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第1話 とりあえず寝よ

「…地球滅亡の話、どこいった?」


今の今まで完全に忘れてたけど、普通に朝来てるじゃん。


今回もアレかな。

ノストラダムスの大予言みたいな。


マジでいい加減にしてよ。


とりあえずコーヒーを一気飲みしてから、キッチンまで持っていって水を入れた。

洗うのは会社に帰ってからでいいか。


スマホを充電器に挿す。


そのときにスクリーンに表示されていた時刻は午前2時。

さっきから1分も動いてないんだけど。


マジで壊れてるじゃん、と思いながら身支度を始めた。


大学生の頃と比べると、メイクにかける時間は大分短くなった。

あの頃って本当に時間があったんだな、と本気で思う。


今あの頃に戻ることができたらどうしよう。


「…まぁ、とりあえず眠るのが無理って思うまで寝続けるかな」


薄く口紅を塗って完了。


色々準備を済ませていざ出勤。


家を出る直前にスマホを確認したけど、やっぱり午前2時だった。

でも他の機能は問題なさそう。


時計だけ誤作動することってあるの?


昨晩上司から来たメールに謝罪文つきで送信しながら歩いていると、あることに気が付いた。


出勤時間なのに、通行人が誰もいない。


「…え、今日って普通に平日だよね?」


スマホで時計を確認するけど、このスマホ壊れてるんだよね。

信用できないから、違和感を覚えつつ歩く。



会社に到着。



社員証をかざしていつも通り入った。


「…あれ、この時計も午前2時ってなってるんだけど」


それなら社員証が反応するはずがない。

うちの会社は22時から翌朝の7時まで入ることができないから。


「あれかな、異常磁気で時計が同じタイミングで止まった、みたいな…」


そんなわけないけど、理由を考えでもしないと説明がつかない。

心臓が早鐘を打っているのを感じながら、オフィスに向かった。


「おはようございまーす…」


そろりとドアを開けた。

誰もいない。


「時計は…え、ここも午前2時?」


意味わからないんだけど。


とりあえず自分のデスクに荷物を置き、パソコンを起動する。


「…午前2時じゃん」


その呟きは私以外誰もいないオフィスに吸い込まれる。


ちょっと待って。


「家から会社に行くまで、大体15分だよね?」


で、そこから会社に入ってエレベーター使って3階まで向かう。


「そのあとちょっと歩いてオフィスに入って今この場所に座ってるって考えたら…」


どう考えても20分以上は経過しているはず。


「やばいやばい…」


今のコレってどういう状況?

まず私が一番に出社してるっていうのもおかしいんだけど。


え、今日って休みだったっけ?

でも休みにしては人通り少なかったな。


一旦、ネットで検索してみよう。

…何を検索すればいいの?


