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フルダーナスと一緒に王都を歩く。それこそ人気のお店から、そこまで人気のないお店まで。
私は王都のことを知っているようで知らないのだなとも思ったりした。
だってこんなにも知らないお店も、光景も沢山広がっているのだ。
お店の人にお揃いのものか記念のものが欲しいという話をしたら恋仲なのかと勘違いされる。そうではないとは否定した。フルダーナスは「やっとデートしてもらえたんだ」と嬉しそうにしていた。
ニヤニヤした表情を浮かべられるとなんというか、恥ずかしい気持ちになった。
結局何軒かのお店を回って、購入したのは使い勝手の良さそうなハンカチや羽ペンだった。
やっぱりアクセサリーなどって余程のお気に入りじゃないと身につけないだろうなと判断したから。
フルダーナスも私に無理してそういうものを身に着けて欲しいわけではないみたいだし。
どちらかというと私が喜ぶものを渡したいってそうも言ってくれていた。
フルダーナスは本当に嬉しそうにしていて、その様子を見ていると購入して良かったなとは思った。
買い物の最中に別に欲しいものがあったら購入したりもする。なんというかお出かけが楽しいからか、普段よりも色んなものを購入してしまった。使うかどうかも分からないのに、これだけ買うなんて少しもったいなかったかもなんて思う。
ただ私は王族としてはお金をつかわなさすぎだとそう言われているぐらいに、もらっている予算は余っていたから別にいいかとも思ったり。
そうして過ごしているうちに時間は過ぎていき、夕方になってきた。そろそろ帰らなければならない時間だ。あまりにも遅いとお父様達が心配してしまう。王都は治安の良い方とはいえ、あまり遅い時間までぶらついていたら心配性な家族が黙っていないだろうし。
「名残惜しいがそろそろヴィオを帰さないとな」
「ええ。そろそろ帰宅しないとあなたが大目玉を食らってしまうわ」
「ヴィオは家族に愛されているからな」
「そうよ。皆、私のことを大切にしているから、何かあったら大変なことになるのは間違いないもの」
うん、それこそフルダーナスが私を大切にしていないと判断したら、私に近づけることはなくなるだろう。これまでの信頼が一瞬にして消え失せるなんてこともあり得なくはない。
フルダーナスは私の家族がどういう人たちか理解してくれていると思う。だからきっと何かやらかしたりはしないんだろうなとは思っているけれど。
フルダーナスに手を引かれて、人混みの中を歩く。
少し日も暮れている時間なのにまだまだ人が沢山居る。明日には仕事の人も多いだろうに、お酒を飲んで酔っ払っている男性なども見られる。
それと騎士達が真面目に巡回している様子も見かける。人が多いとそれだけ騒動が起きる可能性も高いから、こうして仕事をしている様子を見るとほっとする。
私がフルダーナスとお出かけをすることを知っている人達はちらちらこちらを見ていたりもしたけれど。
……お父様達にはすっかり私とフルダーナスのお出かけの様子は知られているんだろうな。
フルダーナスという護衛に適した存在が居るから今回は自由に動かせてもらっているけれど、ちゃんと私の一挙一動は確認されているだろうし。
王族であるからその身に何かないようには心がける必要はある。例えば今此処で私の身に何かあったらフルダーナスが大変になるだろう。
王宮へと送り届けてもらう。入り口付近で王宮に仕える騎士達に引き継いでもよかったのに、フルダーナスはまだ私を送り届ける気満々なようだった。
「部屋まで送ってくれようとしなくていいのよ?」
「私がヴィオとまだ一緒に居たいから」
「そう、ならお願いするわ」
一緒に居たいからと、そのまま私付きの侍女達の居る場所までフルダーナスは私を送ってくれた。
「ここまででいいわ」
そう言ったら少し残念そうにしていた。そんな風に寂しそうな顔を見ると、もう少し話す? と聞きそうになったけれど流石にやめておいた。
その気もないのにそういうことを言うべきでもないし、もう夕方時だもの。
フルダーナスはそのまま去って行った。
「ヴィオミーリナ殿下、デートはいかがでしたか?」
「楽しかったわ」
侍女からの問いかけに、迷わずそう答える。そう、楽しかった。
また行きたいなと思うぐらいには、楽しい一日だった。フルダーナスは私を楽しませようと全力をつくしてくれていたし、あまりお出かけしない人が多い時間帯にお出かけをして普段見ている王都とはまた違う雰囲気を味わえた。
王都はきっと私の知らない一面を沢山持っているんだろうなと思うと、もっと見て回りたいなとさえ思った。
その日は楽しかったなと、少しだけ寝付けなかった。




