元次男、病院に行く③
その後。
与一は父と一緒に役所に行き障害者登録を済ませる。
戦闘行為の一切を望めない者として登録をする。
そして障害者の証明書を受け取り、学校に登校をする。
その後一緒に職員室に行き担任に事情を説明した。
一通りの手続きを終えた後、健治が「疲れただろうし、今日は帰るか?」と聞いてきたが、与一は少し考えた後「授業を受けて帰る」と答えた。
与一は思ったのだ。
今更になって、めちゃくちゃ恥ずかしいと。
スカートとか、胸とか、尻とか、長い髪とか、全部全部、恥ずかしいと。
だけど。
もう戻れないのだ。
この格好で生きていくしかないのだ。
「…慣れないと」
だから与一は、授業を受けることにした。
ここで逃げては、次が苦しくなると分かっていたからだ。
「そうか。なら、頑張れ、無理そうだったらやめても良いからな」
与一の表情を見て、その想いを察する健治。
本音をいえば、頑張り屋の彼女を甘やかしたい。
一旦帰って、よしよししてあげたい。
だが、後回しにしては良いものではないのも確か。
なので、陰ながら応援をすることにした。
「うん、大丈夫、大丈夫だから、ね」
与一は自分に言い聞かせるように、そう返すのだった。
ーーーー
教室に、授業より少し早めに来た担任が事情を説明する。
「そんな訳だ。みんなも風上を気づかってやってくれ」
無骨な男、担任の岩島がそういい終えると、廊下に声をかける。
すると、少し間を置いて、教室の引き戸が開かれる。
「…………ぅ」
肩甲骨あたりまである黒髪は、二つ分けの三つ編みおさげに。
分厚い黒縁メガネからのぞく大きめの黒い瞳。
やや大きめのお胸とやや大きめなお尻。
袖の余るブレザーと長いスカート。
「ぼ、ぼく、えっと、その」
そして真っ赤な顔。
瞳は羞恥に潤んでいる。
「よろしく、おねがいします…」
そんな、小柄な女の子となった、元男子がいるのだった。




