美味しい~♡
亥・子の章、更新いたしました。
「美味しい~♡」
メリーナたちは、先程までの行き詰まっていた状況をすっかり忘れてしまった様に嬉しそうに晩ご飯を楽しんでいた。
「バサラ、こうして食べる食事は格別だろう」
新加入のバサラに気を使ってシンダラが声をかけると、ハッとした表情で返答した。
「あれ、そういえば始めて一緒に食事をしているんですよね」
「その様子なら、もうすっかりみんなと一緒にいる事に、なじんでいるんだな」
豪快に笑いながら、シンダラは部下の猿人達の元へと歩んでいった。
「今日は、宴はなしだ。わたしたちが作戦を練っている間、偵察を強化して異変が有ればすぐに報告してくれ」
その言葉を聞くや否や猿人達は闇夜に消えていった。
「聞いてくれ、学園で水や食料を調達している間に学園長に卒業生について尋ねた。二人は行商人を演じて街に潜入したとの事、年は四十代の男女でかなり優秀な卒業生との事だった」
シンダラの言葉にうなずきながらエスターテが声を上げる。
「優秀な方だったら、水や食料に対しての対策は万全なんじゃ?」
「おそらく、街の者から提供された食事や飲み物は決して口にしないはずだと言われていたが、魔法を伴わない成分で、しかも毒ではないとしたら、やむを得ない場合は口にする可能性は有る。との事だった」
「あの~、どんなものが混ざっているんですか?」
メリーナが手を上げて質問する。
「それは、奴にとって一番大事な秘匿したい物なんだろうが。サンテラ、何か推測できてはないか?」
シンダラは任務上接点の有るサンテラに尋ねる。
「わたしは、ただ魔道具の笛を渡されるだけなんだけど、何か強い催眠に近いような気がする。だけど催眠なら口にする行為でカカるなんて事は有りえない」
「催眠ですか?魅了の魔法ではないんですか?」
今度はエスターテが質問する。
「魔道具は操る際にしか使用していない様なんだよ」
メリーナは皆の会話を聞きながら、急に「ハーメルンの笛吹き男」を思い出し、そこからの連想で症状が現実世界の病や食中毒に近いような感じがしてきた。
「あの~、病や食中毒で人を操ったりできますか?」
再び手を上げてメリーナが質問する。その言葉に皆は暫く沈黙するなかバサラがハッと思い出したかのように答える。
「そういえば総帥が、鼠と共に任務を行う際に言ってました。「鼠には無暗に近づくなよ。ウツるぞ」って」
間髪入れずにサンテラも会話を続けた。
「そうよそう。十二魔将でも、ウツったらいけないから。魔道具の笛はいつも、指定された場所に取りに行ってたわ」
「魅了じゃない・・病なのか!」
シンダラは驚いたように叫んだ。
「恋の病みたいな?」
アニラのとぼけた発言に、メキーラがすぐにリアクションする。
「違う、でも近い!」
皆の会話を聞きながらメリーナは少し考えこむ。
(あれ、この世界には病原菌なんてイメージあるんだっけ?)
メリーナは、隣りで思案しているエスターテを見つめながら言葉にする事をためらっていた。
お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。
もしよろしければ小説家になろうでの、評価、ブックマーク・フォロー、感想などを頂けますと幸いです。




