悔しいです!先輩
卯・辰の章、更新いたしました。
「話をずっと聞かせてもらったが、つまりメリーナにはメリーナ自身と別の世界の人物の記憶が混在しているという事かい?そしてこの世界がゲームという娯楽の中の世界だと言うのかい?」
ポーラ学長は、理解しきれずにメリーナに問い直した。
「はい、ハイラさんもマコちゃんも私と同様の経験をしているという事だと思います」
「本当に理解しがたいね。ここは、どうみても現実だし。わたしは、ずっと昔から元々は冒険者としてカイラやエルドと共に、この世界を渡り歩いてきたんだ。そのゲームとかいう物の登場人物として作られてなんかいないんだがね?」
ポーラは首を横に振りながら思案に暮れていた。
「今回の乗っ取りも、私たちがいた世界のやり方なんです。わたしが大好きだった店が、働いている人はそのままで、お店の偉い人だけが、別の国の人に変わってしまった事が有ったんです。それを「敵対的買収」と呼ぶんだと後になって知りました。わたしの居た世界のやり方なんです」
「それは確かに今までになかったやり方だね。それに今迄この世界はね、破壊と暴力で世界を統治する時代と、やはり暴力を暴力で排除し再建する時代が交互に訪れていたんだよ。でも今回は破壊も略奪も最小限で街を乗っ取る動きに変わっていた。そこも別の世界のやり方なのかい?」
「昔は戦争で侵略していたのですが、だんだんと戦争以外の手段で相手を征服するようになってきています」
ポーラは溜息をつきながら話を続ける。
「つまり、そこも別世界と同じ様な手段で乗っ取りをしているという事なんだね。それで、自治体やギルド、商人ギルドが乗っ取られてしまったんだね」
「わたしの居た世界では、わりとよく国とか会社と呼ばれる共同体も乗っ取られていましたから」
ポーラは真剣な表情でメリーナを見つめながら自分自身に言い聞かせる様に口を開いた。
「信じるよ、少なくともこの世界と違う世界が存在している事を。そして、私たちが知らない侵略方法を行っている事もね」
「はい。でもわたし実は、そう言った方法の使い方をほとんど勉強していなかったんですよね」
そこは、いつものメリーナらしく、軽く頭をかきながら苦笑していた。
「さあ、会場に戻るよ。あの後どうなったんだろうね。いつも通りなら、投票が終わっている頃かね」
二人が学長室から大講義室の会場へと向かうと会場内から歓声が聞こえてきた。
「・・?」
二人は顔を見合わせ大講義室の側面扉を開けるとアウラがガッツポーズをしていた。
「以上が投票結果となります。皆さん新会長に盛大な拍手をお願いします」
選挙管理委員長のリヴィア・テンプルの呼びかけで、会場は盛大な拍手に満ち溢れていた。
「どうやら、そのまま進行されていたようだね」
少しほっとしたようにポーラは会場を見渡していた。
メリーナは壇上のマコに目を向けると悔しそうな表情で紅玉色の瞳から涙がこぼれていた。そして、メリーナに気が付くと声をかけてきた。
「悔しいです!先輩。次点でした・・」
マコの普段通りの態度と、次点の票を集めていた事に、さすがのメリーナも脳がバグってしまっていた。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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