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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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「ヴィオ、あなたと一緒にお出かけが出来ることが光栄です」



 目の前でお忍び姿のフルダーナスがそう言って微笑んでいる。オーロはフルダーナスがついてくることを承諾してくれた。



 私やオーロは身分を隠してお出かけするので、当然のことながらフルダーナスからヴィオミーリナ殿下なんて呼び方をされるわけにもいかない。

 そういうわけでフルダーナスは私をヴィオ呼びしているわけである。私のことを愛称で呼べることがよほど嬉しいらしく何度も名前を呼ぶ。それこそ過剰なほどに。



 ……そんなに嬉しいものなのかしら、なんて不思議な気持ちになって仕方がなかった。


 オーロも様付けをしているとおかしいからということで、一旦お忍びでお出かけ中はフルダーナスをさん付けにすることが決まった。まぁ、それ以外の時は様付けするだろうけれど。




「私とオーロはまずは買い物をしたり、図書館に行く予定だけどあなたはどこか行きたいところはあるの?」



 私はフルダーナスに向かって問いかける。



 考えてみれば彼はいつもこちらの国にやってくる時は私に会いに来てばかりだ。折角他国へ来ているのに一切観光などをしていないのももったいない気がした。

 私は他国に赴いたのはうんと幼い頃ぐらい? 基本的にはこのフルケーヘン王国から出ることもない。

 この前の和平交渉の時には国境付近にはいったけれど、グザックデーダ王国を観光するとかそういうことではなかったもの。

 ……ちょっと隣国へいって、観光してみたい気もする。お父様達に言ったら許可を出してくれるかしら?

 好奇心からそんなことを考えてしまった。



「特にはありませんよ。というよりヴィオと一緒ならばどこでも楽しめる自信があるので構いません」

「そう……まぁ、いいわ。退屈になったら護衛騎士にすぐに言ってね。そしたら別行動出来るように取り計らうから」



 フルダーナスも護衛としてついてくるとはいえ、他の護衛騎士達が居ないわけじゃない。そもそも幾ら彼が実力者であるとはいえ、他国の者だけを護衛につけて王女がふらふらするなんて出来ない。




「そんなことはあり得ないので安心してください。それにしてもヴィオは本を読むことが好きなのですか? それに王宮にも図書室はあるのにわざわざ図書館に行くのですね」

「本を読むことは嫌いじゃないわ。もちろん、興味がないものは読めないけれど……。私が読むのは魔法書ばかりだから……」



 小説なども興味があるものは確かに読むけれども、私が読むのは基本的に魔法に関する物の方が多い。



「図書館に行くのは私とヴィオの思い出の場所だからですよ、フルダーナスさん」



 オーロがそう口にして驚いてしまう。

 私とオーロがどこでどうやって仲良くなったか、そのことをフルダーナスに話すとは思っていなかった。



「そうなのか。そんな場所に行けるかと思うと楽しみだ」



 フルダーナスは私とオーロの思い出の地に行けることが楽しみであるらしい。確かに立派な図書館ではあるけれど、フルダーナスが楽しめるかというと分からない。でもまぁ、本人は楽しみにしているらしいので、買い物の前に図書館によることにした。




 図書館でオーロの元夫に絡まれたりもしたけれど、今日はそんなことはないだろう。前伯爵夫妻が目を光らせているのでこちらまでこれないだろうしね。

 そう考えると余計な邪魔が入らないのはとても良いことだわ。




「フルダーナスは本は読むの?」

「たまにですね。そこまで読まないです」

「ふぅん。そうなのね。魔法書とかは?」

「魔法書は読みますけれど、割と感覚で魔法を使うことも多いですよ」

「そうなのね。それは凄いわ」


 私も魔法を嗜んでいるからこそ、感覚で魔法を使えるのは凄いなと思った。



「私は天才なので」

「自分でそれを言っちゃうの?」


 自信満々に言ってのけられて、思わず笑ってしまった。だってそんなことを自分から言うなんておかしいもの。

 オーロは私とフルダーナスの会話を聞きながら、にこにこしていた。





 それからしばらく歩いて図書館へと到着する。当たり前の話だけど、フルケーヘン王国の国立図書館にフルダーナスがやってくるのは初めてのことみたい。




 だからか、中に入った途端目を見開いていた。想像よりも立派だったのだろうな。

 フルダーナスがグザックデーダ王国の図書館に行ったことがあるのかないのかは知らないけれど、隣国の図書館にも引けを取らない立派さなんだろうな。

 そう思うと何だか嬉しくなった。



 だって自分の生まれ育った国の図書館が、他国の人からしても素晴らしいものだというのは良いことでしょう?



 こうして図書館が立派に運営出来ているのもお父様がこの国をよく治めているからだと思う。

 だって民が穏やかに暮らせる国でなければ、こんなにも図書館に平民の姿もないはずだわ。

 だから何だか王国民たちが図書館で過ごしている様子を見ているだけで嬉しかったりもする。


「新刊のコーナーを見に行きましょう」



 私がそう言うとオーロとフルダーナスは頷いてくれた。


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