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文通友達が大変そうなので、私、動きます!  作者: 池中織奈


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「ヴィオ、交渉の場には私も行きたいわ!」



 私はオーロにしばらく王宮を開けることを伝えに行った。


 当たり前のことだけれども、オーロは私が和平交渉に行くというのを聞いて驚いた顔を浮かべていた。

 そして次の瞬間には、同行を申し出てきたので私の方が驚いてしまった。




「え? どうして?」

「だって成功が決まっているとはいえ、ヴィオがそんな場に行くなんて心配だもの。だから私も……何の役に立つかも分からないけれど、一緒に行きたいなと思って」



 オーロの言葉に私は思わず笑みを深める。

 オーロが私のことを心配してくれて、役に立ちたいとそう言ってくれることは嬉しかった。だけど……、私は首を振る。




「いえ、駄目よ」



 私はばっさりと断った。オーロが「どうして?」とでもいうような表情を浮かべている。




「オーロの申し出はもちろん、嬉しいわ。だけれどもね、私は一個人としてではなく、王族として任されたお仕事に行くの。私が望めばオーロを連れて行くことは出来るとは思う。だけど、そんなことはしない方がいいわ。私利私欲でお友達を連れて行こうとするなんてそんなことをしてしまえば付け入られてしまうもの」




 頷いてしまいたいという気持ちも無くはない。それでも、私はオーロの友人であるヴィオである前に、王族であるヴィオミーリナなのだ。

 オーロを連れて行くことぐらい、誰も問題視はしないかもしれない。でも人によっては国交の場についてきて欲しいからという理由だけで友人を連れてきた問題のある王女として見えるだろう。

 グザックデーダ王国の方々だって、私が友達を連れてくるなんて知ったら眉を顰めるとは思う。





「それも、確かにそうね。ごめんなさい、ヴィオ。私が軽率だったわ……!」



 オーロは私の言葉を聞いて、申し訳なさそうな表情でそう言った。



「謝らなくていいわ。私はあなたの申し出が嬉しかったのだもの。でもそうね、これから先、私は機会があれば外交の場には立つとは思うわ。ノイ姉様の国に行くことだってあるだろうし、魔法関連のことでどこかの国から協力を求められることもあるかもしれない」



 ノイエル――ノイ姉様は一番上のお姉様だ。他国に嫁いで王妃をやられている方で、何かあれば訪れることはあるだろう。

 向こうは私にいつでも来てくれて構わないと言っていた。最近もらった手紙でも私への愛が溢れていた。オーロと仲良くして表に立つことは伝えてある。

 何かあったらノイ姉様も国益が損なわれない範囲であれば手助けをしてくるとは書かれていた。

 王妃であるノイ姉様は私よりもずっと、好き勝手動くわけにもいかないのだ。




「だからね、その時にオーロが……私に同行したいというのならば、大変かもしれないけれど何らかの結果は出してほしいの。もしオーロが同行しても問題ないと誰が見ても分かるぐらいのことを成せていたら……一緒に行けるから。って、ごめんね? これは私の我儘ではあるから、無理する必要はないからね」




 そう、オーロが私に同行したいというのならば王族についていけるだけの結果は必要なのだ。



 これがただ遊びに出かけるだけならば友人であるオーロを連れて行くことは問題ないけれども、王族として向かう場に親しいからを理由だけで連れていけない。

 それこそ外交に役立つ知識があるだとか、魔法や剣技で護衛として役に立つとか、そういった実績がないと駄目なのだ。




 私は……オーロが結果を出してくれたら、嬉しいのになとは思った。でもそれって、私がただその方が嬉しいなと思っているだけ。オーロがそういう結果を出せば、彼女を周りだって認めてくれるし、一石二鳥だと思った。

 ただそれだけの成果を出すことはきっと大変な苦労をするとは思う。オーロが当たり前の貴族令嬢としての道を選ぶなら、そんな力は手に入れない方がいいかもしれないけれど……。




「そうね……。王族であるヴィオとずっと仲良くしたいなら、あなたのことを支えられるようにはなりたいもの。ヴィオが交渉に向かっている際に、何か出来ないことないか周りに相談してみるわ」


 オーロは決意した様子でそう言った。




「ありがとう、オーロ。でも無茶は駄目よ? 無理だと思ったらやめてくれていいから。それと気負い過ぎては駄目。王都へのお出かけをしたりするのは、自由にしていいから。護衛たちも連れて行って?」

「え、でも流石に王家の護衛を連れて行くのは……」

「大丈夫よ。寧ろ私は帰ってきた時に、あなたに何かあるのが一番嫌だから。私のためだと思って、ね?」



 私はそう言ってオーロに笑いかけた。

 オーロは頷いてくれた。



 これから交渉の場に向かうと思うと、私は凄く緊張する。それでも“白炎の魔法師”に会うことは楽しみだし、どうせなら気負わず進めようと思った。


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