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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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「もちろん。可能性が一パーセントでもあるのならば、諦めるつもりはないが」

「それならよろしいですわ。ヴィオミーリナ殿下のことをあなたが傷つけないのであれば、本気であるのならば……私はヴィオミーリナ殿下の友として見守るだけですから」

「ははっ、そうか。ヴィオミーリナ殿下は良い友人を持っているな」




 何だかにこやかに物凄く恥ずかしい会話をしているのだけど!! 目の前で友人と求婚者が和やかに会話を交わしている時にはどんな反応をしたらいいのかしら?

 公の場で王女としての体裁を保っている場での対応なら分かるわよ? でも今は完全にプライベートの場だ。

 だからこそどうしたらよいか分からなくなってしまう。




「二人も! 恥ずかしい会話はそのくらいにしてくださる?」




 何とか平然とした表情を取り繕って、そう声をかける。私の方を向いた二人は楽しそうな表情を浮かべていた。




「照れていて可愛いですね」

「同意します。ヴィオミーリナ殿下はこういうところも可愛らしいです」



 止めようとしたらもっと恥ずかしい思いをすることになってしまった。

 飾り気のない言葉は本心からのように思えて、余計にむず痒い気持ちになる。





「そう……。まぁ、私が可愛いのはその通りだから受け止めるわ」



 これでフルダーナスが引いてくれたりしないかなと思いつつ、少し自惚れた発言をしてみる。




 フルダーナスの気持ちは本気なのか、そうじゃないのかがなかなか測りかねない。だから面倒な人間だと思われるかもしれないけれど、こういった駆け引きはしてしまう。

 私に求婚してくる彼に対して警戒心がとれないからなのかな。

 ……私、子供の頃よりはずっと人と交友を持つようになっているし、人と関わっていくことに対して前向きな感情の方がずっと大きい。それでも私は王族で、魅了持ちだからこそ近づいてくる人間を無条件に信じるわけにもいかないのだ。





「そうですね。ドヤ顔も可愛らしいですね」

「……なんでも可愛いって言いすぎじゃないかしら」

「だって可愛いですし? 言っておきますが、本心でないとこんなことは言いませんよ?」

「そう……。まぁ、いいわ。それより私達はまた仕事をするけれど、あなたはどうする? 此処にいても退屈ではないかしら?」




 私はそう言ってフルダーナスに視線を向ける。



 オーロやフルダーナスと一緒に会話を交わすことは素直に楽しかった。こうして休憩をするのも、恥ずかしい台詞を言われると落ち着かないけれど穏やかな時間だった。

 ただいつまでも休んでばかりではいられない。




 少しぐらい休憩を延ばしても許されるだろうけれども、私は真面目にお仕事をするの! 王族だからといって給与をもらっているのにサボってばかりはどうかと思うもの。




「全く。ヴィオミーリナ殿下達が仕事している間は別の職員から話を聞いたりしておきます。手持ち無沙汰になったら、魔法師たちの訓練場にでも行くことにします」

「分かったわ。職員たちから話を聞くのはいいけれど、お仕事の邪魔はしないようにね?」

「もちろんです」




 フルダーナスは私の言葉に頷く。



 隣国で最も有名な魔法師から頼まれたら一般的な研究員はまず断れない。それでフルダーナスの相手をしていたからといって自分の仕事を疎かにすることになったら大変だもの。





「フルダーナス様はあなたの近くに居たいのね」

「……どうなのかしらね。珍獣のように思われているのかも?」

「ヴィオは警戒心が強いわね。でも話した限り、フルダーナス様はあなたが本気で嫌がることはしないと思うわ」




 魔法の研究の最中、オーロとそんな会話を交わす。

 オーロってば、すっかりフルダーナスに絆されてしまっているわ。口が上手いというかなんというか……。


 あまり人に嫌われるような性格ではなさそうだものね。初対面の時に私にいきなり近づいてきたことは驚いたけれど……そのぐらい。その後は節度を保った接し方をしている。




「そうね。私の嫌がることはしないとは思うわ」



 それはその通りだとは思うけれど、心の底から信じられるかというとそうではないのよね。

 人の心って難しいわ。




「ゆっくりフルダーナス様のことをどうするかは考えたら良いと思うの。あの方は幾らでもヴィオの返事を待ってくれると思うから。それに中々諦めることはしなさそうだから長い付き合いにはなるでしょうね」

「まぁ、そうなったらそうなった時に考えるわ」



 オーロは私の行動を否定はしない。ただゆっくり考えれば良いと言ってくれるので、その言葉に気が楽にはなった。




 ――その後、私達はお仕事を続けた。その間、フルダーナスは傍に居たのだった。


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