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第二百三十三話~深掘~


第二百三十三話~深掘~



 大魔王の城の殆どを制圧し終えた俺たちは、改めて城内部の構造を把握し地図として視覚化した。その後、地図に従って完全制圧を目指すのであった。





 完成した城内部の構造に従って、改めて探索を行っていく。そして漸く俺たちは、当初の目的としていた場所を見つける。しかしてその場所の雰囲気だが、およそ大魔王の居城が持つ外観とはかけ離れていた。まず大魔王の城として持つイメージだが、いわゆるヨーロッパ系の城を想像する。しかも、近世と言うよりは中世時代に建てられた古いタイプの城を想像してみればイメージは掴めると思う。しかして見つけた場所だが、そこは機械で溢れていたのだ。

 とは言うものの、当然と言えばそれも当然だろう。そもそもの問題として、大魔王にしても勇者にしても、この惑星に古い時代にて存在したかつての文明、いわゆる古代文明の産物によるものだ。今となってはもう滅んでいる文明だが、それでも嘗ての文明レベルは、大魔王やリューリがバイオ技術の果てに完成・誕生し、コンピューターであるジョフィが管理していた研究所を設計、建設できるぐらいには発展していた文明なのである。機械も普通に存在していたことは言うまでもなく、ジョフィ曰く「自分を生み出した文明に対する復讐を目的としていた大魔王」であることを考えれば、機械が多くあっても不思議なことでもない……のかもしれない。


「きゃあ~~」


 俺が目の前の情景に頭をひねらせていたそのすぐ近くでは、とても嬉しそうな嬌声を挙げた人物がいる。誰かというと、それは今さら指摘するまでもなくシュネであった。目的の場所が見つかって少しの間は静かだったのだが、その静寂も長くは続かなかったと言うわけである。ところでどうして、シュネが嬌声を上げたのかと言えば、それは勿論、大魔王が集めていたとはいえ古代の文明の遺産とも言うべき機械が多数見つかったからだろう。その事を証明するかの様に、シュネは嬌声を上げた直後に突撃し、色々いろいろと調べ始めている。正に嬉々ききという表現が似合うだろうという表情を顔に浮かべながら機械に駆け寄って手持ちの機器で調べ始めているのだから、俺が頭の中で描いた感想に疑う余地はないだろう。事実、俺以外の面子も俺と同じと言っても差し支えがない表情を浮かべているのだから間違いない筈だ。

 そして、こうなってしまったシュネを止めることは、かなり難しい。ならば好きにやらせて見せて、熱が下がるのを待つ方が手っ取り早い。どうせ、調べなければならないというのは、間違いないからだ。なお、彼女の体調に関してだが、それこそシュネ付きのガイノイドであるエイニや他のガイノイドやバイオロイドたちが気に掛けるし、何より俺たちが気に掛けておけばいいだけの話である。ただ、心配なのは、シュネは些かマッドサイエンティストの気質を持っている点だ。倫理観も全てかなぐり捨てて実験を行う……などと言うほどではないとは思っているが、それも絶対とは言い切れなかったりする。

 ともあれシュネも、物事にのめり込むと周りが見えなくなる気質を持っている。そうなってしまうと、まずこちらの言うことなど聞きはしない。声を掛けてもろくな返事すらせずに、目の前の出来事に集中してしまうのだ。ここまで行ってしまう、後は実力行使になってしまう。薬か、または当て身を当てて強制的に意識を落とすしかなくなるのだ。そうならないことを望むが、はてさて今回はどうなるのだろう。



 残念ながら心配していた通り、シュネはのめり込んでしまった。

 完徹を三日連続で行った上に、四日目となるその日も睡眠を取ろうともしない雰囲気がひしひしと辺りに漂っていたのがその証明だろう。それゆえに、強制的に休むこと実行させることにした。まずは、穏便に薬を使う。要するに睡眠薬だが、この薬を使っても副作用は出ない。実際、何度か使用しているので、いい意味でも悪い意味でも安心できる薬物だった。


