元次男、病院に行く②
「…………どうやら、戦闘系スキルは全消失しているうえ、戦闘系スキル適正も失っているようですね」
「うぇ!?」
「……ぅ、それは、また、なんというか」
病院で医師に診断してもらった結果に驚く与一。父、健治に至っては言葉を失っている。
居住区にはモンスター避けの結界が張られているが、それでもモンスターというのは少なからず出る。
少ないが自然発生はするし、それ以外にも次元の裂け目と呼ばれるモンスターが湧き出る虚空や、突発的なダンジョンの発生など、居住区内でのモンスター発生はままある。
なので、自衛のための戦闘スキルは生活の上で必須といえる。
与一だって、男のころには一応「弓術」と「短剣術」を習得しており、さほど強くはないものの、一応は戦えていたのだ。
それが女性化したことで戦闘力が完全に無くなった。そして戦闘適正も喪失したので、今後習得することもできない。
もちろんそう言う人は極めて少数だがいるし、適正ゼロとまでは行かなくても、使い物にはならないレベルで弱い人はそこそこいる。
なので別に珍しいことでは無い。
無いが、これは身体的障害といえるレベルの問題ではあった。
「そのかわり、料理と掃除スキルはかなり上がっていますね」
「……そんなことあるんですね」
「そうですね、この手のバグでスキルが偏るというのは、まぁ、割とあります」
対して、料理と掃除のスキルはかなり上昇していて、料理に至ってはプロ並みのスキルレベルであった。
「幸いと申しますか、体の方の不具合はなさそうです。正しく女性の体です。子供も産めます」
「こ、どっ」
「こっ…!?」
淡々と告げる医師に与一も健治も絶句する。
当たり前のことだがショックがでかい。
「ただ、ステータスがかなり弱いですね。一般的な女子の数値と比べてもかなり弱い。これではゴブリン相手でも殺されるでしょう。気をつけてください」
どうやら与一はかなり弱い仕様となってしまったようだ。
また、戦闘適正が無いことからも、フィジカル面での成長は見込めない。
同時に戦闘適正皆無ということは鎧系スキルや魔法衣系のスキルも習得できないと言うこと。
つまりは装備面でステータスをカバーすることもできない。
薬物耐性も獲得できないから、ドーピングもできない。
魔力耐性や魔力適応も持たないので、付与魔法によるバフもできない。
そう、戦闘スキルゼロは、かなり深刻なのだ。
要するに与一は、一人で出歩かせることが今後一切許されないレベルの雑魚になったということだった。
「……与一」
「……うん」
「パパ達が、お前を守るから」
「…うん、ごめん」
「謝るな、謝らなくていい」
「うん、ありがと」
心配そうに見つめる健治に、苦笑いを返すことしかできない、与一なのであった。




