そうだね、エスちゃん♡
丑・寅の章、更新いたしました。
寅の十二魔将アンテラ・ダンタヴァルマは、北側の城壁の背後には巨大な山脈の南端の山、その尾根の頂より早朝のアルカディアの街を見下ろしていた。
やがて四人の魔将たちが薄明かりの中、丑の十二魔将ショウトラ・パテルと魔牛軍団に相対する為に街を出ていく様子を見つめながら一人ほくそ笑んでいた。
「やっと動き出したか、さていよいよ出番だな。ショウトラよ、少しでも長く上手く引付けておいてくれよ」
そう言いながら視線を街の郊外の魔牛軍団に視線を向け闘いを観察しようとしていると、その視野の端に動く者を僅かに捉えた。
「うん・・西の門より二人出てきた?逃げようとしているのか?」
しかし予想とは違い、北側のこの南端の山を目指していた。やがて山の登山道に差し掛かると、一人が虹色に光ると長い金髪から赤髪のショートヘアに変わっていった。
「メリーナ・フレヴァリ!」
アンテラは、思わず叫んでしまっていた。
「そうだ、つまり両面作戦を選んだという訳か。ここにわたしが潜んでいると判断してみずから守りを捨てたという訳か・・」
上空から見えない様に草むらに潜んでいた身体を、ほふく後退させながら森へと戻っていった。
「ここまで登ったら、もうアルカディアの街が一望できるみたいね」
山道の片側の木々の先に見えてきたアルカディアの街なみをエスターテは指差した。
「どこまで気配を消せるのかな?もう狙われてるのかな?」
メリーナは少しのんきな口調でエスターテにたずねた。
「もう、すっかり私たちの気配に気が付いてると思うわ。でも、わたしには気配が感じられない、メリーナは?」
「う~ん、情報調査用魔法を広く放ってみようか?」
「え、そんなに近くに潜んでいるのかな?」
「やってみる」
メリーナはアルカディアの街なみが見える方向を背にして、あたかもアクティブソナーを放つかのように情報調査用魔法を放った。
「えっ!アンテラ・ダンタヴァルマ、精神、幻惑、雷、嵐、影、闇属性。消音魔法、隠密魔法、幻影魔法、黒魔法。基礎能力値99、最大能力値444。シークレット固有ギフト「舐めまわしフェチ」って」
辺りをキョロキョロしながらメリーナは、驚きながら声に出していた。
「え、いるの?距離は?」
「どの位の範囲に届いてるかわからないの・・」
エスターテは溜息をつきながらも考えをメリーナに告げる。
「とにかく、森を抜けて周りを見渡せるような場所を探そう」
「そうだね、エスちゃん♡」
音が聞こえるぎりぎりの距離を保ちながら二人を観察していたアンテラは二人の会話の内容に驚きを隠せなかった。
(この距離で情報調査用魔法が届くのか・・、メリーナ・フレヴァリ、噂以上の化物の様だな)
これまでにない獲物にアンテラはアサシンとしての喜びを感じていた。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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