19
4/14二話目
私とオーロが王宮内の大広間に到着すると、一気に視線を浴びた。二人で入場をしたのは、私がオーロと親しくしているのを示すためだった。
今回のパーティーは規模はそこまで大きくないものなの。王宮で開催するものだけど、参加者を厳選しているというか、そんな感じよ。だから、オーロの嫁ぎ先である伯爵家は来ていないわ。
私とオーロも急遽参加することになったのだけど、主催が王家のものだからすぐに許可されたの!
「は、はじめまして。ヴィオミーリナ殿下! 噂以上にお美しい方で驚きましたわ」
「ヴィオミーリナ殿下! ごきげんよう」
私は多くの人達にあっという間に囲まれてしまう。私の紫色の髪って、この国では結構珍しい色なのよね。それもあって余計に私は目立つわ。それにしても殿方から、視線を向けられるのはちょっと面倒だわ。
中には不躾な視線もあって、うんざりする。
私ともし良い仲になれれば、王家とも縁続きになれるってそういう打算の考えでいっぱいの人もそれはもう多いのだもの。仕方がないけれどね。
「あ、あの、隣の方はもしかして……」
「彼女はオウロイア・アスールファ。私のお友達よ」
私がオーロのことを紹介すると、周りの者達の空気が一瞬固まった。やっぱりオーロの元嫁ぎ先の伯爵家があることないこと広めているせいでしょうね。
……本当にイライラするわ。ああ、でもこのような場で感情を外に出しすぎるのもいけないって分かっているから笑みは貼り付けているけれどね?
目の前の彼らからしたら、私とオーロはどう思われているかしら。
私がオーロと仲良くしているというのを嘘だと声高らかに言っている人も知っている。それからもし仲良くしていても私がオーロに騙されているんじゃないかってそう言い放っている人が居ることも。
私が世間知らずで、引きこもってばかりの王女だから。
それに私がどういう人間か知らない人が多すぎるから。私がもっと社交的で、そう言う相手に騙されるはずがないって思ってもらえたんだろうな。でも私は“幻の姫君”って呼ばれているぐらいに人前に出てこなかった。
そのせいでオーロの窮地にもなかなか気づかなかった。目の前の一部の人達は、私がオーロに騙されているかもと思っていると思う。
「私の友人であるオウロイアの心無い噂が出回っていることはあなた達も知っているかしら?」
私はそんなものに騙されたりはしないのだと、堂々と示すために自分から敢えてその話題を振った。
私に対してオーロのことを忠告したいけれども、どうしたらいいか分からないというような態度をしていたから。オーロのことを噂通りの悪女と勘違いしているからなのかも。
そんな悪女の前で、オーロのことを悪く言ったところで私に上手く伝わらないかもしれないという懸念もあったのかもしれない。
私の言葉にぎょっとする周りを見て、おかしくなってくすくすと笑う。
私のことを侮っている方たちは多いのかもしれない。社交界に全然顔を出さない変わり者の王女。世間知らずで、周りの目を気にせずに限られた世界以外を知らずに騙されやすい。そう言う評価をされていたのかもしれない。
実際の私がどういう人間なのかは、知らない人ばかりなのに不思議な話だわ。
「……ええ。存じておりますわ」
「その噂を知った上で、ヴィオミーリナ殿下はオウロイアさんと仲良くなさっているのですか?」
探るようにそう問いかけられる。
本当は私にオーロと親しくしない方がいいと言いたいんだろうなと思う。だけれども王族である私がオーロを友人だと断言しているから言いにくいのだろう。
「もちろん。そもそも私とオウロイアは昔からの付き合いなのですわ。互いに家名は伝えてはいなかったのですが、交友は持っておりましたの。だから、私は彼女がどういった人間なのか知っています。実際にオウロイアから話を聞いてみて、やはりあのような噂をされる謂れはないと判断したの。だから、あなたたちも偽りの情報を広めるのはやめていただきたいのよ」
私が此処まで告げれば、何をしてほしいとか意図的に言わなかったとしてもきちんと噂を訂正してくれることだろう。
そのことが分かるので、私はにっこりと微笑む。
私の笑みを見て見惚れている人達が多い。あまり笑わない方がいいって幼いころに言われていたのって、ただでさえ注目を浴びる笑みに魅了の力が乗っているからだったんだろうな。
ポーッとした視線などを向けられて、余計な接触がされなければいいなぁとそんなことを思った。
「そうなのですね。昔から交友を持っていたとは驚きですわ」
「オウロイアは魔法に関しての造詣が深い方で、今は一緒に研究を進めているの。とても素晴らしい知識を持ち合わせていて、それでいて一緒に居て凄く楽しい女性なの。結婚生活中、パーティーに出ることが叶わなかったようだから久しぶりの社交界のようなの。良かったら、オウロイアによくしてあげて?」
私はオーロのことを自慢する意味も込めてそう言って笑いかけた。




