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いってくるね♡

卯・辰の章、更新いたしました。

 選挙運動二日目、学生食堂前の広場は、一段と華やかな装いで包まれていた。

「うわ~♡あの娘。今日は口パクで歌いながら踊ってる!」

「口パクなのに、魔法じゃないのに、何を訴えてるかわかちゃう♡」

「俺たち、凄いもん見せられてるよな」

マコのお立ち台以外のお立ち台では、ルシアと共にエスターテが可憐な演武を舞い踊っていた。

「格好い、凄いぜ」

「どこの一族に伝わる流派の演武だろうか?初めて見るよ」

他の候補者のお立ち台も、みな初日より明らかにレベルアップしていた。


「うおー!なんだよこれは!」

アウラのお立ち台でも、今日は歓声が上がっていた。

「下の人が直立し、上の娘がその両肩の上に立ち上がってバランスを取りながらプラカードを見せてるぞ」

「今度は、副会長さんが、あお向けに寝て両足・両手を垂直に突き出して、上の娘がその手足の上で倒立をして足でプラカードを見せてるわ」

「下の副会長、があお向けに寝て両足を垂直に上げ、上の娘がその足の裏にお腹を乗せて、空中で両手両足を広げて水平にバランスをとりながらプラカードを広げてる。魔法無しで出来るの?」

アウラとメリーナが行っているのは組体操と呼ばれる二人一組で行う合体技だった。

「副会長が、直立した状態で、上の娘が副会長の両肩の上に立ったままで、前を向いて二人とも両手にプラカードを握ってふってる!」

アウラとメリーナ、正に硬派で体育会的な広報活動だった。



まれに見る祭りの様な三日間の選挙活動が終わり、新築の大講義室で投票前、候補者と推薦人による最後の立ち会い演説会が始まろうとしていた。

「いってくるね♡」

壇上の舞台裏でエスターテに告げると、一番くじを引いたアウラと共にメリーナは、壇上へと歩んでいった。


「ごめんなさ~い。先輩との思い出話になっちゃいました・・」

壇上に用意されている席に移る際にメリーナは顔を真っ赤にしながらアウラに謝っていた。

「懐かしかったよ。みんなの反応も良かったと思うし、ありがとう」

アウラは本当に嬉しそうにメリーナの肩を叩き席に着いた。

壇上では次々と立ち会い演説が進行していた。

そして、ルシアとエスターテが立ち会い演説を終えると、最後にマコが見知らぬ女性と共に立ち会い演説の壇上に姿を現した。


「さて、学園のみなさん。始めてお目にかかります。マコの推薦人で、この学園の新たな理事長に就任予定のハイラ・カーラと申します」

その言葉に学生、教諭、そして、ポーラ学長でさえも驚いていた。

「理事長なんて役職は、この学園には存在しないはずだが!」

教諭席のセージが叫ぶと、女性は笑みを浮かべながら答える。

「これから生まれる役職ですからね。「夜明けの爪」がこれより新たに新設するのですから、その前のご挨拶がてらにまいりました」


ポーラ学長は悟っていた。今この瞬間、この場に居る全ての者が「夜明けの爪」総帥、ハイラ・カーラの支配下による人質になっているという事実に・・。




お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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