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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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「私を殺さないにしても襲ったのだから攫おうとしているのかもしれないけれど……それで何を要求する気なのかも気になるわね」

「どこかに逃亡する気なら、そこに売り込むための情報とか? それにしても後先考えてなさすぎるようには思えるわ」



 情報というものは価値がある。

 どこかに亡命するにしても、手土産がなければ基本的には難しいだろう。

 特にあのオーロの元夫たちのことを無条件に誰かが助けようとするとは思えなかった。




 オーロを人質にでもとって、情報を手にして、亡命したとしてもその先は? その国からしてみると、自国の情報を売ってきた信用の出来ない相手になることは間違いない。

 貴族が自国の情報を、他国に持ち込むなんて明確な裏切り行為だ。




 そんなものをする存在を、誰が信じるだろう?

 人と人との信頼関係って積み重ねが大事なのよね。これまでどのようにその人が動いていたか。どんなふうに交流をしてきたか。

 私が男爵令嬢であるオーロをこれだけ信頼しているのも、長年手紙のやりとりをしていたからだしね。

 そういう何か理由がなければ信頼なんて出来ないだろう。





「正直情報を取るだけ取って始末されてしまうのでは? って私は思うわ」

「そうね。あり得そう」




 あくまでフルケーヘン王国の情報を手にするためだけにオーロの元夫たちを利用しているのだとすれば……情報だけもらって始末されることも容易に想像しやすい。




 逃亡している彼らがここまでお金が尽きていないことを考えるとやはり……どこかから支援はうけていそう。

 お金の流れも確認しているけれど、不審な売買記録などは今のところ見つかっていないし。

 ならず者を雇うだけの金銭的な余裕も、本来なら彼らにはないはずだ。

 前伯爵夫妻に指示を出して、口座も止めてもらっている。何かしらの支援をうけていなければ手持ちの宝石などを売った記録がどこかに残るはずだ。





「オーロの元夫たちがどこと繋がっているかもしれないから、早急に調べておきたいわね」

「うん。でもあれでしょう? フルダーナスさんが調べているって聞いたわ」

「ええ。そうよ」

「ヴィオとデートする権利のためにって本人が言っていたわ」



 オーロはそう言ってからかうように私を見た。楽しそうな表情だ。



「……そんなことまで、フルダーナスに聞いたのね?」

「フルダーナスさん、やる気満々だったよ。よっぽどヴィオと二人でデートしたいのね」

「そうね。フルダーナスは私と早くデートしたいらしいわ」

「ふふっ、それなら近いうちに情報は集まりそうね」

「私もそう思うわ。だってフルダーナスだもの」




 フルダーナスは、それだけの力を持っている人なのだ。だから、デートもすることになりそうだな……とは思う。

 考えるとちょっと落ち着かないかも。だって私、誰かとデートなんてしたことないもの。



「その時は私がデート衣装を選びたいわ」

「お願いしようかしら。フルダーナスにも、可愛い恰好の私が見たいって言われているし……」

「相変わらずフルダーナスさんは、ヴィオに夢中ね。でも私もデート衣装の可愛いヴィオは見たいわ」




 にこにこしながらそう言われて少し恥ずかしかった。



「その話はいいとして……! オーロ、ルンジャーや同僚の方に助けていただいたと聞いたけれど、事情は話したの?」

「いえ、話していないわ。流石にヴィオに許可を得てない状況では話せないなと思って。ただ凄く心配はかけてしまったから、話してもいいなら伝えておきたいわ。それに王都の治安を向上させるためにルンジャーたちのような王都で働く騎士達の協力は必要不可欠であるし。あとは……私は出来ればルンジャーには嘘はつきたくないのよ」

「そうね。オーロを助けてくれたお礼も伝えておきたいわ。王宮にお呼びして説明する方がよさそうだわ。急に呼びだしたら戸惑いそうだけれども、私たちが外に出るよりは危険がないもの」




 一介の王都の騎士。

 王宮勤めではなく、私の顔も知らないルンジャー。ただオーロのことを助けてくれたし、お忍びで出かけた際には友人として良くしてもらっている。



 オーロもそういう気持ちでいっぱいなのだろうな。ルンジャーは私やオーロのことを知ったらきっと驚くだろう。もしかしたら態度なども変わってしまうかもしれない。それは少しだけ寂しい気持ちにはなるけれども、それはある意味仕方がないことだ。

 だって事情を隠してお忍びで出かけていたのは私達なのだから。




 ――出来れば、そこまで距離を置かれなければいいな。

 私はそんなことを思った。



 オーロも同じように思っていたみたい。オーロはルンジャーとも仲良しだものね。

 嫌な感じの変化じゃなくて、良い変化だったらまだいいな。




 

 それから数日後、私達の前へとやってきたルンジャーは緊張した面立ちだった。本人は王宮に呼び出しされる理由が思い浮かばなかったからだろう。ただ私やオーロの姿を見た途端、ほっとした様子になっていた。


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