あなただってイレギュラーなんでしょう?
卯・辰の章、更新いたしました。
ポーラ学長、サンテラ、そしてマコの葬儀を終えると、リヴィアが率いるメリーナ一行は予定通り「夜明けの爪」の本部がある地下迷宮へ向けて旅立っていった。
そしてその道中にある街を全て開放しながらの旅となった為に、一年余りの月日が流れ去っていた。
地下迷宮には、新たに選抜された十一魔将が待ち構えていた。その熾烈な戦いの中でメキーラがアニラがバサラが、そして今またシンダラが息絶えようとしていた。
「あるじ・・、ここ迄の様です」
狡猾な巳の魔将の罠におちいったメリーナ、エスターテを救うためにリヴィアと共に身を挺して刺し違えていた。
そして・・。
「わたくしもここまでの様です。巳の魔将との闘いが最後になるとは、つくづく因縁を感じてしまいますね・・」
そうメリーナに告げると、下半身を失っていた誇り高き高貴なるヴァンパイア、リヴィア・テンプルは静かに息を引き取っていった。
「ハイラ・カーラ!聞こえているのでしょう!わたしも、あなたと刺し違えてもこの世界を元の状態に戻すわ。たぶん・・それが、わたしが、ここに呼ばれてきた理由だと思っているから」
メリーナが大声で叫ぶと、目の前の壁が左右に開き格調高い大広間が姿を見せた。
「イレギュラーが、自身の存在意義をその様に語るとはね」
ハイラは、大広間の奥の豪華な椅子から立ち上ると、その全身からおびただしい魔力を開放しながらメリーナたちに近づいて来る。
「あなただってイレギュラーでなんでしょう?」
メリーナはマコが感じ取っていた疑問をハイラにぶつけてみる。
「イレギュラー?確かにそもそも、バーチャルの世界に窓がつながったこと自体がイレギュラーだったんでしょうね。そして、情報としてだったら、この魔法の有る世界に送り込む事が可能だった。わたくし達の好奇心がこの事態を生み出したともいえるわね」
その時のハイラは明らかにエンジニアとしての顔を見せていた。
「ただの好奇心から始まったんだったら、大人しくこの世界を見物だけしてたら良かったんじゃない」
事情を聞いていたエスターテが、メリーナの隣で率直なこの世界の住民としての言い分を口にする。
「これでも最初は観察だけしようとしていたのよね。でもマコラも送り込まれてきたから、色々試したくなったのよね」
今度はメリーナが口を開く。
「でも、その後は誰も送り込まれていないってマコちゃんが・・」
「あなたが居たじゃない。もしかしたらこの世界のあちこちにイレギュラーが起きているかもって、思うでしょう?」
「・・いたんですか?」
「・・今のところ見つからないわ。もしかしたら既に窓が閉じられているかもしれないし、時間の速度が同期できなくなったのかもしれないわね。何故かこの世界の情報はこちらでも可視化が可能だったんだけど、情報魔法のようにね」
「難しい話ばかりですけど、そもそもよく自分の記憶を送り込もうなんて考えましたよね」
メリーナは 呆れと怒りが混ざった口調で尋ねた。
「だから、適合する記憶を収集する為に、私達はMMORPG「魔法学園都市アルカディア」を制作したのよ。自分達自身の記憶を含めてね」
メリーナはようやく、この異常な事態の真相を知る事となった。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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