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「こんな感じでまとめてみたのだけど、どう思う?」
私はフルダーナスに一つの魔法研究の資料を見せている。というのも、以前話した本を出したいって話を進めているから。
フルダーナスと一緒に共著をする。
そのことは両国で許可を得た。なんというか、“白炎の魔法師”なんて呼ばれているフルダーナスと一緒に本を作るってワクワクする。
私はフルダーナスに研究資料を見せながら少しだけ緊張していた。
フルダーナスは私のことを好意的に見てくれている。とはいえ、私が彼にとって期待外れな結果を見せたら幻滅されたりするのかなとも少し考えていた。私はフルダーナスからそう言う風な目で見られるのは嫌だなって思ってしまっている。
……私って矛盾しているのかも。
フルダーナスからの好意に戸惑ってはいるし、中々それに対して応えることが中々出来なかったりする。
――そんな私のことをフルダーナスは待っていてくれている。
「ヴィオ、此処はもう少し詰めた方がいい」
フルダーナスは好意があるからといって、魔法関連のことで妥協することなどなかった。
私の至らない部分をきちんと指摘する。そういうところもフルダーナスの良さだとは思う。
情に流されて、王宮勤めの魔法師としてどうかと思うような行動を起こす人って中には居るから。
実際にフルケーヘン王国の王宮でも、そういった問題が過去に起こったりもしていたらしい。
王女として教育を受ける中で、周りとの接し方など当然学ばされる。上手く立ち回ることが出来なければ周りを巻き込むような騒動が起こったりもするから。
これでフルダーナスが私を好きだからといって、どんな研究資料でも受け入れるような人間だったならば私は距離を置いただろうな。私は王族だから、そのあたりの線引きは重要だもの。
フルダーナスの説明は凄く分かりやすかった。
細かい部分も指摘してくるので、分からないことも多かった。だけれども私が根気強く聞いたら、丁寧に教えてもらえた。
思ったよりもフルダーナスが人に教えるのが上手でそれもびっくりした。グザックデーダ王国では後輩の王宮魔法師にこんな風に体に魔法を教えたりしているのだろうか。なんてそんなことを考えた。
思えば私は……フルダーナスのことをよく知らない。
仲良くはなれているとは思うけれど、フルダーナスだってグザックデーダ王国に居る時は今とはまた違う姿を見せるだろう。
少し気になるな、と思った。
興味は確かにある。きっとそういう一面を見ることが出来たら楽しいだろうなってただそう思った。
「ヴィオは勉強熱心だな」
「そう? 魔法が好きだから、夢中になってしまうだけよ。他の勉強だとここまでのめりこめないわ」
「それは当然だろう。私も興味のないことは熱中出来ない」
フルダーナスはそう言いながら楽しそうにしている。私は魔法の研究職をしているとはいえ、魔法に対する知識はフルダーナスよりはない。
実戦の中で学び続けている他国の王宮魔法師であるフルダーナスと比べると、全然だ。
フルダーナスは無駄なことはしない人間だろうなとは知っている。しばらく一緒に過ごしていればそのくらい分かる。
――フルダーナスは私に魔法を教えることを面倒だと思っていないのだろうな。それは嬉しい。
魔法書に関しては、今回は共著なのでフルダーナスの意見や研究内容もきちんと書かれる予定だ。
その研究資料も事前に見せてもらったけれど、それを見るとやっぱりフルダーナスって凄い魔法師なんだなとは思った。
私よりもずっと凄い。
それは謙遜でも何でもなく、ただの事実だ。私はグザックデーダ王国から“フルケーヘンの魔女”と呼ばれているのは聞かされているけれども、全然だ。
それを実感すると、もっと魔法を学びたいなという思いが増す。
その呼び名に相応しい自分ではありたい。だって“フルケーヘンの魔女”なんて呼ばれているのにこの程度しか魔法を使えないのってそう言う風に言われてしまうかもしれない。そういうのは、面白くない。
だから私は頑張る。
そう決めて夜更かしをしたりしながら、魔法の研究に勤しんだ。フルダーナスは常にこちらの国にいるわけではなく、オーロの元夫たちの情報を集めたり、仕事をしたりしていて忙しそうだ。
でも私には会いに来ていた。
私が寝不足なのを見て、心配そうにされてしまった。
「ヴィオ、本を書くことに熱中して身体を壊したら意味がないからちゃんと寝てほしい」
そう言われてしまった。
オーロにも「夢中になるのはいいけれど、寝てね?」と言われる。
……確かに寝不足になるのは駄目ね! 少し反省する私だった。




