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冒涜的な魔王の種は今日も今日とて生き延びる  作者: はじめ おわり
第八章 ターニングポイント
404/405

そりゃそう

熱が戻ってきました

「あっっっつ!」

「出来たてだからな」



 念の為周囲を警戒...大丈夫そうだな。



 ここに繋がる唯一の通路から来る気配はない。どうやらこの場所は比較的安全のようだ。



「(荒い息遣い)」

「熱いのは苦手だったか」

「そういうわけじゃ、ないけどさ...はぁ、はぁ、判断能力が鈍ってたかな。いや違うね、君が思うよりずっとこのお粥は熱い」



 そうだろうか。もしそうなら俺の失態だ。



 一応俺も一口...



 ...!



「ね?」

「...」



 思っているより熱かった。声には出さないが、想定よりかなり熱い。



 熱に弱い魔獣くらいなら倒せてしまいそうな程だ。



「強火で、煮込みすぎたか」

「だとしてもこうなる?熱いこと以外は概ね高い評価はできるのも惜しいね」

「それは嬉しい限り、ダメだ水!」



 くっ、調理でかなり使ってしまったから飲みたくなかったのだが。



 伸びる手を、止められない。



「wwwwww」

「わっ、笑うな!」



 ============================================



「ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」



 食器や調理器具をしまう。洗い物は後だ。



「さて...改めて<ダンジョン>攻略、の前にブリーフィングといこう」



 地図を取り出し目の前に広げる。



「おお」

「どれがどの階層かわかるか?」

「シンプルな分岐路が1、道が1つだけ伸びているこれが多分3、消去法でこれが2かな?」

「よし、それだけ分かれば問題なさそうだな」

「で、僕たちがいるのがここだね」



 指さしたのは3階層、格子状の道から逸れた場所。



「よくわかったな」

「この場所に合致する特徴を持っているのがそこだけだった」



 確かに、ここは行き止まり。しかも目の前には長い廊下。



 かなり特徴的だ。地図が読めるのなら分からない方が不自然か。



「この場所に君はどうやってきたの?」

「それは...」



 1階層の入口からなぞり、2階層の迷路、そして3階層の監獄を指で指す。



 階層ごとの歩いた距離はそう長くない。迷路でさえ短いと言えてしまう。



「とまあ、こんなところか」

「苦戦はした?」

「それなりには。3階層では特に接敵していないが」

「1階層は?僕そこで捕まってここに来たんだけど」



 そうだったのか。やはり透明な敵となると苦戦は必須か。



「限りなく戦うことを避けた、故に詳細は不明。透明でもあったから姿や能力もほとんど分からない」

「...透明?僕は見えたよ?」

「何だと?」



 ということは、マリアには見えるための条件が揃っているのか。それが一体何なのか、道具なのか魔法なのかは分からないが...



「...先に疑問を解決するか」

「疑問って?」

「ああ。マリア、お前が本人なら俺が最後に見た姿より急成長しているように感じる。それは何故だ?」



 俺たちと同じならおそらく...



「まあ、ちょっと生まれ変わってね。今は人間やめてるんだ」

「...?」

「理解できないのも無理ないね。まあこっちにはこっちの事情があるのさ」



 前借りではないのか。しかし人間ではないのなら少し説明がしやすい。



「そう、なるとだ。おそらく人間をやめているから見えている可能性が高い」

「1階層のあいつらでしょ?多分そうだね」

「神話生物か?」

「下級のね。予想が正しければどこかの眷属だと思う。僕の知識とは合致しないことなんてよくあるから、本当にこれって言えないんだけど」

「予想ができる時点で頼もしい」



 俺たち<勇者>が持っている知識には限りがある。これを機にマリアが持っている知識をある程度吸収しておきたいところだ。



「観察すればわかるか?」

「ある程度は。情報が揃えば考察もできるよ」

「なら2階層の神話生物について情報を教えられるのだが」

「聞かせて」



 確か、あいつらの姿は...



