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もう一人のわたし・・

卯・辰の章、更新いたしました。

 「メリーナ!何やっているのよ!」

エスターテが動揺するメリーナに、大声をかけ鼓舞する。

「わたし相手に、余裕だな」

ラジャット(銀)が長い棒状の武器ムサラを槍の様に絶え間なく突いてくる。

「そうよ、これしき!」

エスターテは紙一重で、両手に装備したオレンジ色に輝くナックルダスターでいなしながら、全身に聖気を伴った闘気をため込んでいく。


メリーナはエスターテの声かけで我に返ると、マコの両手から放たれるレイピアによる斬撃に、ようやく対応出来る様になっていた。

「先輩、持ち直してきましたね。ゲーム同様、ルームメイトメイトの力は偉大ですね」

マコが茶化す様に、攻撃の最中にメリーナを動揺させる様な言葉を向けてくる。

「あなたのルームメイトメイトは、どうだったの?」

平静を装いメリーナもマコに声をかける。

「わたしは、ゲーム外からの参加だからイベントなんかは有る訳ないでしょ」

「え、そうなの?」

「先輩。まだ解らないんですか?ゲームと同じ様に見えてるの一部だけで、ゲームの方がこの世界を参照していただけなんですよ」

「ゲームの方が???」

「だ・か・ら、メリーナもマコラも、元々からこの世界の住人だったんですよ。両方の記憶があるでしょう?」

「あーっ!だから、半分なんだ」

「やっとわかった?わたしって、なかなか理解できないからね~」

マコは溜息をつきながら、お互いが魔法を発動させる暇を与えない為に、メリーナにレイピアによる斬撃を続けていた。


「聖幻闘舞!」

ついにエスターテは、魔の力を根こそぎ奪い去る、聖気で囲まれた自身の幻影と共に超高速の連続蹴りと凄まじい拳の一撃の奥義を放つ。

「ふっ!」

この時を待っていたかのようにラジャット(銀)は、全身を白銀のプラズマで覆う。

「えっ!」

その打撃の瞬間、全身にため込んでいた聖気が一気に抜けていき、ただの連続蹴りと拳の一撃になってしまう・・が。

「馬鹿な!」

それでもその純粋な打撃の力だけでラジャット(銀)は、はるか後方に吹っ飛ばされる。


「ラジちゃん!」

マコは吹き飛ばされたラジャット(銀)を思わず目で追ってしまう。

「あっ!」

思わずメリーナから声が漏れる。

「先輩♡わたし、どうやら自分に殺されてしまうみたいですね・・」

本来はマコに完璧に、いなされるはずのメリーナのレイピアが、予測もしない方向にはじけマコの心臓を貫いていた。

「エクストラ・ヒール!」

慌ててメリーナはマコに回復魔法をかけるが、その効果は無く、マコは既に即死状態で絶命していた。

(先輩♡わたしは、ただのハイラに仕組まれたモルモット。そして先輩は想定外の存在としてこの世界に呼び込まれていた異分子なんです。さようなら、もう一人のわたし・・)


マコを泣きながら抱きかかえるメリーナの意識の中に、はっきりとしたマコの残留思惟が流れ込んでいた。



お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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