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温泉楽しみにしていてね♡

申・鳥・戌の章、更新いたしました。

 「喜んでくれたかな~?」

メリーナが戻って来たシンダラに首を傾げながらたずねる。

「喜んでいるさ。既に上空に居なくなってる。今頃は何処かの木陰で驚きながら食っているよ」

そう笑いながら。シンダラは地上に残していた自分の残りの弁当を手に取る。

「姉御、夜の分のが減っているのでは・・」

心配そうに部下の猿人が尋ねると、真顔で振り返りにやりと笑う。

「奴の分もちゃんと用意してもらってるよ。晩飯の心配はしなくて良い」

そう言いながらシンダラは美味しそうにライスコロッケを頬張っていた。



「旨い、絶妙な味加減だ」

メーキラは高原の木陰で弁当を頬張っていた。そして瞳はうるみ頬を赤らめていた。

「参ったな~。どんなに調べてもただの弁当だったからな~。魔法も魔法薬も使われていない・・」

そう言いながらも、いつの間にか弁当箱は空になっていた。

蓋を閉じしばらく空になった弁当箱を見つめつぶやく。

「総帥のお創りになる世界に、この弁当は残るのだろうか・・」

首を振りながらメーキラは、自身の言葉に驚く。

「私は一体何を考え・・、そうか・・あいつらは。守るものを見つけたのだな・・」

先程まで飛んでいた大空を見つめながらメーキラは、ずっと思案に暮れていた。



「今晩、ここて野宿をしたら、いよいよ昼前にはセゴクメドウに着くから、温泉楽しみにしていてね♡」

皆に、晩飯用の弁当を配りながらメリーナは明るく声をだす。

「野宿が続いたから、本当に楽しみにしているから」

エスターテは髪を触りながら返事をする。

「温泉も楽しみだが、街の様子も気になるところです」

サンテラが二人を交互に見つめながら釘を刺す。

「事前に情報がもう少し欲しいところよね」

アニラも街の状態を危惧している様子だった。

「街には卒業生たちが潜入しているそうだけど、旨く合流出来るかな~」

メリーナも珍しく不安を口にした。


「情報ならもうすぐ手に入ると思うぞ」

シンダラが部下の猿人達に弁当を配り終え戻ってくるとニヤリと歯を見せ上を見上げた。

「えっ」

メリーナ達が上空を見上げると日が沈もうとする空に鳥のシルエットを持つ者が舞い降りてきた。

「・・弁当箱を返しに来た。旨かったぞ」

メーキラはぶっきらぼうにそう言うと、弁当を地面に置き再び飛翔しようとする。

「お前の分も有るんだぞ」

シンダラは弁当箱を差し出すと、メーキラの動きが止まり凍り付いたようにしばらく動かなくなってしまっていた。


やがて、シンダラの方へとツカツカと歩いて来ると、手から弁当を奪い取り匂いを嗅ぐと。

「ありがたく頂く。・・もう、 煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」

そう言うと草原に胡坐をかいて座り、何とも言えない表情で弁当を頬張り始めていた。



お読みいただきありがとうございました。更新を水曜日、土曜日の週二回、16時前位に更新したいと思います。引き続きどうかよろしくお願いいたします。


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