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演奏隊は平民達でも利用することが出来る施設の一角で、音楽を披露することになっているようだ。
観覧チケットは事前に販売されているものではなく、当日販売の形らしい。あとは途中で参加出入りも自由なようだ。
やはり王族や貴族の見るようなものよりは、自由だ。
私は平民達に混ざってこういうものを見るのは初めてだけれども、雰囲気が違ってそれはそれで楽しい。
あとは結構お喋りをしている人も居たりする。
真剣に演奏を聞いている人も居れば、特に興味がなさそうな人もいる。ただ演奏隊の人達もそんなお客さんには慣れているのか特に気にした様子はない。
彼らもプロなんだなと思う。
私はこういったお客さんを相手にするような仕事はしたことはないけれど、大変なんだろうな。
王女として誰かと話したりするときは、向こうも私が王族だからとかしこまっている。ただこういう風に誰かに何かを見せるお仕事だと、お客さんによっては定住せずに仕事をしている人達を見下している人もいるようだ。
実際にわざわざ見に来ておきながら、口さがないことを言っている声も聞こえてきた。
私は素敵な音楽だなと聞いていて楽しかったけれどね。
それにしても他国で習った音楽なども、沢山披露してくれていて楽しい。私は他国に赴いたりなどは全然してこなかったから、余計にね。知識として知っていても実際にその音楽に触れることもなかった。
これまで私はこういったものに触れる機会があっても、聞きに来ようとはしてこなかったんだよなぁ。
フルダーナスとのお出かけでやってこなかったら、この音楽隊を見に来ることもきっとなかっただろう。
王族という立場があるからこそ、自分勝手な行動をするわけにもいかない。
そのことが分かっているので、どうしても出かけなければならないこと以外は出かけるのをやめたりもするしね。
私がもっと一人で自分の身を守れるぐらいになれたら別なんだろうな。それこそフルダーナスみたいに国の要人であっても、一人でぶらぶらして許されているし。
フルダーナスは静かに音楽を聞いていた。案外、こういう芸術的なものもフルダーナスは好きみたいだ。フルダーナスは見た目からすると静かというか、音楽とか得意そうなイメージもある。ただ実際のフルダーナスはそういうわけではない。楽器とかはあまり演奏出来ないみたい。
「皆さん、ああやって音楽を嗜んでいるのね。新鮮な気持ちになれて楽しかったわ」
「ヴィオが楽しんでくれたならよかった。私も知らない曲も多かったな」
「そうなのね。フルダーナスは王宮魔法師として他国にも行っているのでしょう? その時にその土地特有の音楽などに触れたりしてきたの?」
「いや? 私、仕事で外国に行った際は流石にそういうのは見て回らなかったな。どちらかというと魔法書を買ったり、その国の魔法師と話したりばかりだった」
「そうなのね」
なんだろう、フルダーナスも私と同じなのかなと少し思ったり。
魔法に関すること以外、特に関わってこなかったというかなんというか。フルダーナスも私と一緒だから、こうやって別のことを楽しもうとしているのかなと思うと、それは嬉しいかもしれない。
「色んな国に行ったことがあるのは羨ましいわ」
私がそう言ったら、フルダーナスは笑いながら口を開く。
「なら、今度、一緒に行くか?」
「え、一緒に?」
「ああ。私は友好国から呼ばれることも多い。その時にヴィオも居たら楽しいだろうなと」
「……それは、楽しそうだけれどもあなたの気持ちを受け入れないといけないわね」
「別に受け入れなくても、どうとでも理由付けて連れて行けると思う」
フルダーナスは、私に無理強いはしてこない。私に好意を抱いているのはそうだろうし、結婚したいと思っていることも本心だろう。
だけれどもきっと、私が受け入れなくてもそれはそれで楽しんでそう。……まぁ、私が他の誰かと結婚することとか決めたら別かもしれないけれど。
「そっか。なら、そうやって出かけることも考えてみてもいいかもしれないわ」
フルダーナスが一緒ならば危険な目に遭うこともないだろうし。
とはいえ、私がフルダーナスと親しくして居たら、特別な関係だと疑う人も多そう。
私、どうしたいんだろうな。
そう思うけれど、私は自分の気持ちがはっきりと分かっていない。
「ああ。そうしてくれ」
フルダーナスはそう言って笑っている。
フルダーナスがこういう態度なのって、打算的な面もあるのだろうけれど純粋に楽しそうだなって思った。
魔法書も作成しているし、フルダーナスと一緒にやりたい楽しいことが沢山だ。
音楽隊の演奏を聞いた後は、フルダーナスが予約してくれていたレストランに向かった。
人気店なのか、お客さんが沢山居た。
そもそも普段は外であまり食べないようにしている。もし仮に毒などが盛られていたら、大事になるから。
ちゃんと魔道具などで対策は出来はするけれどね。




