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その後のパーティーは比較的平穏に終わった。参加者のほとんどは私がオーロをどれだけ大切に思っているかを理解してくれていた。何か言おうとする人に関しては、にっこりと微笑んで、黙らせるようにした。
ただ中には愚かな考え方をしている者達が居ないわけではない。
あくまでオーロと一緒にいることが私にとって良いことではないと勝手に決めつけて、私とオーロを離そうとそう思っているみたいだった。なんというか、結局自分にとっての正義があればそれが正しくて、それ以外を口にする人たちは悪だとでもいう風に騒ぎ立てる人ってそれなりに居る。
少なくとも私がオーロと仲良くしたいと思っていて、オーロと親しくしようってそう決めたことなのに。
あくまで私達のことを思っている風を装いながら、ただオーロのような悪評のつき纏う存在が王族である私と親しくしていることが気に食わないだけである。
そう言う者達の相手をするのは少しだけ疲れた。
パーティーというものに参加をしたことがほとんどなく、慣れていなかったからというのも大きいだろう。
比較的、問題なくパーティーを終えられたことに私は凄くほっとした。
上手くやるつもりだったけれど、私は社交界に慣れていないから失敗してしまうだろうかと少しの不安はあったから。
「ヴィオ、お疲れ様。私……もうあんなパーティーに参加することなんてないって思っていたわ。参加するとしても、きっと良い思い出にならないだろうって。それなのにヴィオのおかげでこんなにも楽しく過ごすことが出来たわ。ありがとう。私、結婚前に参加したパーティーでさえ、此処まで楽しめた記憶がないわ」
パーティーが終わった後、私が疲れたように椅子に腰かけているとオーロが労わるようにそう言って笑いかけてくれる。
社交の場に出ることはやっぱり疲れてしまうけれども、こうしてオーロのためになれたならば良かったなとそう思ってならない。
「私もオーロが居なかったら、パーティーに参加しようなんて思わなかったわ。あなたが居るから、私は表舞台に立ってもいいかなと思ったのだもの。オーロが楽しかったのなら良かったわ。オーロのことを悪く言う存在は黙らせたつもりだけど、少しは耳に入ってしまってごめんね?」
「もう、ヴィオが謝ることではないわよ。寧ろヴィオのおかげで面倒なことにはならなかったのだもの。ヴィオが隣に居ない状況ではそもそも社交の場に戻ることなど出来なかっただろうし、仮にパーティーに出ることが出来ても私は嘲りを受けていたでしょうね」
「皆、人の悪い噂を話すのが好きだものね。もちろん、そういう貴族ばかりではないことも知っているけれど、私そういうの苦手なのよね……」
情報というのは大きな武器であり、王妃であるお母様や他の貴族夫人や令嬢達だってお茶会などの場で様々な会話を交わして情報交換をしている。
殿方たちからしてみると、無駄に見えるようなことでもきちんと後々役に立ったりもするのである。
ただ私としてみると、そういうことをするのは得意じゃない。たまにならばいいけれども、常にそう言うやり取りをするのって私には向いていない。
それもあって、私は自分に出来ることをしようと思って魔法関係で国に役立てるように頑張っているんだけど。
「まぁ、そういうものだもの。私がヴィオと一緒にパーティーに出たこと、元夫たちの耳にも入りそうだわ」
「ふふっ、それが目的だもの。彼らは慌てるでしょうね。王族である私がオーロを友人だっていうんだから」
これでやましいことが何もないのならば、彼らは堂々としていただろう。しかし伯爵家は何処までもオーロのことを切り捨てようとしていた。お飾りの妻として利用して、そのまま不良品というレッテルを張り付けて捨てて。
オーロからどれだけ王家に情報が流れているかといったことも不安に思っているだろう。
そのまま怯えればいいと思う。
そもそも下位貴族相手ならば何でもしていいって考え方もどうかしてる。本人もそれが眉を顰められる行為だと分かっているからこそ、オーロを悪として、自分たちが正しいことをしたって広めているんだろうけれど。
「あの伯爵家やそれに追随する連中から絡まれた時は、オーロは私の名を思う存分使っていいからね?」
私がそう口にしたら、オーロには困った顔をされる。
「まぁ……それは恐れ多いわ。それにそんなことは簡単に言っては駄目よ?」
「オーロにだから許可しているのよ。きっとオーロの嫁ぎ先の伯爵家って、あなたの口を黙らせようとすると思うのよね。そんな連中に遠慮する必要はないわ」
あくまでオーロのことを下に見ているのならば、オーロのことを黙らせようとするんだろうなと想像が出来た。
私の友人としてパーティーに出ていても、彼女を取るに取らない存在だと思って入れば……私がオーロと仲良くする時間が長く続かないとかそう言う勘違いもしそう。
「そうね。私……伯爵家での暮らしで元夫に自分の意見を言うことが出来なくなっていたわ。様々な心配をして、言われっぱなしで。でもそれっておかしな状況だものね。私、きちんと自分の口でおかしなことはおかしいっていうようにするわ」
オーロは決意したようにそう言った。




