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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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8/13 二話目


「ただいま、ヴィオ」



 フルダーナスが戻ってきた。



 案外、早い帰還に私は驚いた。やっぱりフルダーナスって凄いな。

 それにしても真っ先にこちらに来ていない? それだけ私に会いたかったということなのだろうか。




「おかえりなさい、フルダーナス」



 私がそう言って微笑んだら、フルダーナスが嬉しそうな顔をした。



 ただ迎え入れただけなのに、どうしてだろう? 私に会えたことが嬉しかった?

 なんて思っていたらフルダーナスが口を開く。




「なんか、いいな。ヴィオにおかえりなさいって言われるの」

「……そうなの?」



 私に“おかえりなさい”と言われたことでこれだけ喜んでいたみたい。そのくらいで? と思うけれど、フルダーナスにとってはそれだけのことなのかも。



「ああ。凄く嬉しい。次からもおかえりって言ってほしい」



 そう言ったフルダーナスは私よりも年上なのに、なんだか子供みたいだ。可愛らしいなと私は思わず笑った。



「それなら時々、おかえりって言ってあげる」



 私がそう言ったら、フルダーナスは嬉しそうな表情を浮かべた。別におかえりっていうぐらいなんてことない。

 オーロにも甘やかしてみればいいと言われたし、このくらいはかまわない。

 それにフルダーナスは凄く頑張ってくれたのだもの。簡単にこなしてきたように見えるけれど、きっとそんなことはないって分かるから。



「オーロの元夫たちは?」

「捕まえて牢屋に突っ込んである。余計な真似をされたら困るからちゃんと監視付きでな」

「流石ね。こんなにすぐに解決するなんて思ってなかった。フルダーナスは凄いわ。それに確かに自害でもされたら困るものね」

「ああ。折角捕まえたのにそんなことになったら結果として無意味だ」



 フルダーナスはそう言いながら冷たい表情を浮かべた。もしかしたらオーロの元夫とその幼なじみを捕まえる際に嫌な思いでもしてしまったのかもしれない。



「どういった様子だったの?」

「酷くうろたえていたな。私が“白炎の魔法師”と呼ばれる存在だと知って驚いた様子だった。隠れて暮らしていたのもあって、私がどれだけこちらの国にきているか把握していなかったのだろう」


 そんな風に言われて、それもそうかと思った。



 オーロの元夫たちは、騎士達の目をかいくぐって隠れて過ごしていたはずだ。早く他国に亡命したいと望み、だけどそれが叶わない状況だったのならば焦りだってあるだろう。



「フルダーナスのこと、凄く有名になってそうなのに知らなかったのね」

「そうだな。私もヴィオへ求婚していることは隠していないからな」

「……あなた、もしかしてグザックデーダ王国でもその調子なの?」

「当たり前だろう?」

「そう、あなたを好きな女性陣には恨まれそうだわ」

「寧ろやりすぎな方が私が本気だと分かっていいだろう。下手な行動を起こしそうな連中は全員、対処しているから安心してくれ」

「なら、いいわ」




 フルダーナスが私に求婚し始めた当初、どうせすぐに飽きるだろうと思った人も多かっただろう。私だって気まぐれだと思っていた。

 だけど、全然……フルダーナスって、求婚をやめないというか、寧ろ熱が増しているというか……私への好意を全然隠したりなんかしないのだ。

 だから周りだってフルダーナスの本気を理解しているのかも。



 私は未だにそのうち急に私に興味が無くなったりするのではないかと心のどこかでは感じているけれど、周りはそうじゃないみたいだもの。

 オーロなんかは当たり前みたいに、フルダーナスが私のことを諦めることはないって思っているみたいだし。




「それで解決したから、デートしてくれるんだろう?」




 そう言われて、そう言えばそうだったと思い出す。



 デートかぁ。

 当然のことながら私はデートなんてしたことはない。仲良くなった男女がお出かけすること。大抵が恋仲だったりする人たちよね。……私とフルダーナスがデートに出かけたら私達も恋人同士のように見られるのかな?


「ええ。約束はちゃんと守るわ」




 私がそう言ったら、フルダーナスは嬉しそうに笑った。

 それだけ楽しみなのだろう。私も、フルダーナスとお出かけするのは楽しそうだなとワクワクしている。

 そもそもデートと呼ばれるものを一度もしたことがないから、それをしてみること自体にも興味はある。



「じゃあいつにする? 私はいつでもいい」

「あなたもいそがしいでしょう? なんでいつでもいいのよ」

「どんな予定より、デートの方が大事」

「もう、駄目だからね? ちゃんと予定が空いている時によ」


 私がそう言うとフルダーナスは頷いてくれる。本当に何を優先してでも私とのデートに来そうな感じがする。

 私は呆れながらフルダーナスを見る。真っ白な髪は、何度見ても綺麗だ。

 そういえばオーロが頭を撫でてみるのも甘やかす一種だって言っていたなと思い出す。



「ねぇ、フルダーナス。頑張ってくれたお礼に頭を撫でてみてもいい?」



 綺麗な髪に触れてみたいなと思って、そう口にしてしまった。


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