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「ヴィオは何食べる?」
フルダーナスはそう言って私の方を見る。
メニュー表を見る。所々に料理の絵が描かれていて、見やすい。あとは可愛らしい女の子の絵で「美味しいよ」と言っている。
こういう可愛らしい絵を見ると、自然と笑顔になるわ。
私は絵を描く才能などもないから、こういう絵を描ける人って凄いなと素直に思ったりする。私は基本的に王宮で食事を摂ることばかりなので外で食べることはほぼないけれど、こういうのを見ると外で食べる楽しみってメニュー表とかにもあるんだろうな。
あとは行きつけのお店とかだと店員さんや料理人が気に入ったからなんて理由もあったりするのだろうか。
気軽にどこかに出かけたりすることは、私には出来ない。王族だから、そのような勝手な真似はどうしてもできない。
買い物をする場合でも、基本的に必要だったら商会の方から来てくれるしね。食べたいものも、基本はそう。
商人や料理人達も王宮に呼ばれるというだけでも凄い誉らしい。
それもそうよね。王族のお気に入りとかそういうこと風に認識されているだけで色んな影響があるもの。
例えば、私が王族と明かした上でこのお店に来ていたらそれだけで良い影響も悪い影響も与えられることでしょうね。
まぁ、あくまでお忍びだし、私が此処にいるからとごたごたするのも嫌だから言う気はないけれど。
「どれも美味しそうで悩むわ」
「ゆっくり悩めばいい」
なんて言っているフルダーナス自身は、さっさと選んでいた。フルダーナスって、こういうのはあまり悩まないタイプなんだろうな。
私はじっくりどうするか悩んだ。
フルダーナスとこうして二人でお出かけして、楽しいとはしゃいだ気持ちにも少しはなっていると思う。
どれもこれも食べたいなとそういう気持ちになって、余計に頭を悩ます。
あまり食べ過ぎてしまったらドレスなどの衣装も入らなくなってしまうし、肥満は不健康だから気をつけないといけない。
衣装などを何からなにまで買い替えになると凄い金額になってしまう。王族の身の回りのものは、安価なものにしすぎてもそれはそれでで問題だから。
結果として私はパスタを注文した。ミートソースのかかったもの。
フルダーナスはステーキを注文していた。一緒に食べるパンもふかふかで美味しい。
「美味しいわね。わざわざ予約してくれてありがとう」
お店の予約方法なども私は知らない。事前にお店に確認をしにいって、予約を入れる感じよね。
料金のこととかも特に聞いていないけれど、結構高かったりするのかしら。
「ヴィオが喜んでくれたならよかった。その笑顔を見れただけで予約した甲斐がある」
「折角だからデザートも食べようかしら」
「幾らでも注文してくれていい」
「あら、そんなこと言われたら、どんどん食べてしまうわよ? 気づいたら太ってしまっているかもしれないけど」
「ちょっと太っても可愛いだろうから、問題はない。健康面に影響があるような太り方は困るが」
この国だと女性が太りすぎるのはあまり好まれていない。それはフルダーナスの出身国でもそうのはず。
だけど、そういうのは特に気にしていないらしかった。
私の見た目は整っている方ではある。だからフルダーナスが私に惹かれているのかなと思ったけれど、そうじゃないのかな。
見た目って、その人を構成する重要な要素で、それが変わればその人への評価も変わったりする。
知り合いの貴族夫人なんかも、何らかの事情で見た目が変わってから夫に冷たくされるようになったとおっしゃっていた方もいた。
世の中、そういう話はよくあること。
でもフルダーナスは、私がちょっと太っても気にならないって笑っている。
見た目かぁ。
私も周りの人の見た目が変わったら戸惑いはする気がする。でもまず心配はするだろうな。
だってそのような変化が起こりうるのならば、何かあったからだろう。
「……そう」
でもなんだか、それでも構わないって言われても食べ過ぎたりはしないようにしたいな。
私はきちんとした私の方が好き。
私は末っ子だから、周りに甘やかされたりもよくするけれど。でも王族としてしっかりとするところは、ちゃんとしたい。
デザートは少しだけ我慢して一つだけ頼んだ。
「他のは……今度にするわ」
「それってまたデートしてるってこと?」
「時間が合えばね」
お出かけすることが楽しいと思っている。だから、時間が合えば構わないとそう思った。
私の言葉を聞いて、フルダーナスは嬉しそうに笑った。
食事をとった後は、また二人でぶらぶらと歩く。美味しかったな。また来た時には、別のレストランにいってもいいかもしれない。それに同じ場所でも他のメニューを頼んだらまた楽しいんだろうな。




