23
「オーロ、行きましょう」
「ええ」
さて、私とオーロは王都を歩いている。私は王宮の外に出ることってそこまで多くない。興味のあるものなどがあったらぶらぶらしたりはたまにしているけれどね。ただ王族である私がおでかけに出かけるとそれだけでも大変だもの。
護衛はもちろん、ついているわ。とはいっても魔法で探らないと分からないぐらいに周りに馴染んでいる。
王族だと特に外に出かける際に周りのことを沢山巻き込むことになってしまうのよね。考えなしに飛び出してしまったら大変なことになるわ。
それでもし私が誘拐されたり、よからぬ輩に狙われてしまったりしたら護衛たちが処罰を受けてしまうもの。
そう言う部分も考えて動かなければならない。王族の身で周りのことを考えられないと本当に大惨事にしかならない。
「私、王都で遊んだことはそこまでないのよね。あなたと手紙のやりとりをしていた時にこちらに来たぐらい。それ以外はずっと領地に居たもの」
「となると最近出来たお店とかに行くのがいいかも。私も買い物する際は商会を呼ぶことが多いもの」
お買い物を一つするにしても、私の場合は王宮に商人を呼ぶことの方がずっと多い。お店に行って買い物って思えばそんなにしないかも。
「そうなのね。私もヴィオと出かけると聞いて、侍女達からお勧めのお店を聞いたわ」
「私も周りの人達に聞いたわ! ブロ兄様とかはよく王都で同僚の方達と飲んだりしているのよ」
ブロ兄様は結婚もしていて、王宮の外で暮らしている。王都内の屋敷に居を構えているの。
ブロ兄様はリュン兄様の身に何かあった場合は、王位を継がなければいけないような立場ではあるけれど今は比較的自由だ。私はお酒はあんまり嗜まないのよね。
前に少し飲んだ時にすぐに酔っぱらってしまったから、あまり外では飲まないようにしているの。
「まぁ、それは楽しそうだわ」
「あれ、オーロは結構お酒を飲むタイプ?」
「嫌いじゃないわ。結婚生活中に機会があってお酒を飲んだのだけど、美味しくて……っ! 元夫は私の問いかけにいつも適当な返答をしてばかりだったから、もういいやって屋敷にあったお酒を飲んでしまっていたの。向こうは後からお酒が減っているって大騒ぎになっているかもしれないわ」
「あら、そうなの? でもストレス発散は大事だから良いことよ」
見た目からするとオーロはあまりお酒を飲むようには見えない。だけど本人はそれらを飲むのも好きみたいだった。
オーロの新たな一面を知れて私は嬉しくなってしまった。
「ちょっと待っててね?」
私はそう言うと、ひっそりと護衛としてついてきている一人に手招きをする。そうしたら自然な足取りで私達の方へと寄ってくる。
皆、優秀ね。護衛対象である私とオーロから目を離さないようにしているのだ。
「お酒を飲めて安全なところ、調べておいてくれる? あ、私はあんまり飲む気はないけれど、危険があったら助けてね?」
私がそう言ったら頷いてくれた。オーロがお酒を好きだというのならば、飲める場所を調べておくのは当然よね。
「ヴィオ、どうしたの?」
私が護衛とこそこそ話していたのを見て、オーロが不思議そうにしている。
「お酒を飲める場所を調べてもらおうと思って。ちゃんと安全な場所にするからね?」
「まぁ、ありがとう、ヴィオ」
私の言葉を聞いて、オーロは嬉しそうに笑った。
オーロが嬉しそうだと、私も嬉しい。
「ただ私はあまりお酒を飲めないから、一緒に飲めないかもしれないけれど……」
「それなのに酒場に一緒にいってくれようとしているのね? ありがとう」
「だってオーロを一人で酒場になんてやれないもの。王都は比較的治安がいいけれど、一人でいる女性が危険な目に遭うことだってあるのよ」
王都は騎士達の活躍により、基本的に治安が良い。人の行き来の少ないエリアでは少なからず事件が起きることはあるけれどね。だからこそ気を付ける必要はあるけれど、地方の治安が悪いと言われている地域よりはずっといい。
我が国はお父様が頑張ってくれているおかげで、国民達は比較的良い暮らしは出来ているとは思う。とはいえ、お父様が頑張ってくれていても目が届かない部分はどうしてもあったりするってリュン兄様たちがおっしゃっていたわ。
そう言う人たちの暮らしを支えていけるようにするのも、王族としての役割だと。
もし民に寄り添わない政治をしていたら、それだけで反乱でも起こってもおかしくないものね。
実際に他国で、反乱によって王族が交代したりも最近起こっているの。
だから私達ってある程度ちゃんとしておかなければならないの。独りよがりではなく、周りのことを見て行動することが大事よ。
尤もどれだけ上手くやっていても不満を抱える人もいるから、国を統治するのって難しいことなんだって。
「じゃあ、オーロ。まずは国立図書館に行きましょう」
私はそう言ってオーロを誘った。
国立図書館は私とオーロが手紙のやりとりをしていた場所である。




