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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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5/2 二話目


「ごきげんよう。私はヴィオミーリナ・フルケーヘン。今回の件の責任者となりますので、よろしくお願いしますわ」



 私はそう言って、目の前の外交官へと笑いかける。



 王族である私がこの場に現れることは事前に伝えていた。今回は、眼鏡をはずしている。他の道具を使ったり、制御をしたりはしている。

 だって気を抜くと、魅了の力は暴走してしまうだろうから。





 私に見惚れた様子を一瞬見せた若い外交官は、その後、あたりに視線を向けた。そして一瞬何かを考える素振りを見せた意味は私には分からなかった。

 だけどすぐに真顔になったので、向こうから言わない限りは放っておこうと思った。





 それにしても私ってやっぱり隣国の方々からしてみても可愛いのよね。こんなことを言うと自惚れすぎだと言われてしまうかもしれないけれど、そういう目を沢山向けられているの。





 見た目が良いのは長所の一つだとは思っているわ。この見た目を気に入って、近づいてくる人ってやっぱりいるもの。ただ望まぬ人が近づいてくることもあるから、それは気をつけなければならないけれども。




 和平交渉は基本的に前々から話をつけていたことではあるので、思ったよりも簡単に進められる。

 ……やっぱりお父様もリュン兄様も私を甘やかしすぎでは?

 初めての外交をこんな簡単なものにするなんて。それでいてこの和平交渉の成果を私に渡す気よね? どちらかというと私よりもリュン兄様や文官達の成果だと思うのだけど……。

 人から聞かれた際は、「周りの助けがあったからですわ」とでも言って微笑んでおくのが一番かしらね。

 あまりにも自分の手柄だって言いふらしてもそれはそれで、周りからの反感買うわよね。





 和平の内容も事前には確認をしていたけれどもどれも素晴らしいものだったわ。




 両国にとって問題のないものになっていたの。リュン兄様って本当に惚れ惚れするぐらいにお仕事が出来て、流石、私のお兄様!! と幾らでも周りに自慢したくなるわね。

 エネア姉様と一緒に、リュン兄様談義でもしようかしら。




 そういえばこの場には“白炎の魔法師”は居ないみたい。

 私はそれを不思議にも思う。だって彼は“フルケーヘンの魔女”――私に会いたいとおっしゃっていたと聞いている。私に興味を抱いているんだって。

 それなのにこの場に居ないのはなぜなんだろう。





 あれかしらね。もしかしたら和平公約に関しては何も関心がないのかもしれない。私は“白炎の魔法師”に関して噂しか知らない。人となりなんかももちろん分からない。

 ただ素晴らしい魔法を使える方であるという認識しかない。もしかしてこの場所にわざわざやってこようとした場合は私に会おうとしているから? 両国の関係には興味はないのに?

 こんなにも会ったこともないのに興味を持たれていることが凄く不思議な気持ちになった。

 向こうは“フルケーヘンの魔女”と第三王女である私が同一人物だとは知らないだろうけれども。





「では、これにて停戦ということで。これからは友好国としてよろしくお願いします」




 本当にあっさりと、停戦の話し合いは終わった。本当に私がやることって特にないわね。

 グザックデーダ王国側から無茶な申し出などがあったら対応しなければならないだろうとは思っていた。だけど向こうもこちらと事を構えたいわけではなくてほっとした。




「ところで、ヴィオミーリナ殿下、一つよろしいでしょうか」



 一番大事な話し合いが終わった後に、外交官にそう問いかけられる。

 わざわざかしこまった様子で問いかけられて、わざわざなんだろうかと疑問に思う。




「“フルケーヘンの魔女”どのはいらっしゃらないのでしょうか。“白炎の魔法師”は彼女に会うためにこちらに来ているのですが」



 ここは国境沿いにある砦の一つだ。

 そんな場所にわざわざ“白炎の魔法師”が赴いたのは、やっぱり私が理由らしかった。




「そのことですけれど、“フルケーヘンの魔女”は……」


 私です、とそう答えようとしたときに、扉が開いた。







 入ってきたのは美しい男性だった。真っ白な髪と、空色の瞳を持つ男性。私よりも幾つか年上だろうか。リュン兄様たちで綺麗な男性は見慣れているけれど、それでも……凄く綺麗だなとじっと見てしまう。




 目が合った。

 だ、大丈夫かしら。魅了とか使ってしまっていない? などと私は少し心配になった。制御は上手く出来ているはず……などと思いながらも見ていると近づいてきた。





「お初におめにかかる。“フルケーヘンの魔女”殿がこんなに若い女性とは思わなかった」




 “白炎の魔法師”は、確信した様子でそう言った。私が彼の会いたがっている人物だとすぐに分かったらしい。外交官の目が大きく開かれる。うん、驚いているわね。




「あら、よく分かったわね?」

「魔力を見ればわかる。どれだけあなたの魔力の染みついた道具と向き合ったと思っている?」

 そうね、私の作った道具や魔法って沢山小競り合いで使われていたものね。それにしてもこうやって誰の魔力か分かるなんて凄いわ。

「そうなのね、凄いわ。改めて自己紹介させてもらうわ。あなた達の言う“フルケーヘンの魔女”こと、フルケーヘン王国の第三王女ヴィオミーリナ・フルケーヘンよ。よろしくね」




 私はそう言って彼に向って笑いかけた。



 ――そうすれば“白炎の魔法師”が流石に驚いた顔をしていて、何だか面白くなった。


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