「大型、白い体毛、6本の」

「2階層って寒かった?」

「そうだ。よくわかったな」

「じゃあ<ノフ=ケー>だ。多分複数いたでしょ」

「いた。内1体は<変異>していて、脚が8本だった」

「<ノフケー>もいる。というか、別種じゃないのね」

「どういうことだ?」

「こっちの話。で、そうなると2階層のボスは<イタクァ>じゃない?」



 ...すごいな。俺はほとんど情報を出していないのに。



 2階層の神話生物、その情報がほとんど出てきた。



「降りる階段前の大部屋、多分祈祷するための部屋とかになってそうだけど」

「...生活するための拠点、というイメージではあったな。戦闘の余波でほとんど吹き飛んでしまったが」

「おっけい<イタクァ>なのは合ってそうだね。道理で最初おかしいと思ったんだ」

「?」

「ショゴスがずっと警告していたんだよ。<イタクァ>の匂いがするってね」



 匂い。おそらくは祝福のことだろうか。



「受け取った、かは分からないのだが。最後にそれまでとは違う風に触れた」

「あー......」

「どうした?」

「いや。そうなると色々きついね」

「何がだ」

「僕ね、ただでさえ監視されてるから喋れることが限られてるの。君からも僕が監視されているのなら、喋れることがさらに減るわけ」



 ふむ。確かにやつらにとって利ではないことを言われるのは確かに都合が悪いか。



 ただ...



「何か、言いたいことがあるのか?」

「ノーコメント」

「...そうか」



 もしもそうであるのなら、少し考えておいた方がいいかもしれない。



 有用な情報が得られる可能性がある。



「閑話休題。3階層には何がいた...のかは分からないんだっけ」

「足音は聞こえた。硬いもの、靴ではなかったが...おそらく蹄」

「うーん、それだと考察は難しい。一旦外に出ないとだね」



 さすがに足音だけでは厳しいか。しかし接敵せずにここに来れたのはむしろ...



「最短距離で向かったとはいえ、神話生物に会わなかった。1、2階層のように多くの神話生物がいる訳では無い」

「その点はラッキーと言えるね。正直、ポンポンと新しい神話生物に出会っていたら胃が持たない」



 物量と質、どちらも魔獣より優れているのが神話生物。



 接敵しないのであれば、それに超したことはない。



「なら3階層は最短距離で進む方針でいいか?」

「うん」

「よし、なら改めて進路を確認しよう」



 3階層は牢獄のマップ。<ダンジョン>にしては明らかに整いすぎているため、2階層への階段かまでは1度しか曲がらない。



 ただ、道中に十字路がいくつも含まれているため、油断は禁物だ。ばったり出くわしてしまうことも想定に入れなければ。



「おーけー。頭に叩き込んだ」

「陣形はどうする?」

「陣形?」

「2人とはいえ、前衛か後衛か位はあるだろう。何ができるのか把握もしたい」



 相手は神話生物、そして仲間はロクに連携を撮ったことのないマリア。可能な限り敗北の可能性を無くしておきたい。



「君...は聞くまでもないか」

「必要だと言うのなら言おうか。前衛で基本剣を振る、ほとんど魔法は使わないと思ってくれ。遠距離攻撃も同様だ」

「ん、なら逆かな。後衛で支援をしたい。<空属性>の<結界>系統がメインで、一応魔法による攻撃はできるよ。あんまり得意じゃないけどね」

「<結界>か...」



 珍しい、というのは昔の話だが。<空属性>の、それも<結界>。



 <結界>は基本的に囲うようなエリアを作るのだが、どんな支援になるのだろうか。



 そういう支援をされた経験がなく、想像が難しい。



「ピンと来てないね」

「すまないな。こっちの魔法使いは火力側で」

「大丈夫大丈夫、ピンと来ていたとしても、想像とは違うはずだからさ」

「実演できるか?」

「え?なんで味見した時はあんまり熱くなかったの?」



よくあるじゃないですか、使った素材の原型を全くとどめてないやつ

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