第二百三十四話~解明 一~
第二百三十四話~解明 一~
大魔王の居城を調べ上げた結果、幾つか古代文明の遺産が発見された。その中で、一番近いと思える地点へ俺たちは向かったのであった。
大魔王の城から出立してからおよそ数時間、目的地へと到着した。なお移動手段だが、揚陸艦に搭載されてあった小型輸送機を使用している。乗員数だが、パイロットを含めて二十人ほどが搭乗できるその様な機体を三機ほど運用して、目的地へ向かったのだ。
何はともあれ目的地に到着したわけだが、ぱっと見には見つからない。それもその筈で、目的の場所は森に飲み込まれていたからだ。
「森の中か……どうするかね」
「別に、歩いて行けばいいじゃない」
実際問題、シュネの言う通りではある。そもそも俺たちの目的は、自然破壊じゃない。嘗ての文明が残した研究施設の内部に入り、現時点の状態を調査して確認することにある。状況によっては施設の爆破などあり得るかもしれないが、それこそ状況次第だろう。それに何より、古代文明の残滓とも言える施設の処置に関しては、ジョフィの考えが物を言うだろう。なんだかんだ言っても彼が依頼主であり、俺たちはその依頼を受けた者たちに過ぎないからだ。
「じゃ、行くとするか」
目的地から一番近く、かつ森が途切れている場所に輸送機を着陸させる。それから見張りを残して、俺たちは森へと分け入った。目的地の緯度経度は分っているので、迷うことはないだろう。地面の状況によって多少は迂回などしなくてはならないだろうが、それぐらいならば大して気にすることもない。何より、俺たちの面子で多少の迂回で影響が出るほど柔な体力の持ち主などいないからだ。
実のところ、一番体力がないのはシュネとなる。だがそんな彼女でも他人、これには冒険者なども含まれるが、彼らから見ても隔絶した体力の持ち主となる。つまるところ、広大な大森林とかいうような状況でもない限り、へたれてしまう者などいないのだ。
因みに俺はというと、この状況を楽しんでいる。この惑星デルクに不時着してから、今が一番ゆとりあるし、仲間と一緒と言うこともあってとても気が楽なのだ。それにどうせ、ジョフィの依頼が終わればデルクから離れる。ある意味で期限自体がない依頼であり、だからこそ楽しむことにしていた。最も、一緒に行動しているガイノイドやアンドロイドたちは別である。彼らは、俺とは違ってちゃんと周囲に気を配り警戒している。結構深い森なので、大型の動物や魔物などがいつ襲ってくるか分らないからだろうことは想像に難くなかった。
しかしながら、彼女たちの警戒とは裏腹に俺たちを襲う様な無謀な生き物は存在しなかったのである。現状、数十人が武装した状態で移動しているのだから、それもある意味で当然でかもしれない。中には戦力差など考えずに襲ってくる様な相手もいるのかもしれないが、幸いにしてそんな奴らとは遭遇しなかったのだ。
兎にも角にも俺たちは、目的地に到着する。やはり周囲は森の木々に覆われていて、建物自体の壁にも苔やら蔦やらがびっしりと張り付いていた。
「さて、と。入り口はどこかな」
「恐らくあちらかと」
そう言いながら、一体のアンドロイドが先導する。実はこのアンドロイドだが、ジョフィだったりする。どうしてジョフィがアンドロイドとなっているのかというと、彼がシュネに頼んでコンピューターを搭載していないアンドロイドを一体、持ってきて貰ったからだ。そのアンドロイドにジョフィを搭載したというわけである。そうは言うものの、あくまで一時的な措置に過ぎない。ラキケマに戻り次第、本格的に調整して完璧な状態にすることとなっていた。
それはそれとして、今は建物内に入ることが優先事項である。ジョフィの先導で移動した俺たちは、建物のある壁の前に到着していた。その場所に到着して間もなく、間髪入れずにジョフィが壁に近づく。そして彼は、とある場所を触る。すると壁の一部がスライドして、そこには小さな画面が現れていた。
「もしかして、タッチパネル?」
「ええ。その通りです」
画面を見た瞬間、それが何であるかを見抜いたシュネがジョフィに尋ねると、ジョフィは肯定した。その会話している間も彼の動作は止まらず、間もなく彼の目の前の壁が横にスライドしていた。どうやらこれが、建物内への入り口の様である。これで、壁を壊さずに入れるというものだ。何せ目の前に鎮座する建築物が、建立当時から相当に時間が経っているのは、その手の知識がない俺であっても分る。その様な建築物を下手に壊すと、建物自体が壊れかねないぐらいに思えていたのだ。ともあれ、入り口が出来たのであるならば中に入ってみることにしよう。すると、あまり明るくはないもの明かり自体は着いていた。しかし、光の色合いなどから推察すると、多分非常灯の類いがともっているのではないかと思われた。しかし、それ以上に驚いたのは床や壁などに張り巡らされた木の根やツタなどである。一部は朽ちて土に還っていたりしているもののあるが、殆どは生きていると思えた。
「おいおい。何かあったのか?」
「分りません。コンピューターを調べて記録ログを見れば、あるいは分るのではないでしょうか」
「場所は分るのか」
「はい。先ほど、この研究所の構造は把握しましたので」
どうやらこの建物に入る際に操作したタッチパネルを使って、同時にこの建物の構造も入手していたらしい。抜け目がないというか何というか。ま、初めて訪れる大型の建物内を把握した地図があるに越したことはないので、俺から特に何も言うことはなかった。それ後も俺たちは、ジョフィが先導に従って建物の中を進んでいく。途中で木の根などの影響かそれとも経年劣化の影響か分らないが通路が潰れていたりしたので、多少は遠回りしたものの無事に建物……ジョフィ曰く研究所らしいが……中枢に到着する。そこでもジョフィが操作して壁に隠されていたパネルを操作すると、壁が開いて中に入ることが出来た。
「でっか」
「確かに」
中にあったのは、大型のコンピューターである。無駄に大きい気もしたが、作った人物の趣味なのだろうかとか的外れなことを考えていた。そんな俺の脇では、ジョフィが操作を続行している。彼が暫く操作していると、コンピューターのデジタルパネルに何やら文字らしきものが羅列し始める。しかしながら俺には、ミミズがのたくっている様にしか見えない。当然だが、全く意味が分らなかった。
「古代文明期の言葉なのだろう、きっと」
「そうだろうな」
並んでコンピューターと思われる大型機械に接続されているモニターを見ていた裕樹が、俺の言葉に同意してくる。何とはなしに彼の顔を見るが、浮かべている表情は不思議をそのまま具現化した様な雰囲気があった。その一方で、シュネやセレンや俊。それから意外と言っては失礼かもしれないが、リューリが熱心にモニターを見ている。そんな彼彼女たちだが、ときおりジョフィに尋ねている。恐らく情報の把握をする為だろうが、その場で理解や把握することを早々に諦めた俺なんかと違って、真面目だなと思えてしまう。そんなシュネたちであったが、暫くしたのちジョフィを筆頭に多分記録ログだと思える羅列を見ていた彼らが戻ってきた
「終わったのか」
「はい」
「それで、どうだったんだ? この建物の有様も含めて」
「この研究所ですが、もの凄く初期の頃に建てられたものでした」
そう前置きしてからジョフィは、記録ログから得られた情報を公開していったのであった。
ご一読いただき、ありがとうございました。
別連載「劉逞記」
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