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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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「突然、呼びだして悪かったわね。ルンジャー」

「いえ、構いません」



 王宮へと呼びだしたからというのもあるだろうけれど、ルンジャーは普段とは違って私に対してかしこまった様子だった。私が王女という立場であることなどは理解したのだろう。それだけルンジャーは聡い人間ではある。




「オーロのことを助けてくれたと聞いたわ。ありがとう。それとあなたにもきちんと現状の説明はしておこうと思って呼んだの。口調や呼びかけは、普段通りで構わないわ。あなたが、私を王族だと既に理解しているのは分かっているけれど、今はプライベートな場だもの」



 私はそう言ってルンジャーに笑いかける。



「かしこまり……いえ、分かった」

「それでいいわ。オーロは私の友人なの。第三王女である私が男爵令嬢である彼女と仲良くしていることは王都内でも噂にはなっているでしょう?」



 私がそう言うと、ルンジャーは頷いた。




「もちろん、存じて……いや、知っている。ヴィオとオーロが何かしら身分を隠していることは分かっていたが、噂の王女殿下とその御友人とは思ってはいなかったので」

「ふふっ、まぁ、そうよね。オーロの噂ってどこまで聞いている?」



 私はそう言いながらルンジャーに問いかける。

 ルンジャーは私の後ろに控えているオーロへと視線を向ける。



「ルンジャー、私に遠慮しなくていいわ。王都でどのような噂がなされていようとも私は私だもの」



 ルンジャーはオーロのことを思いやって、口にすることを憚ったんだろう。オーロは全く気にしていないとでもいうような笑みを浮かべている。



 オーロらしい。

 やっぱりこうして生き生きしている方がオーロらしくていいわ。




「最初は悪妻としての噂だった。ヴィオがオーロと関わるようになってその噂はなくなっていったが……それでも元々悪妻と呼ばれていたのもあってその分、そんな噂が出回っていたのだからそれだけの理由はあるのだろうって言われていた。悪妻と呼ばれるだけの行いをきっとしてきたはずだと。だからこそ、伯爵領で評判が悪いのだろうと」

「ふぅん。どんなものがあるの?」

「使用人を虐めただとか、散財をし続けたとか、伯爵邸で我儘ばかりいっていただとか……」

「あらあら、そういうことがいまだに広まっているのね。寧ろ私が使用人に虐められていたのだけど……。事実無根だわ。でもそうね。王女であるヴィオが幾ら私のことを庇っていて、友人としてくれていたとしても一度出回った噂がなかなかなくならないことは分かっているの。本当にびっくりよね。特に市井の人達だと、余計に噂が出回ったままよね」




 社交界の場では、そういった噂がされていたら咎めることは出来る。だけれども平民達相手には? まず、難しいわね。

 そもそも平民達は、王族や貴族達の事情なんて知らない。ただ噂として流れてくるだけだ。直接知らなければ、伝え聞く噂でだけしかオーロを判断できない。

 ……そう考えると私はもっと、オーロが生きやすくなるように、そんな噂なんて払拭できるぐらいにはしたい。私のオーロはとても素晴らしいのだって、もっと示したい。




「え、使用人に虐められてた?」

「そうよ。真実の愛を邪魔しているなんて思われて、雁字搦めになっていて、どうしたらいいか分からなかった」

「仕返ししなかったのか?」


 ルンジャーがそう問いかけたのは、今のオーロを見ていたらやり返すように見えるからなのだろうな。



「そうね。私の自信、結婚生活中はぽっきりおられちゃっていたから。人っていうのは、周りの影響でどうにでもなるの。私は散々……自分が悪いってそう言う風に言われ続けて、それで私が至らないから結婚生活が上手くいかないってそう思い込んでいたもの。馬鹿みたいでしょう? それで気づいた時には悪妻が出来上がっていて手遅れだった」




 オーロはそう言いながら、過去の自分に呆れた様子である。こんなに前向きなオーロの心を折るぐらいのことを伯爵家はしていたのよね。

 うん、考えてみるとおかしな話だわ。年下の、妻に迎えたばかりの少女相手にそんな酷い真似を平然と行ったというだけでも、貴族とかどうこうより人としておかしいわよ。



「そう、なのか。でも馬鹿みたいとは全く思わない」

「いえ、馬鹿だったの。初めての結婚に浮かれて、周りのことなんて見えてなかった。それで結局今もなお、元夫たちの流した噂で困っているし、彼らに煩わされている。私が……もっと反撃していれば、手を出してはいけないとはったりでも思わせることが出来たのならば違ったはず」



 オーロは後悔しているのだなとは思った。



 起こってしまったことは仕方がないとは思っているだろうけれども、それでももっと前に元伯爵たちをどうにか出来たかもしれないとも考えてそう。

 オーロが悔やむ必要はないのに。




「オーロはそんなに悔やむ必要はないわ! そもそも今は昔のことよりも、これからのことを話すべきでしょう」

「うん、それもそうだわ」



 オーロは私の言葉に頷く。

 それからオーロは、ルンジャーの方を向く。


「ごめんなさい。暗い話をしてしまったわ。ともかくね、未だに離縁した元夫たち関係で煩わしい思いをしているの。彼等は伯爵邸から抜け出したらしくて、私のことを狙っていいるのよ。どういう思惑なのかは分からないけれど」


 オーロはそう言ってルンジャーへと説明をした。


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