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狩ってきま~す♡

丑・寅の章、更新いたしました。

 「おばちゃん!」

メリーナとエスターテがそっと通用門から学園を出ようとしていると、カイラがリュックサックを二つ抱えて待ち構えていた。

「間に合った様だね。馬鹿かお前たちは、そんな軽装で街を出るつもりかい」

少し怒ったような口調で二人に鞄を手渡した。

「ありがとう。本当におばちゃん、ごめんなさい・・」

メリーナとエスターテが頭を下げていると、今度は優しい口調で話しかける。

「わたしでも同じ様な事が有ったら主人と脱走していたね。いいかい、逃げるのではなくて相手をこちらから狩る位のつもりで挑みなさい。そして多分わたしの勘だよ、敵はいまは街を観察できるところに潜んでいる。つまり北の裏山に潜んでいると、わたしは見ている。夜になる前に、早朝から行動して明るいうちに狩ってしまうんだよ」

「わかりました!裏山ですね、狩ってきま~す♡」

メリーナがまるでこれから楽しいイベントがあるかのように笑顔をカイラに向けると、カイラは溜息をつきながら一言つぶやく。

「わたしが主人と学長とでパーティを組んでいた頃でも、そんなに能天気じゃなかったと思うがね・・」

「え、学長とパーティを組んでたんですか?」

エスターテが驚きの声を上げると、まるで誤魔化すかのようにカイラは二人に背を向けながら声を出す。

「わたしゃ、今晩は徹夜で弁当をつくり続けなきゃいけないんだよ!さっさと出かけな!」

そう言ってカイラは学生食堂の方に向かって歩んで行ってしまった。



二人が西門に向かっていると、今度は街を警備中の猿人達が声を掛けてくる。

「こんな薄暗くなった街で何か有ったんすか?」

「ちょっと、狩りに行ってこようと思って」

メリーナが簡単に答えてしまうと声を掛けた猿人が驚きながら聞き返す。

「狩りですか?お二人に狩られるとは、獲物に少し同情しますね。深夜に狩るんですか?」

「夜明けと同時に狩りに行こうと思って」

「朝までどこかで仮眠をとるなら、今は街の中でとった方が良いですぜ。西門手前には犬人たちが野営地を設営してますんで、そこで仮眠を取ってから出かけると良いんじゃないですか」

「ありがとう、そうする」

二人は西門の野営地を目指して歩き始めた。



「起きなさい!メリー!起きろって言ってんだろ!」

「ここは・・、やっぱり夢じゃない・・」

「あんた何言ってるのよ!早く起きる!狩りにいくんでしょ!」

「はい。はーい、エスちゃん♡」

野営地でエスターテに起こされ、寝ぼけ眼をこすっていると今度は見知った声が外から聞こえてくる。

「主、メリーさん・・何が有ったんですか?」

バサラが心配そうに尋ねていた。

メリーナは薄明るくなった野営の外に出ると、眼をこすりながら普段通りの口調で簡単に答える。

「寅狩りに裏山にお出かけするの」

「はい・・?」

「エスちゃんと一緒に狩りにいくの」

「そんな簡単そうに言わないで下さいよ。相手は夜の暗殺者ですよ!」

「だから昼間に、こちらから狩ってやろうと思うの」

「そうなんですか?表ではサンテラたちが、裏山ではメリーさんたちが動き出すんですね」

「そう、昨日決まったの。バーちゃんは街の警備を続けてって」

「わたしにそう言って、もうみんなは、作戦を開始していますよ」

「え、わたしたちも急いで裏山を登らなくちゃ!エスちゃん!」


慌てるメリーナにエスターテはリュックサックを手渡しながら呆れたように言い放った。

「メリーが寝坊してるだけなんだけど・・」



お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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