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4/30 二話目
私はオーロが幸せになれるのならば、どのような道を歩んでも構わないと思っている。
オーロの決めたことを私が否定するなんて出来るはずもない。ただ私は彼女に笑っていてほしいし、いつまでも仲良く友人関係を築けていければそれでいいなとも思っていた。
もしかしてルンジャーのことを、オーロは好きなのだろうか? なんて考えすぎだろうか。
私はオーロが再度結婚しようがしまいがどちらでも構わない。
彼女はまだ新しい相手なんて考えられないと言っていた。私は恋はしたことはないけれど、誰かを好きになるのって気づけばそうなってしまうものだって聞いたことはある。
政略的な婚姻を結ばなければならない場合は、自身の恋愛感情などは全く関係がないだろう。
ただオーロは自由だ。私の友人という立場だからこそ、彼女の実家も結婚に関して指示を出してくることはないだろう。
オーロは少なからずルンジャーと話すことを好ましくは思っている。おそらく相性はいい方なのだろう。
……でもどうだろう? オーロがすぐに好きな人が出来て、そちらに夢中になったら少し寂しいかもしれない。
「ヴィオ、どうかした?」
「ううん。なんでもないわ。それより、ルンジャーは王都には詳しい? 私とオーロが赴いて楽しい場所って知っているかしら?」
私はそう言って話を変えた。突然、寂しいという感情を伝えても、変に思われてしまうだけだもの。
オーロは私の友人ではあるけれど、その行動を私が制限していい理由なんて欠片もないのだ。あまりにも口出ししすぎて疎まれたら私は悲しくなってしまうわ!
「そうだね。女の子だけで出かけるなら――」
そう言ってルンジャーは、女性が楽しめる場所を幾つか教えてくれる。やっぱりルンジャーは王都に詳しいみたい。
それにしても女性に人気の場所まで詳しいのは、もしかして女性慣れでもしているのかしら?
もしオーロがルンジャーともっと仲良くなりたいというのならば、女性関係にだらしない人は困るかも。ただ人と仲良くなるのが上手いだけかしら。
酒場に来ていた私やオーロに軽く声をかけるぐらいだものね。きっと初対面の人とも仲良くなれるのかも。
私が関わっている段階で、ルンジャーへの調査は進んではいるとは思う。でも私自身はルンジャーについて調べているわけじゃないので、オーロが仲良くしたいならちゃんと把握しておかないとな。
「まぁ、ルンジャーは王都にとても詳しいのね」
オーロはルンジャーが女性に人気の場所まで詳しいことを全く気にしていない様子だった。
年上の女性に言うことではないだろうけれど、こういうところが可愛いんだなと思った。
私は王族だから誰かと関わる時は、様々なことに思考を巡らせてしまう。魅了の力を持ち合わせているのもあって余計に人と付き合う時は力を抜いてはいられない。
だからオーロの人に心を許すさまは凄いなと思う。ルンジャーに対してもすぐに人と仲良くなれるのはある意味才能で、私が持っていないものだから少しだけ眩しく思ったりした。
私も彼等を見習って、もう少し人との交流は持ちたいな。なんてそんな気持ちにもなる。
それにしてもオーロはあんなことがあっても人を信じる心を忘れていないのが、彼女らしい。
それとも私が居るから大丈夫だって思ってくれているんだろうか? それならそれで嬉しいかもしれない。
思えば私が会いに行った時、オーロは戸惑いや警戒心も持っていたものね。
私と一緒なら護衛達も居るから身体的な危険もほとんどないと確信しているからもあるのかもしれない。
「ありがとう。二人で行ってみるわ」
私がそう答えると、ルンジャーはにこにこと笑っていた。
私が世間知らずなことぐらい、ルンジャーは把握しているだろう。オーロも結婚生活期間はずっと周りから遮断された生活をしていたわけだし、私達ってこうしてお忍びで出かけているとやっぱり少しは浮いては居るとは思う。
そんな私たちがこうして色んなところに行こうとしているのを見ると、ほほえましい気持ちにはなっているのかもしれない。
私と同じ年ぐらいに見えるのに!
なんだろう? 私の末っ子オーラなどがやっぱり出てしまっているのかしら。
私はそんなことを考えながら少しだけ面白くない気持ちにはなった。
でもオーロと訪れる場所を教えてもらえたのは嬉しい。これからもっとオーロを楽しませたいから、いってみたいな。
ただルンジャーから教えられた場所だけにいくのもちょっと嫌なので自分でももっと調べてみよう。
それに王都だけに限らなくてもいい。
護衛を連れて行く観点からすぐには無理かもしれない。
それでも王都の周辺の街などに遊びに行くことは可能だろうしな。
なんというか、私凄く浮かれているのだなと実感する。オーロと一緒に何かを出来ることが嬉しくて仕方がなくて……落ち着かない。
これからもっとオーロと一緒に沢山の場所へと行こう。
そんな決意をしてその後、王宮に戻ってからもその計画を練るのに忙しかった。
――だけど、のんびりもしていられなくなった。




