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#7
窓を開け放し、美しい月を二人で見上げる。辺りは静かなのに、いつかの祭り囃子が聞こえてくるようだった。今までになく高揚している。それを彼に悟られないように、耶神は瞼を伏せる。
胡内は記憶の箱に蓋をし、声もなく笑った。
「あの人と会えなかったことは悲しいけど、代わりに君がいた。彼女と同じにおいがしたから、本当は会った時から気付いてたんだ。……俺は彼女が残してくれた君を大切にしたい」
優しい声が響く。
嬉しくて、同じぐらい不思議だった。
自分が知らないところで命と記憶は繋がっている。母もまた、自分の為に彼を残してくれていたんだ。
時間も距離も飛び越えて出逢えた奇跡に感謝したい。言いたいことは色々あるけど、今はまだ上手くまとめられないから……言葉にできるうちに、本当の姿に戻るまでに考えておこう。
俺の為に何でもしてくれた母さんにも、誓いたい。
俺はこれから色んなものを見て、色んな所へ行って、もっと強く生きていく。
独りが当たり前だった。でも、孤独というのは辛いものだった。彼と会ってようやく気付けたんだ。
今度は自分が誰かの記憶に残れるように、与えられた命を精一杯守っていこう。




