わたしを狩れないと他の人を狩ちゃうの?
丑・寅の章、更新いたしました。
「明らかに戦術を変えてきたね。どの位までなら持ちそうかい?」
正門の城壁の上で、ポーラ学長が横に並ぶ市政統括責任者のヴィクターに話しかける。
「これは、兵糧攻めですな。正直、全ての街道の流通が止まるとしたら60日ほどが限界でしょうが、市場では、明日にでも影響が現れるでしょう」
「飲み水は山脈からの地下水をくみ上げているから、まあ大丈夫だろうけど。物価が上がって食料が有るのに行き渡らない事にすぐなるね」
「すでに、商人ギルドには動いてもらっていますが。じきに炊き出しでも始める必要がありますな」
「おそらく今、最も食糧を備蓄しているのは学園ですから。炊き出しですか?学園でも協力させてもらいましょう」
「助かります。どうにかして街道の隊商幌馬車を守り流通を再開させないと街は干上がってしまいます」
「魔牛の軍団を個別撃破するしかないのかね・・その隙に学園が狙われそうな気がするね」
「これも、陽動ですか?」
「やはり、それが本命だろう。弱ったもんだよ」
溜息をつきながらそう言うとヴィクターを城壁に残し、ポーラ学長は学園へと戻っていった。
「さて、こうして放課後に教員、職員、生徒会役員に集まってもらったのは「夜明けの爪」魔牛軍団対策についての方針についてだ。街道の隊商幌馬車を再開させるには魔牛軍団の個別撃破しかないと思うが、その際に手薄になった学園が狙われる。あるいは生徒が人質としてさらわれる可能性が排除できない、この事について何かあれば意見を聞きたい」
ポーラ学長が大講義室の壇上で声を上げると、職員席のシンダラが手を上げながら意見を述べる。
「我々だけで魔牛軍団の個別撃破を実行しましょうか?元々、我々は戦力外だったのですから、その間は皆さんで学園や街を守ってもらえれば。それに、狙いの一つは我々の粛清でしょうから」
「別動隊が存在したら、どのような手段を取ると思いうかい?」
「その相手がもし、寅ならば一人一人狩って行くだろうと思います。気が付いたら狩られている・・そんな奴です」
その言葉に会場からどよめきが起こる。
「人質なんて面倒な手段は選ばない。個人で、隙を見せず防護するしかない、油断したら狩られる。そんな危ない奴なんですよね」
横からアニラが口を挟む。
「つまり学園が狩場になると?」
教諭のセージが声を上げる。
「その認識で良いと思います」
サンテラが静かに答えた。
「会議を早めに開いて良かったんだね。まず誰から狩られると推測できるかい?」
ポーラが問い直すと、メキーラが答える。
「最終的には主、メリーだと思うけど。私が空からの偵察時に感じたことは、奴はターゲットを追い込むために隙が有れば誰であっても、ついでの様に狩るタイプだと認識しています」
「え~!わたしを狩れないと他の人を狩ちゃうの?」
メキーラの話に生徒会役員席のメリーナはたまらず大声を出していた。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
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