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「なんだかオーロと話しているととても前向きな気持ちになれるわ。そういうところがオーロの良いところよね」
「そうかしら? そんなことは初めて言われたわ」
「それはこれまでオーロの良さに気づいている人がきっと居なかったのよ」
オーロは私の目から見て、凄く素敵な女性なのだ。オーロの良さがもっと広まったら、きっとオーロのことを好きな人達はもっと増えていくのだろうな。
そうなったらオーロは私以外の人達と一緒にいることも多くなるんだろうか。今はオーロにとって一番の友達は私かもしれないけれど、そのうち違う人の方が大切な友達になったりするのかな。
それは寂しい。
私はオーロの一番の友達のまま、年を重ねていける方が嬉しいんだけどなぁ。
「ねぇ、オーロ。例えば他に仲良くしたい友達が増えたりしたとしても、私とは変わらず仲良くしてくれると嬉しいわ。私ね、オーロとはその……重いかもしれないけれどあなたとは一生の友達がいいなと思うの」
私ってなかなか人に心を許さない代わりに、大切にした存在のことはとことん内側に入れた人は特別視しちゃうんだろうなって思った。
「もちろん。私だってそうがいいわ。そうね、もし大きな喧嘩をしたとしても最終的には仲良くやりたいわよね」
「オーロと喧嘩をするなんて想像出来ないわ!」
「あら、でももしかしたらそんな時が来るかもしれないでしょう。その時はその時で、互いに本音を語りあって仲直り出来れば素敵だとは思うわ。私、お友達との喧嘩もいつかしてみたいと思うの」
「喧嘩……確かに喧嘩するほど仲が良いとは言うけれど、喧嘩ってやろうと思ってするわけじゃないわよね?」
確かに私が読んでいる小説とかの中でも、ぶつかり合ったからこそ仲良くなったりするものも度々あった。
ただ私はオーロと喧嘩をするなんて想像が出来ないなと思う。
そもそも出来ればしたくない。でもオーロは好奇心で、お友達との喧嘩もしてみたいらしい。ただオーロが望んでいるからといって喧嘩ってしようと思ってすることではきっとないと思うのよね。
寧ろそんなことは出来ないわ!
「ふふっ、それもそうね。だからもし喧嘩をすることになったらってことよ。やらないならやらないでそれでいいのよ。私は今は新しい恋とか、全く考えていないけれどもいつか誰かと共に歩みたいと思う日が来るかもしれない。それが来なかったとしてもね? いつかあなたが好きな人が出来て添い遂げた時にヴィオの子供の良きおばさんになれたらなっては思うわ!」
「……私も結婚するか分からないよ?」
「それならそれで二人で楽しく独身生活をすればいいもの! 年を重ねても一緒にお出かけして遊んで、魔法談義をして、そうして過ごせればそれだけで幸せでしょう? ただ私はヴィオはもっと凄いことを成し遂げるんだろうなって思っているから、想像出来ないことが待っているかもしれないけれど」
にこにこしながらオーロはそう言った。
確かにそれもそれで楽しそう。王族である私が結婚しなかったら、それをどうのこうの言ってくる人は居るかもしれないけれども、それでもきっとオーロが居たら楽しいだろうな。
人生が全て上手くいくはずはなくて、辛いこともこの先待っているかもしれないけれどオーロと話しているとなんでも大丈夫な気がしてくる。私の友人ってやっぱり凄い。
「私もオーロに恋人が出来たり、夫が出来たりしたら、そのオーロの大切な人も含めて仲良くしたいわ」
「ええ。そうしましょうね。きっともっと楽しいことがこれから待っているに違いないのよね。私も“フルケーヘンの魔女”と呼ばれているあなたの友人に恥じない働きをしたいから、一生懸命出来る限りのことをするつもりだわ」
「“フルケーヘンの魔女”って一部で言われているだけでしょう? そんなに大層なものじゃないわ」
あくまでグザックデーダ王国側からそう言われているだけであって、その名はそこまで広まっているわけでもない。
「それでもよ。というか、きっとその名前は……ううん、もしかしたら違う名前かもしれないけれど、ヴィオは素晴らしいことを成すと思うの。それだけの力があなたにはあるもの」
オーロの信頼も、私の友情と同様に重いものだな。でも別に嫌じゃない。オーロがもっと私なら出来るって言ってくれるなら、それだけでもなんだか色んなことを頑張ろうという気でいっぱいになる。
考えてみるとフルダーナスもそうなんだよね。私のことをびっくりするぐらい信頼してくれている。
――フルダーナスに本を共著したいと言われていることも、やりたいって言ってみようかな。
誘われた時は許可が出たら……とそこまで前向きじゃない返答をしてしまったけれど、本気でそれに取り組んでみたいって。
フルダーナスと向き合うためにも、そう言う時間があった方がいい気もするもの。
私はそんな風に考えるのだった。
――そんな風にオーロの前向きさに影響されながら、私も色んなことを頑張ろうと思う中でオーロの元夫とその幼なじみが逃げ出したということを元伯爵夫妻に聞いた。