「そうだ、まずは隕石がデマだったってヤツから調べないと…」


昨日と同じく、『隕石衝突 デマ』と検索してみた。


出てくる記事はすべて、『デマでなく本当です!!』と書かれていた。


「じゃあ今のこの状況は何?」


次はSNSを見てみよう。


アプリを開いて# 隕石衝突 と検索してみた。


「…全部午前1時59分で止まってるんだけど」


何度も更新しても、新しい投稿が出てこない。


「動画サイトはどう?」


隕石のライブ中継的なのがあった気がする。

動画サイトを開き、それっぽい動画を開く。


同接10万人のライブ中継だった。


「…いや、静止画じゃん」


まさに今から地球に向かいます、って感じ。

でも、隕石が動く気配もないし、同接が減るわけでもない。


「なに、午前2時になった瞬間に時間止まった?」


誰も聞いていないことは理解しているが、その言葉が漏れてしまった。

そのくらい、あり得ないことが起きていた。


本当に意味が分からない。


職場の人も来る気配がないし、今日のところは帰ろうかな。

アレだ、赤信号もみんなで渡れば怖くないってヤツ。


どんなことがあっても、同僚だけは道連れにすることを心に決めた。


とりあえず家に帰ろう。

さっさと帰りの支度を済ませて退社した。


「…道の真ん中で車止まっちゃってるじゃん」


車道に視線を向けると、何台かの車が止まっていた。

エンジンもかかっていない。


中に人がいるみたいだけど、見たら悪いと思いあまり気にしないで家に向かった。



家に到着。



「ただいまー」


一応、昨日と同じく声を出してみた。

やっぱり返事はない。


まさか出勤してすぐに帰ることになるとは思わなかった。


スーツを脱いで、部屋着に着替える。

いつでも外に出られるように、ソファの上にかけておいた。


「ていうか、あの即レス上司から返信来ないな…」


いつもなら3分以内に来るはずなんだけど。


おかしいと思いメールを確認してみる。

メールが送信中のまま固まっていた。


めっちゃ通信環境が悪いときにグルグルする、みたいなのは経験あるけど、ここ、普通にネット環境良いぞ。


まあ上司からメールが来ないのはラッキーなので、そこまで深く考えない。

スマホを満充電にするため、充電器に挿してからベッドに向かう。


「え、この時計だけ5時30分?」


私が朝起きたときと同じ時刻なんだけど。


「それにしても、これだけ5時30分ってことあり得る?」


他の時計はすべて午前2時だったのに。


「とりあえず現在時刻は過半数が午前2時だから、午前2時ということにしよう」


私の目覚まし時計くん、君は少数派だ。

残念だけど、私は多数派を信じることにするよ。


「じゃあ隕石降ってくるまで、あと1時間あるじゃん」


しかもなんか分からないけど、時間止まってるっぽいし。


「たくさん寝れるじゃん」


でも、寝過ごすのは怖いので、とりあえず目覚まし時計はセットしておこう。

さっきは少数派って言ったけど、ちゃんと信用してるから。


「ていうか、今って午前2時なの?」


外はどう見ても午前中の空気。

少なくとも深夜ではない。


「そういえば、太陽の動きとかで時間がどうなってるかわかったかもな」


今更外に出る気にはならないし、ずっと太陽を見るのもキツイ。


「夕方6時くらいにタイマーをセットして、っと…」


それなくらいなら、流石に私でも太陽が動いたか分かる。

目覚ましを設定してから、私は枕を抱きしめてゴロゴロした。


やっぱり、これをするとリラックスできる。


会社のことはどうなるか分からないけど、とりあえず私は悪くないはず。

私のせいにされたときは、まぁ普通に謝ろう。


いつも真面目にやってるし、これくらいは許されるでしょ。


そして私は目を閉じた。






ジリリリリリ!!


「うるっさ…」


目覚ましを止めて目をこする。

私、こんな夜に目覚まし設定したっけ?


寝起きは頭が回らなくて苦労する。


「…あ、そうだ」


今の時間は?


時計は18時を示していた。


「やば、普通に時間進んでるんだけど…」


もしかして、午前中の私の頭がおかしかっただけ?

普通に今日って仕事行かないとダメだった感じ?


「ていうかやっば、メイク落としてから寝るの忘れてた…」


枕にメイクが付いていたので、後で濡れたティッシュで拭いておこう。


「あっ、外はどうなってる?」


カーテンを開いてみた。

普通の夕方だった。


「太陽、普通に動いてるじゃん」


なに勝手に動いてるの?

空気読んでよ。


ソファにかけたスーツをちゃんとハンガーにかけてから、スマホを確認してみた。


「…え、午前2時?」


日にちも朝と変わっていない。


もう一度カーテンを開けて確認してみる。

やっぱり普通の夕方。


「そうだそうだ、隕石は?」


スマホで三度目の検索。

でも隕石は地球に真顔で衝突しようとしていた。


「マジで意味わからないんだけど…」


その声はすぐに霧散する。


何か分からないけど、時間が止まってるっぽい。


「ならもう一度寝よ…」


時間が止まってるからって、私が何かできるようになったわけじゃないし。

今回はちゃんとメイクを落としてから、ベッドにもぐりこんだ。

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