「って、駄目か」

「はい。意識の高揚の方が高いらしく……申し訳ありません」

「いや。お前のせいじゃないから気にするな」

「はい。ご配慮、感謝致します」


 配慮でもなく、本気でそう思っているのだ。しかし、シュネ付のガイノイドであるエイミは思わないだろう。いわゆる美食家という側面を持つ彼女だが、シュネに対しては誠心誠意仕えている。これは他のガイノイドやバイオロイドも同じだが、俺付きやシュネ付きなどと言う専属の立場になると、より顕著になるのだ。元からそう行動する様にプログラムされていたのか、それともAIを搭載し宝そういった行動を取る様になったのかは分らない。とは言っても別に困るわけではないし、何よりシュネが何も言わないので俺も深く気にしたことはない。そういった行動をする傾向にあるのだと認識しておけばそれでいいと判断していたこともあって、今まで気にもとめなかったからだ


「ま、いいや。何かあれば、ネルなりが行ってくるだろう」


 それに最悪、俺が強制的に当て身でもして強制的に休ませればいい。などと内心で考えつつ、睡眠薬を服用したはずなのに元気なシュネを見ながら、とりとめないことを考えていた俺であった。





 シュネの「若干の暴走?」などありつつも、調査自体はとどこおりなく進んでいく。お陰でこの惑星の名が、デルクと言うことが分った。何でもジョフィ曰く、古代文明の時代に名付けられたとのことである。よくよく考えれば、俺も何で聞かなかったのかと今さらながらに思ってしまう。だが、やっぱり見ず知らずの惑星に不時着した上に、シュネたちとも連絡が覚束おぼつかないという状況に混乱していたのだろう。そうだ、そうに違いない……って、話がそれたので戻そう。


 何はともあれ、この惑星デルクから離れる前に行う最後の仕事である古代文明の遺産というか残滓ざんしの後始末に一定の目処が立ったので、早速にでも実行に移すことにした。基本的には制圧した大魔王の城を拠点に、判明した幾つかの場所のうちから適当に選んだある施設へと向かうというのがコンセプトだ。何せ場所以外については、情報が乏しい。確かに大魔王の調べた情報も存在しているのだが、やはり自身で調べてみなければ分らないと言うことはあるからだ。なお、場所についてだが、こちらについてはほぼ確信が得られている。何とジョフィの記録の中に、判明した座標には何らかの施設があったと残っていたからだ。なんだかんだ言ってもジョフィは、嘗て行われた勇者計画における最後の生き残りであり、しかも計画のほぼ中枢を司るシステムであったらしい。いわばジョフィは、勇者計画において特に重要と位置づけされていた幾つかのコンピューターを統括する立ち位置だったというわけだ。そういった経緯もあって、リューリの様な計画上最強勇者の素養を持つ存在の計画を担っていたわけである。本当か嘘かは知らないが、今になってジョフィが俺をだます理由もないので、本当のことなのだろう。


「じゃ、そろそろ行ってみますかね」

「そうね。行きましょうか」


 シュネが嬉しそうな表情を浮かべつつ、俺の言葉に賛同している。実際問題として、現地がどの様な状況になっているのかなど、大魔王の城からでは判別できないのだ。時間の経過が原因かそれとも別の要素があるからなのかは分らないが、現地とはネットワーク的に完全に遮断されているのである。つまり判明している各地は、スタンドアローンな状態なのだ。

 結局のところ、前述した通り当該地に行って自分の目で見てみなければ判別など出来ないということだ。それに何より、現地の現状調査もジョフィからの依頼内容である。そういった事情もあり俺たちは、調査に必要だと思われる機器を持参して、今回調査対象の候補とした施設へと向かったのであった。

ご一読いただき、ありがとうございました。



別連載「劉逞記」

https://ncode.syosetu.com/n8740hc/

こちらもよろしくお願いします。

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