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晩ご飯が帰って来たよ♡

亥・子の章、更新いたしました。

 「あ、帰って来る」

エスターテは遠く山小屋を飛び立つ雲を認識していた。

「ほう、凄いですね。この距離であの雲の動きがわかるんですか?もしかして、その眼鏡は魔道具ですか?」

偵察を得意とするメキーラもメ二人が飛び立つ様子を確認すると、エスターテの視力の高さに驚く。

「え、実は弱遠視用のダテ眼鏡なんですよ。視力が良すぎて逆にそれを誤魔化す為に付けているんです。それに、メリーに似合ってるって言われたし・・」

少し照れながらエスターテが答えた。

「鳥人である。わたしと同等以上とは驚かされますね」

二人がそんな会話をしている内に、メリーナとシンダラは物凄い速度で峠へと戻って来た。



「ママもおじいちゃんも無事です♡すでに避難していたみたいなので、みんなには心配をかけちゃいましたね」

戻ってくるなり、メリーナは笑顔の大きな声でみんなに伝えた。

「良かったね。メリーナの家族は二人だけなの?」

エスターテが問いかけると、メリーナはうなずき答えた。

「後は冒険者だった、お父さんの仮のお墓が有るだけなの。ちゃんとお参りして来たよ」

メリーナの明るい笑顔での受け答えに、エスターテは込み入った質問はやめるべきだと判断していた。

「街をどうするかだが、メリーナたちは、学園から潜伏している卒業生と合流するように学長に言われているそうなんだが、街はもう手遅れの様だからこの場でよく作戦を練る必要があるので、身を隠して話し合ってくれないか?わたしは日が暮れる前に学園に戻って食料や水の補給をしてくる。メキーラ手伝ってくれ、鼠の手のかかった街だ、決して街では飲み食い出来ないからな」

シンダラはそう言うとメキーラと共に再び雲に乗って学園へと飛び立っていった。


「あわただしい奴だな・・、一旦ここを離れよう」

サンテラはそう言いながら、メリーナとエスターテに自身の分身の黒馬にまたがるように促した。

「街では井戸水も飲めないの?」

メリーナが不思議そうに尋ねるとサンテラは答える。

「鼠の支配下に入ってしまいたくなかったら。井戸水であっても安心できないんですよ。卒業生の方達が飲んでしまってなければ良いのですが・・。主の実家は街から離れた所に有ったのは凄く幸運だったのですよ」

「飲むとどうなるの?」

「日常生活は多分ほとんど変わらないのですが、魔道具の笛を使う者の言う事だけには逆らえなくなって服従してしまうのですよ。私も以前、使っておりました・・」

申し訳なさそうにサンテラは答えてくれた。

「なにそれ。怖い・・」

後ろからエスターテがメリーナの気持ちを代弁してくれていた。



「街道から離れた、この辺りが犬人の見張りのエリア外になるはずです」

バサラが街の反対側の窪地に案内すると、アニラは周りの様子を見渡し、猿人達が警戒に散っていくのを確認しながら座り込んだ。

「で、どうしますか?」

アニラの問いかけに応じてバサラも問いかける。

「問題は合流予定の卒業生たちですよね?」

「アルカディア魔法学園の卒業生だからかなり優秀なのだろうけど・・、鼠が相手だからな・・」

サンテラが現実的な予想を口にする。

「もう手遅れって事ですか?」

メリーナが心配そうに問い直す。

「我々が警備を始めてからは、洗脳された住人以外で街を離れた者などいないはずです」

バサラがそう断言する。

「絶対?」

エスターテの言葉にバサラは念をおす。

「絶対です」


日も暮れて暗くなり始め、話し合いも行き詰まってしまった・・その時、メリーナとバサラが同時に鼻を鳴らし上空を見上げる。

「晩ご飯が帰って来たよ♡」

二人は真っ先に、嬉しそうに上空を見つめ続けていた。




お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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