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フルダーナスが出かけていってからも私は引き続き、魔法書を書き進めている。お父様やフルダーナス達が対処を進めているのだから私が何かすることは現状ない。だから当たり前の日常を送るだけだ。
あんまり心配もしていない。
だってフルダーナスだから。なんて、楽観的過ぎるかしら。それでもフルダーナスなら簡単に捕縛出来るだろうなって思っているしね。
それに彼が出かけている間に私が魔法書を書き進めていなかったら、がっかりされてしまうかも。
それはちょっとだけ嫌だなとそうも思う。
そもそも私は、フルダーナスだけに頼って魔法書を書きたいわけじゃない。名前だけを載せてもらっていると勘違いされるようなことはしたくない。私の実力は、全然足りないかもしれないけれども、それでも出来る限りのことはしたい。
「ヴィオってなんだかんだフルダーナスさんと仲良しよね」
オーロは楽しそうに笑ってそう言った。
今、私は魔法書を書き進めたり、別件の研究を進めたりしている。
魔法書を書くのは重要だけれども、それで普段の業務を疎かにするわけにもいかないから。
「そう?」
「ええ。だってフルダーナスさんが出かけて行ってから、少し寂しそうだもの」
そんなことを言われて、私は考えてみる。
いないことに寂しいと思うかどうか。……うん、寂しくは思うのだろうな。だってすっかりフルダーナスは私の生活に紛れ込んでしまっている。
だから私は、早く帰ってきて欲しいなとは感じている。オーロの元夫のことも早急に解決してほしいとも。
だってこのままだと、これからもっと危険な目に遭ったりするのではないかとか心配になるから。
思えばオーロに会いに行ってから、バタバタはしているのよね。オーロの元夫がいまだに足掻いているから。
王家を敵に回しておきながら、往生際が悪すぎるわ。もっと早い段階でオーロに謝罪していればもう少し状況は改善していただろうに。
全てが終わったら、私の考え方とか、暮らしもまた変わるのだろうか? オーロと一緒にちょっとした遠出をするのもありかもしれない。
その時は、フルダーナスも一部同行してもらっても面白いかも。そんな風にフルダーナスが居ると楽しそうだなと想像が出来た。
「少しは、寂しいわよ。特にここ最近は暇さえあれば魔法書の作成作業を進めていたもの」
フルダーナスはなるべく私と一緒に魔法書の作成を進めてくれているけれどもそこまで傍に居る必要はない。それってフルダーナスの思惑もあるんだろうな。
敢えてというかなんというか、彼は私に求婚している身だからこそなんだろう。
私が一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、情が沸くタイプだというのが分かっているからだろう。
そういうところ、私は甘いのかもしれない。
でも結局そういう、フルダーナスの感情も含めた上で、別にこちらに来ることを私は否定はしていない。
寧ろ、私にとって得る事の方が多いしね。
その思惑通りに寂しさを感じていることは、少しだけ面白くない。うん、でもまぁ、早く帰ってこないかなと少なからず思っているのは事実ではある。
「そうなのね」
オーロは優しい表情で私を見ている。
オーロは私よりも少しだけお姉さんで、だからこそ微笑ましい感情を抱いているのかも。
ああ、でも私もオーロが誰かと会えないのが寂しいと言っていたら、同じように微笑むかもしれない。
「うん。そう、でも本人には言わないでね?」
「どうして? 言ったら、きっとフルダーナスさんは喜ぶわ」
「喜ぶ……そうね、喜ぶとは思うけれど、ほら、恥ずかしいでしょう!!」
だってきっと心から喜ぶだろうから。揶揄うようにこちらを見るのだろうなというのも想像が出来て、恥ずかしい思いをすることは間違いない。
それが分かっているからこそ、やっぱり言ってほしくはない。
……私がその、フルダーナスの気持ちを受け入れるつもりになったのならば、素直に言うだろうけれど。そうでもないのに思わせぶりなことばかり言うのもどうかと思うしね。
あとは単純に私が恥ずかしくて仕方がないから!
「ヴィオがそうしたいなら、いうのはやめておくわね。なんだかフルダーナスさんよりも私の方がヴィオの可愛いところを見ていて、羨ましがられるかもしれないわ」
「そんなことで羨ましがるかしら?」
「ええ。そう思うわ。フルダーナスさんって、きっとヴィオが思っているよりもずっとヴィオのことを好きよ?」
「好意を持たれていることは自覚しているけれど、そこまで?」
「おそらくね。まぁ、フルダーナスさんも好きな子の前では自身をかっこよく見せようとするだろうからあなたはそんな姿をなかなか見ないでしょうね」
オーロはそう言って楽しそうに笑った。




