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最近の私は本を書くために一生懸命だ。自分名義の魔法書を出すと考えるだけでも、ワクワクして仕方がない。
フルダーナスと共著という形でだすのだから、それはもう素晴らしいものにしなければならない。
だって私の担当した箇所で不手際でもあれば、私だけではなくフルダーナスの評判も下がってしまう。
それだけは絶対に嫌だった。
フルダーナスは、素晴らしい魔法師だ。それでいて周辺諸国にも“白炎の魔法師”の呼び名は広がっている。
その経歴に傷をつける行為だけはしたくなかった。それに私自身の名が、王女としてではなく魔法師として広まるのは嬉しいことでもある。
だって何だか周りに認めてもらえたようなそんな感覚になるもの。まぁ、私は王女であることを隠すつもりはないけれども、王女であるという出自を抜きにして、魔法師としての実績を認めてもらえたらいいなと思ったから。
「ヴィオは楽しそうね?」
私が本を書くために一生懸命な様子を見て、オーロは楽しそうに笑っていた。私が寝不足になったり体調を崩さないかの心配はしているものの、私が楽しそうに過ごしているのを見ると嬉しくて仕方がないようだった。
私は最近、本を書くために忙しくてオーロと過ごす時間が以前よりは減っていたりもする。
その間、オーロは王宮にやってきたルンジャーと過ごしたり、王宮で働く人たちと交流を深めたりしているようだった。
明るい性格のオーロは、人と仲良くなるのが私よりも得意だ。オーロは仲良くなった人たちから、「オウロイア様が悪妻と呼ばれていたなんて信じられない」と言われることも多いらしい。
そうよね。
私が対面した頃のオーロは結婚生活の影響で少しだけ後ろ向きで、自信も無くしていた。
だけれども今のオーロは明るくて、真っすぐで、噂されるようなことをするように見えないのも当然だと思う。実際にそんなことはしていないしね。
オーロの良さがこうして周りに広まっていくことって、嬉しい。私の友人はとても素敵なんだって周りが理解してくれると、ついにこにこしてしまう。
今はフルダーナスと一緒に共著の本を書くことで忙しいけれども、オーロともいつか本を出したいかも。
というか私の書いた魔法書がきっかけで、魔法師を目指す人とかが出てきたら一番嬉しいかもしれない。
そんなことを考えながら、私は凄く楽しくて仕方なかった。
そんなある日のこと、オーロが王宮勤めの使用人から気になる話を聞いたらしい。
「ねぇ、ヴィオ。王宮の下働きの中で少し不審な動きをしている方がいるようなの」
「不審な動き?」
私はそんなことをオーロに言われると思っていなかったので、驚いた。
「ええ。噂好きというか……それこそ色んな噂を集めているような女性がいるようなの。私もその方と話したのだけど何だか違和感があって……もちろん、私が考えすぎならばそれでいいのだけど」
オーロは少しだけ言いにくそうにそう言った。
オーロの言葉を聞いて、私は考えてみる。
王宮には様々な人達が集まってきている。王族の側付きはそれはもう調査をきちんとされる。不審な者が紛れ込むことは望ましくない。
下働きに関しても調査はされるものの、やはり漏れというものはある。
他国からの密偵が忍び込むことも過去にはあった。私はあまりそういうことには関わってこなかった。
基本的にお母様が王妃として対応をしてくれている部分だ。……私は王宮を管轄する立場ではないので、そのあたりの対応はそこまで詳しくない。
あと私が末っ子だから甘やかされていて、そこまでそれらの情報を知らされているわけじゃない。
……うん、特にこれまで私はあまり人と関わらずに、限られた世界で過ごしてきた。
知らないで過ごせるならそれでいいって思われていたのだろうな。
「なら、お母様に言っておくわ。そしたら調べてもらえるから」
「ありがとう、ヴィオ。ちょっと気になっただけだから、何の問題もない下働きかもしれないけれど……あれだけ噂話を集めているというのも気になるのよね。もしかしたら知らず知らずのうちに情報を漏らしていたりするんじゃないかって気になってしまって」
「気持ちはわかるわ。王宮は様々な情報が集まる場ではあるから、そう言う子がいてもおかしくないわ」
情報ってどこで漏れていくか分からないものだ。
この人は信頼が出来ると思って告げた情報がいつの間にか漏れていたりなんてこともある。
だから情報の扱いは気をつけなければならない。
……それにしてもその下働きが情報を集めてどこかに流しているとしても、誰に流しているのかしら。
それ次第でもしかしたら大事になるかもしれない。




