人で、それぞれ大事だもの。寧ろヴィオのことを蔑ろにする私のことはルンジャーは嫌に思うでしょうね。ルンジャーはヴィオと楽しそうに過ごしている私を見て好意を抱いたのもあるらしいから」
「そうなの?」
「そうよ。ヴィオが私に会いに来てくれて、楽しく過ごしたからこそ今の私がいるの。そしてヴィオと一緒にいる私を好きになってくれた。それってとても嬉しいことだわ」
優しい表情を浮かべて、オーロはそう言った。
私もオーロと一緒だからこそ、色んなことに挑戦しようとしている。オーロも私も二人で一緒だからこそこうなんだなと思うとそれはそれで嬉しい。
それにオーロが恋人を作っても私と遊んでくれることも。
「ヴィオも、恋人が出来ても私と仲良くしてね?」
「ええ。もちろん!」
私はそう言って元気よく答えるのだった。
ルンジャーともその後、改めて話した。オーロのことを傷つけたら許さないって言ったら、笑顔で頷かれた。
ルンジャーと一緒にいるオーロは楽しそうで、それを見ただけで私も幸せな気持ちになった。




