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ここで早目の昼食にしようよ♡

丑・寅の章、更新いたしました。

 「ここは、見晴らしが良さそうね」

エスターテは、周りの気配に細心の注意を払いながら山道を離れ見晴らしの良さそうな土場の跡地に足を進めた。

「ほんとだ~、アルカディアの街並みが一望できる♡」

メリーナは嬉しそうに景色を眺める。

「もしかしたら、ここでも街を見張ってたんじゃない?」

エスターテは、何か手掛かりがないか注意深く周りを観察していると、メリーナのお腹鳴る音が聞こえてきた。

「へへ・・朝ごはん食べていなかったから、ここで早目の昼食にしようよ♡」

メリーナは緊張感なく話しかけていた。

「そうね。ここが一番ましな休憩場所かもね」

エスターテも同意し、リュックサックからカイラおばちゃんお手製の弁当を出してお互いが背を向けて座り込む様にして弁当を食べ始めた。


(くっ、いい匂いさせやがって、こちらは非常食しか食べていないっていうのに・・。計画を終えたらあの街の美味いもん全て食ってやる!)

アンテラは二人にありったけの憎悪を向けてしまっていた。


エスターテはハッとした表情で食べるのを止めるとメリーナの足にトントンと手で合図を送る。

「・・!」

メリーナは口をモゴモゴさせながらエスターテを見つめると、エスターテは一点をはっきりと指差す。

「イグニッションボム!」

その方向にメリーナは躊躇なくボム系の魔法を放った。

「え、何やってるのメリー?」

「食事の邪魔はさせたくないもん」

「メリー・・、そんなんじゃないでしょう!」

エスターテは頭を抱えながらも、全てを諦めて食事を続ける事にした。


食事が終わる頃、街の南の郊外でも、いくつかのボム系の爆発音が聞こえてきた。

「向こうでもみんな同じ事してるみたいね」

メリーナが立ち上がって爆発音がしている方を観察しているとエスターテも立ち上がって様子を見ながら先程の不満を口にする。

「向こうは森じゃないでしょう。山火事になったらどうするの?」

「ボム系だと火はつかないと思って・・」

「あんな大爆発、雨が降ったりしたら山崩れの原因になるかもしれないでしょう」

「あっ、そうだよね。大じいちゃんも山崩れの事はいつも言ってた」

そう言いながら反省したようなそぶりをメリーナは見せるが、エスターテはもちろん反省したふりだとわかり過ぎるほどわかっていたので溜息しか出なかった。


(何だあの娘は、いきなりボム系の大魔法を打ち込んできやがった。わたしより殺意が高いんじゃないのか?他の十二魔将たちを恐怖で従えているのか?)

命からがら直撃を避けてはいたが、一瞬アンテラは死を意識するほどの威力だった。

(運よく幾つかの木々が障害物となっていなかったら今頃は・・まったく危ない奴だ! とにかく夜を待つとしよう・・)

そう決心すると僅かな殺気も放たない様、細心の注意を払いながらアンテラは、再度二人を追跡を続ける事にした。



「姿を見せなくなったよね?情報調査用魔法でも反応がでなくなっちゃった」

数時間山を登り続けた後、ついにメリーナがぼやく。

「あれは流石に引くと思うよ、相当用心深くさせちゃったのよ。どうする?多分、夜しか襲ってこないと思うよ。山を下る?」

エスターテが尋ねると、メリーナははっきりと答える。

「さっきの広場で迎え撃とうよ。あそこが一番良さそうだよね」

「たしかに夜、迎え撃つのならあそこしか無さそうよね。わたしも賛成するわ」


夜の闘いを双方が想定し、やがて山での夜がふけてゆく。



お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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