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ただいま戻りました♡

丑・寅の章、更新いたしました。

 シンダラが、僅かな月明かりに照らされた巨大な山脈の南端の山の爆心地で見た光景は、異様な一本の一直線の筋となって残った山すその木々たちだった。

「あそこか?」

その筋の先端に雲を降ろすと、エスターテが泣きながら魔力回復用の小瓶を手に、横たわるメリーナに口移しで必死に飲ませていた。

「何があった?メリーに、主に意識はいるのか?」

シンダラの言葉にエスターテは首を横に振りながら、今度は、メリーナの背のリュックサックから魔力回復用の小瓶を捜し出すと、再び口移しで飲ませ続ける。


「エスちゃん!」

いきなり、メリーナが目を開くと思わず口に両手を当てながら顔を真っ赤にする。その様子を見たエスターテは今度はメリーナ抱きつき叫ぶ。

「メリー・・、メリー!起きろって言ってんだろ!」

泣きながらいつもの様にメリーナを起こすエスターテは、その泣き顔を見せない様に、顔をいつまでもメリーナの胸に沈め続けていた。


「魔力が枯渇するほどの防御魔法を使っていたんだな」

エスターテが少し落ち着くと、シンダラがメリーナに声をかける。

「エスちゃんが、神聖魔法を全開にして目の前で立ちふさがってくれたの。その一瞬のおかげで防御魔法を発動する時間が稼げたの・・エスちゃんもちゃんと守れてたみたいで良かった♡」

「見事にこの一本の筋だけ森が残っていた。寅は灰も残っていないみたいだな」

そう言いながら、シンダラは少し悲しそうに爆心地を睨み続けていた。



空が薄明るくなる頃、メリーナとエスターテ、二人を背負ったままシンダラはゆっくりと学園の中庭に雲を降下させてきた。

慌ててポーラ学長、カイラ、エルドが中庭に飛び出してくる。

「おはようございます。ただいま戻りました♡」

メリーナがエスターテと共に元気よく三人に朝の挨拶をする。その様子にカイラが思わず突っ込みを入れる。

「なんだい、ずいぶん簡単な用事を済ませたみたいじゃないか?」

「これ、ずいぶん助かりました」

エスターテがリュックサックを返そうとするとカイラは睨むように告げる。

「汚れたままで返そうとするのかい?そのまま持っていきな!いくつあっても困らないだろう」

そう言うと少し微笑んでからお辞儀をする。

「よく無事で戻ってくれた。大仕事だったね」

「本当は学園を守るために、私たちが対応しなければいけなかったんだよ。本当に済まなかった」

今度はポーラ学長が頭を下げて礼を言う。

「学長には苦渋の決断だったんだよ。学長をどうか責めないでくれないか」

そう言いながらエルドも頭を下げる。

その様子を見ていたシンダラは、落ち着いた表情でくぎを刺す。

「この二人だから生きて帰ってこれたんだ。これからも「辰」を相手に全校生徒や街を守りながら戦うなんて不可能だと認識してくれ。元十二魔将からのこれは助言だよ」


そう言い残すとシンダラは、丑の十二魔将ショウトラ・パテルとの最終決戦の為に空へ飛び立っていった。



お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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