信じて下さい
卯・辰の章、更新いたしました。
マコの可愛い仕草で踊る様な演説を後ろの壇上席から見つめながら、メリーナは「夜明けの爪」総帥、ハイラの先程の言葉に思考を奪われていた。
(あなたは今だにゲームの世界に転生したと思い込んでいるのですか?そうあの人は言った)
(たしかにMMORPG「魔法学園都市アルカディア」と同じ様な建物や景色が広がっているけど、匂いも味覚も痛覚もあるこの世界は、やはり実在している?)
(じゃあなぜ、実在の世界の人間までゲームのキャラクターに瓜二つなの?)
(わからない!あの人やマコが、わたしと同じならこの世界が何なのかわかっているの?)
メリーナはハイラにもう一度、問いかけようと決心し、声をかけようとしたが、壇上のどこにもハイラの姿がない事に気が付いた。
(いない!)
更に大講義室の会場席を見渡すと教諭席にいるはずのポーラ学長の姿がない事に気が付いた。
「いけない」
メリーナは思わず声をだすと、立ち上がり隣りに座り難しい顔をしてマコを見つめ続けているアウラに声をかける。
「すいません、退席します。学長を探してきます」
アウラは驚いたように振り向くと声を出す。
「何があった?え、声が出せる!」
「学長とあの人がいません。探してきます」
そう言うと壇上にもかかわらずメリーナは変身した。
「メリーチェンジ」
そして、赤髪の癖毛のショートヘア、濃いピンクの瞳、口元から小さな牙のメリーナになると、時魔法のタイムアクセルを使用して壇上から一瞬のうちに姿を消していた。
「学長ご無事ですか!」
まず最初にメリーナが向かったのは学長室だった。あの人は学長に、正式の「魔導契約書」を手渡すと言っていた。どこで手渡すのか?どこに連れられているのか?そう考えながら学長室に飛び込んでいた。
「メリーナかい」
ポーラ学長は呆然とした表情で沢山の「魔導契約書」を机に並べ見つめていた。
「全て本物だったよ。この学園はどうなってしまうんだろうね」
「あの人は、ハイラさんはどこに?」
メリーナの問いかけにポーラは首を振りながら答えた。
「帰ったよ。アルカディアの街に理事会準備室を設けるそうだよ、改修改築工事は商人ギルドが請け負っているそうだよ。「それまでに状況を理解して下さい」って言って消えたよ。もしかしたら実体ですらなかったのかもしれないね」
「学長・・」
「メリーナ。夜明けの爪の総帥が言っていた「転生者」「同様の存在」とは、どういう意味なんだい?」
始めてみる学長の厳しい表情にメリーナは思わず後ずさりしながら答えた。
「それは・・、上手う言えません。わたしにもわからない事が多すぎて・・」
少し間を空けてから学長は訊ねなおした。
「メリーナ、あなたはあの二人と同様に、私たちに無い能力を持つという事なのかい?そして心当たりがあるという事なのかい?」
メリーナはうなずくと目にうっすらと涙を浮かべながら及び腰に声を出していた。
「学長、これから話す事を、わたしの言う事を、どうか信じて下さい・・」
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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