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4/18 二話目
私とオーロにとって思い出の場所である図書館。
国費で賄われている巨大な図書館だ。私のお気に入りの場所でもある。
「相変わらず人が多いわ」
「ええ。あまり騒ぎすぎると迷惑だから、小さな声で喋りましょう」
私たちはこそこそと小さな声で会話を交わす。だって大きな声で喋ったら大迷惑だもの!!
ちなみにこの図書館の館長は私が王族だということを知っている。王宮にもよく顔を出すような貴族出身の方なの。
だから私が秘密のお友達であったオーロと手紙のやりとりをしていたことは知られている。
此処にオーロと一緒に来られるなんて、つい最近まで考えてもいなかった。
私はオーロからあんな手紙が届かなかったらもっと彼女に会うのは遅くなってしまったかもしれない。
オーロと一緒に向かうのは、魔法の専門書の並ぶエリアである。私たちが手紙のやりとりをいつもしていた場所。
王宮の図書館で本を読むことも大好きだけど、国立図書館は更に蔵書数が多いから楽しくて大好き。
魔法に関する本って、幾らでも読んでいられるぐらいなのよね。
専門的な魔法の本は持ち出し不可のものが多いのよね。私は王族だから特別に許可されて持ち帰ったことともあったけれど……。なんというか、高価な本はそのまま盗まれたりする可能性もあるからって気を付けているの。
もちろん、魔法で盗難を防ぐための工夫はしているけれど、世の中にはそのまま持って行ってしまう人もいるのよね。
平民の貧しい人たちは、特にそう。犯罪をおかさなくてもいいようにするのが王族の務めよね。
表舞台に立っているリュン兄様たちって、そう言う人たちのためにも様々な政策を行っている。私もたまに意見はするけれど、専門家じゃないのもあってなかなか難しい。
リュン兄様たちって私の意見も受け止めて判断してくれる。
「この魔法使いの書いた本、オーロは昔から好きよね」
私はそう言って、最近発売したばかりの本を指さす。
国立図書館は割と発売してすぐのものも入れてもらっているの! 無料で入れる場所だから、連日沢山の人達が訪れている。
私はたまにここを訪れるけれど、王国民達の姿も沢山見られて楽しいわよね。
「ええ。覚えていてくれたのね。ここ数年の発売したものは流石に読めてなかったから、読みたいわ」
「じゃあ、ちょっと読書時間にしましょうか」
そんな結論に至って、しばらくの間、読書をすることにした。オーロは彼女の好きな魔法使いの本を手に取る。私は最近出た魔法論理の本を読むことにした。まぁ、この時間で全ては読めないけれどね。
魔法に関する専門用語が沢山並んでいる。目次を見ただけでも魔法をかじったことのない人たちからしてみると、意味不明なものなんだろうなとは思う。でも私にとっては大切で、大好きなもの。
こうして専門的な話が出来る人って少ないから、やっぱりこうしてオーロに出会えたのって奇跡的なことだなと嬉しい。
私たちはそれからしばらくの間、本を読んだ。静かな時間だった。でも凄く楽しかった。
一区切り読み終える。私の方がキリの良いところまで読み終えた時、まだオーロは読んでいる最中だったので私は待つことにした。オーロは楽しそうにしているなぁ。私、オーロがこうやって頬を緩めているのを見るの好きだな。何かにワクワクしている様子。凄く良い顔をしているなぁ。
きっと結婚生活中はオーロはこういう表情を浮かべることも出来なかったんだろうな。
……オーロの嫁ぎ先だった伯爵家って本当にどうかしているわ。こんなに素敵なオーロのことを、切り捨てるべき対象だとしたなんて。
最初からオーロのことを利用して捨てようとしていた。そして三年間の結婚生活でもオーロのことなんて欠片も興味がなかったのか、そのまま想定通り、離縁したのだ。
まだせめて結婚期間中に自分の行いに気づけばまだ良かったのにそこで踏みとどまることが出来なかったなんて……。
って駄目ね、あまり苛々しすぎてしまったらいけないわ。オーロを見て落ち着きましょう。
そうやって過ごしているとオーロの読書が一区切りしたみたい。
「ヴィオ、またせてしまってごめんね」
「いえ、大丈夫よ。オーロを見ているのは楽しかったから」
なんていったらオーロに不思議そうな顔をされてしまった。
「楽しいの?」
「ええ。凄く。よしっ、次は別の所行こう!」
「うん」
よく分からないといった様子のオーロを連れて私は図書館の外に出る。そこで大きな声がかけられた。
「オウロイア!!」
何だか、オーロに対して威圧的な声だった。その段階で気に食わない。
振り向いた先に居るのは美しい亜麻色の髪の男性である。
「プラド様……」
オーロが呼んだその名は、彼女の元夫の名前だった。




