第49話「評価」
第49話です。
ついに迎えた結果発表。
FirstDayが出した答えと、その評価が明らかになります。
嬉しさだけでは終わらない、リアルな“今の位置”。
そして、この先の選択へとつながる大事な回です。
ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
ステージ上に司会が戻る。
「それでは結果発表に移ります。本日は上位三組を発表します」
会場の空気が少しだけ張り詰める。
「第三位――」
名前が呼ばれる。
FirstDayではない。
「……まあ、そうだよな」とはじめ。
「次でしょ」と美月。
ふたばは何も言わず、ただステージを見つめる。
「第二位――」
一瞬の間。
「FirstDay」
「……お」
はじめが小さく声を出す。
「やっぱり」と美月。
どこか納得したような空気だった。
ふたばはなんとも言えない感じだった。
――でもすごいことだと思う。
それぞれ納得の表情。
拍手の中、ステージへ上がる。
スポットライトが当たる。
でも、どこか冷静だった。
悔しさもある。でも、それ以上に――納得。
「そして第一位は――Luminous」
大きな歓声が上がる。
ルナたちがステージへ。
あの演奏を見た後では、誰もが納得する結果だった。
「……まあ、そうなるよな」とはじめ。
「あれは強いわ」と美月。
れいじは静かに頷くだけだった。
結果発表が終わり、審査員の総評に移る。
「本日はレベルの高いバンドが揃っていました」
マイクを持った審査員が話し始める。
「特に上位二組は、完成度という点で非常に僅差でした」
ふたばは少しだけ顔を上げる。
「FirstDay。非常にバランスの良いバンドです」
会場の視線が少しこちらに向く。
「ギター、素晴らしいですね。音の作り方、フレーズ、どれも完成度が高い」
れいじは何も言わない。ただ静かに聞いている。
「ボーカルも魅力的です。声質がいい。しっかり届く声を持っています」
ふたばの手が少しだけ握られる。
「ただ――」
少し間があく。
「経験値の部分で、まだ伸びしろを感じました」
ふたばはその言葉を、しっかり受け止めた。
「ここが埋まれば、一気に上に行けるバンドだと思います」
そこで言葉は終わる。
ベースやドラムについては触れられなかった。
ステージを降りたあと。
「……私らは何も言われなかったね」と、美月。
「だな」とはじめ。
でも、笑っている。
「まあ、わかってたけどな」
「次こそ」と美月。
その目は、すでに前を見ていた。
控え室へ戻る途中、ルナたちとすれ違う。
「お疲れ」とルナ。
「おめでとう」と、れいじ。
「ありがと」
ルナは軽く笑う。
「めっちゃ良かったで」
「そっちも」と、れいじ。
「さすがだった」
短いやり取り。でも、それで十分だった。
「また近いうちに会えそうね」
ルナが言う。
「楽しみにしてるよ」
少しだけ視線を向けて、
「次は、プロとして会えるといいね」
そう言って、去っていった。
その言葉が、少しだけ残る。
控え室に戻ると、数人のスーツ姿の人間が待っていた。
「お疲れ様です」
「レコード会社の者です」
名刺が差し出される。
「FirstDayさん、非常に興味があります」
さらにもう一人。
「ぜひ一度、お話させていただければ」
二社。
確実に評価されていた。
「ちなみにLuminousさんは……」
別のスタッフが小さく言う。
「ほぼ全社から声がかかってますね」
「……だろうな」と、はじめ。
れいじは名刺を見つめていた。
そのままデビューすることもできる。
でも――
「……どうする?」
美月が聞く。
れいじはすぐには答えなかった。
少しだけ考えて、ゆっくり口を開く。
「……まだ、決めない」
「え?」
「今のままで、いいのか分からない」
その言葉に、ふたばは顔を上げる。
「もっとできる気がする」
静かな声だった。
「このまま行くのは、違う気がする」
はじめが笑う。
「らしいな」
「だな」と美月。
ふたばも小さく頷く。
今日の結果。
二位。
それは、すごいことだ。
でも――
まだ、途中だ。
もっと上に行ける。
そう思えた一日だった。
第49話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回は順位だけでなく、“どう評価されたか”に重点を置いた回になりました。
FirstDayは全国の中で2位という結果を出しましたが、その中で見えた課題や伸びしろもはっきりと示されました。
また、Luminousとの関係もライバルとしてより明確になり、今後の物語に大きく関わってきます。
そして、レコード会社からのオファー。
ここでデビューするのか、それとも――。
次回は、FirstDayとしてどんな道を選ぶのか。
大きな分岐の回になります。
引き続き、応援していただけたら嬉しいです。




