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お出かけはまだ続く。
なんだか楽しいから、時間が経つのが凄く早い。楽しい時間は本当にあっという間だ。
それになんだろう、普段はお出かけする時は護衛がひっそりとだけど沢山ついてきている。ご飯を食べる時だって近くに控えている護衛が毒見をしていたりとか、そういうことも多い。
ただフルダーナスとのお出かけは、それよりも気軽な気分だ。
やっぱりただのお忍びでのお出かけだったとしても気は張ってしまっているもの。
ご飯を食べた後は、ぶらぶらする。
次の予定までまだ時間があるから、ぶらついて気になるところに行こうってそう言われた。
まぁ、デートだとがちがちに予定が固められているというよりも比較的自由なものなのかもしれない。
予定を決めずにただぶらつくのも楽しい。
オーロと一緒にお出かけする時とは、また違う雰囲気。
「ねぇ、本屋に行きたいわ」
歩いていると本屋さんを見かけた。
店頭に張り出されている新刊の情報を見る。それは最近出た魔法書だった。
私とフルダーナスの共著はまだ世には出ていない。これからもう少し整えて、しばらくしたら誰もが見れるようにはなるだろう。
そうなったら、どんな反応をもらえるのだろうか。
少しだけ緊張する。私とフルダーナスの名が書かれた本だなんて、凄く目立ちそう。
私は魔法書に名を連ねるのなんて初めてだし、楽しみだけど、少しだけ心配にもなる。ただ楽しみな方が大きいけれど。
図書館に行くのも好きだけど、こうして本屋に来るのも楽しい。
「ヴィオ、ほら、これ新しい魔法書だぞ」
「他国の魔法師の書いたものね」
「そうだな。この国からかなり遠い国の魔法師のものだ」
「フルダーナス、それ買うの?」
「ああ。他国の魔法師の本は読むと新しい発見があったりする」
フルダーナスはそんなことを言って笑った。フルダーナスって魔法書ならなんでもかんでも読むようなタイプじゃない。興味がないものだったらこうして手に取ることもないだろう。
きっと表紙などを見て、興味を持ったのだろう。
本屋には他国の本だというのもあって、一冊しか置いていなかった。
「ヴィオにも貸すようにする」
私がその本を見ていたことを気づいたフルダーナスがそう口にしていた。
「ありがとう。楽しみにしているわ。」
」
私はフルダーナスから本を貸してもらえるのも楽しみだなと思った。
ちなみに私は店内を見ていたら、児童向けの本が気になって手に取った。魔法師に憧れる少女の話。
こういう子供向けの話って、案外楽しいものも多い。
それに魔法師になるためのとっかかりになったりしたりもするから。
私は魔法について思う存分学べる立場だっただけれども、平民の出から自分の実力だけで魔法師として歴史に名をはせた人も世の中にはそれなりにいる。基本的には王族や貴族の方が魔力量は多い傾向にはある。ただ平民でも実は魔法の才能が高い人などもいたりする。
我が国ではそういう平民の才能を発掘するための施策も沢山行っている。
王宮魔法師の中にも、平民の出の人もそこそこいるしね。
そう言う人たちが魔法師を目指す時の第一歩として、児童書も含まれていたりもするのだって。
私とフルダーナスは大人向けの、専門用語も満載の魔法書を書いているけれど……こういうのもいいなと購入して思った。
「ヴィオは本当に魔法が好きだな」
「ええ。とても好きだわ。それはあなたもでしょう?」
「そうだな」
なんだかんだ、フルダーナスも魔法が好きなのだと思う。というか、そうじゃなければここまで有名な魔法師にはなれなかったとは思う。
「私ね、将来のことはまだまだ分からないけれど、魔法師を目指す子達を増やしたりするのもやってみたいなと思うの」
王族として、魔法を嗜む者として出来ることがまだまだ沢山あるはず。
オーロに会いに行くまでは、限られた世界で過ごしていて、新しい知り合いを作ろうとは思ってもいなかった。でも今は、もっと色んな出会いをしてみたいと思っているのだ。
これも、オーロの影響だ。
「そうか」
「ええ。フルダーナスはそういったこともしているの?」
「私はそういった活動はしていないな。どちらかというと魔物を倒したりとかの方が多い」
それもフルダーナスらしいなと思った。
「それだけ戦闘経験が沢山あるの、凄いと思うわ。私は少ししかやったことがないから」
「ヴィオの立場なら仕方ないだろう」
「それは分かっているけれど、もっとやってみたいのよね」
「それなら、調整する。許可が出たら連れ行こう」
「本当? 楽しみだわ」
フルダーナスと一緒に魔物討伐に向かうのならば、お父様達だって許可してくれるかしら?
許可が出るとしても大分先のことにはなるだろうけれど、考えただけでワクワクしてきた。
魔物討伐中のフルダーナスって、どういう感じなのかしら?
普段とは雰囲気なども全く違うのかな。そのことが少し気になった。




