第48話「イベント当日」
第48話です。
ついに迎えたイベント当日。
全国から集まったバンドの中で、FirstDayがどこまで通用するのか――
そして、Luminousとの再会。
同じステージに立つことの意味も描いています。
ライブシーン、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
イベント当日。会場には全国から集められたアマチュアバンド十組が揃っていた。どれも名前のあるバンドばかりで、空気はすでに張り詰めている。
「……すごいな」と、ふたば。
「だな」とはじめ。「雰囲気から違う」
ステージ横で待機しながら、抽選で順番が発表される。
「FirstDay、二番目」
「二番か」と美月。「まあ悪くないな」
「最初じゃなくてよかった」とふたば。
「慣れる時間にするか」と、れいじ。
そのとき、後ろから声がした。
「久しぶりやな」
振り返ると、ルナが立っていた。
「……ルナ」
美月が少し笑う。
「また会えて嬉しいわ」
ルナは自然な笑顔で言う。
「こっちも」と、れいじ。
「今日、トリなんや」
ルナが肩をすくめる。
「緊張するわー」
そう言いながらも、その表情はどこか楽しそうだった。
「まあ、やるしかないけどな」
その一言に、余裕と覚悟が滲む。
「そっちは二番やろ?」
「うん」と、ふたば。
「いいなぁ、ちょうどええ位置やん」
少しだけ間があって、ルナが言う。
「楽しみにしてるで」
その視線は、まっすぐだった。
「……はい」
ふたばは小さく頷く。
「ほな、あとで」
軽く手を振って、ルナは去っていく。
「……すごいな」
はじめがぽつりと呟く。
「オーラあるわ」
「だな」と、れいじ。
客席を見る。最前列には明らかに雰囲気の違う大人たちが並んでいた。
「……審査員だな」
レコード会社の人間たち。その視線は鋭い。
「気にすんな」と、れいじ。「いつも通りでいい」
一組目の演奏が始まる。音圧、技術、完成度。
「……うまい」と、ふたば。
大きな拍手が起こる。
「次だな」とはじめ。
心臓の音が大きくなる。――大丈夫。やることはやってきた。
「FirstDay!」
名前がコールされる。ステージへ。照明が眩しいが、足は止まらない。定位置につく。視線が集まる。静寂。
ふたばは息を吸う。――ここからだ。
「……この声で、届くまで」
アカペラで歌い出す。空気が一瞬で変わる。声がまっすぐ届く。そこに、れいじのギターが重なる。優しく支える音。さらに美月のベースが入る。低音が空間を包む。
ドン。
はじめのドラムが入る。一気に“バンドの音”になる。
ふたばの声が中心に立つ。前より強く、前よりまっすぐに。サビで一気に抜ける。広がる。届く。
――いける。
曲が終わる。一瞬の静寂。そして拍手。確かな手応えだった。
「……次いくぞ」と、れいじ。
「はい!」
「この瞬間を鳴らせ」
ギターのカウントで一気に走り出す。アップテンポ。観客の体が揺れる。ふたばも自由に歌えている。楽しい、そう思えた。
ラスト、全員で音を叩きつける。ドン、と終わる。歓声が上がる。さっきより確実に大きい。
「……いいじゃん」と、はじめ。
「うん」と、美月。
ステージを降りる。足が少し震える。
「……どうだった?」と、ふたば。
「よかったよ」と、れいじ。「ちゃんと届いてた」
その言葉に胸が熱くなる。
そして最後のバンド。
「Luminous」
ルナがステージに現れる。歓声が一段大きくなる。
スポットライトを浴びた瞬間、空気が変わった。
――違う。
ギターの一音。それだけで観客の視線が引き寄せられる。
ドラムが入る。迷いのないビート。ベースが絡み、音が一気に前に出る。
無駄がない。すべてが自然で、すべてが完成されている。
ルナが歌い出す。
その声には“引き込む力”があった。観客の空気が揺れる。前へ引っ張られるように、身体が動く。
サビで一気に爆発する。
歓声。手が上がる。会場が一つになる。
メンバー同士の視線、動き、音。すべてが噛み合っている。
“バンド”としての完成度が違った。
「……すげぇ」と、はじめ。
ふたばはただ見ていた。悔しさと憧れが入り混じる。
ラスト。音を叩きつけるように締める。
一瞬の静寂のあと――
爆発する歓声と拍手。
会場が揺れる。
――圧倒的だった。
「結果発表に移ります」
司会の声が響く。空気が一気に張り詰める。
――どうなる。
FirstDayの運命が、今決まろうとしていた。
第48話を読んでいただき、ありがとうございます。
今回はライブ本番を中心に、FirstDayの現在地と、Luminousという“壁”をしっかり描いた回になりました。
FirstDayも確かな手応えを感じていますが、それ以上にLuminousの完成度は圧倒的でした。
この差が、この先の物語に大きく影響していきます。
そして次回はいよいよ結果発表。
ここまで積み上げてきたものが、形として現れる瞬間です。
ぜひ、次回も読んでいただけたら嬉しいです。
感想や評価もお待ちしております。




